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犬を連れてドイツより日本へ帰国

 ドイツ(ベルリン)から日本(成田)へのパグの帰国準備を実際にどのように行ったか、日本の動物検疫所でアナウンスされている手順に沿って時系列で書いています。
私自身がとても苦労したので、これから準備をされる方の参考になればと思いまとめました。

※2021年8月現在の記事ですので、渡航の際は最新の情報をご確認ください。
 あくまでも我が家で行ったことのまとめですので、
 準備の際はご自身で各所へご確認ください。


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手順1 マイクロチップの埋め込み
 我が家のパグは、2020年7月に日本(成田空港)からドイツ(テーゲル空港)へ連れてきたので、マイクロチップについてはすでに装着済みです。

手順2 狂犬病予防注射(2回以上)
 うちの子は、2020年2月22日に東京で狂犬病の予防注射を受けています。
これが「1回目」とカウントされます。
1回目の有効期限内である2021年2月5日に「2回目」にあたる接種をベルリンで受けました。
 この時が、ドイツへ来てから初めての動物病院でした。
GoogleMapで「Tierarzt」を検索しました。
たまたま、自宅徒歩圏内で英語対応もしてくださる動物病院を見つけることができ、お世話になりました。

手順3 狂犬病抗体検査(血液検査)
 
狂犬病予防接種2回目と同日での検査も可能とのことだったので、2021年2月5日に抗体検査も一緒に動物病院へ依頼しました。ただ、これには注意が必要で、日本の動物検疫で抗体検査機関が指定されています。リストにある検査機関へ検査依頼をしてもらうことは可能かどうかを、事前に動物病院へ確認しました。動物病院で採血後、血液を検査機関へ送ってもらい、検査となります。約2週間後に動物病院へ書面で届いた検査結果を受け取りに行きました。
 初診料、狂犬病の予防接種、抗体検査、EUパスポートの発行など、全て合わせて187€でした。EUパスポートについては日本入国に必要な書類ではないのですが、EU内の移動や動物病院受診の際に必要になるので一緒に発行してもらいました。

手順4 輸出前待機
 手順3までを終えた時点で、具体的な日本への帰国予定はありませんでした。ただ、コロナ禍でロックダウンも厳しくなっていたベルリンで、いつ何があっても帰国できる準備だけはしておこうと思ってすすめていました。というのも、この輸出前待機というのが厄介なためです。抗体検査の採血日(我が家でいうと2021年2月5日)から180日経過してからでないと、日本へ入国することができません。
 ちなみに、動物検疫の方とはメールでやりとりをしながら、逐一確認をしてもらっていました。不備があってやり直しになっては面倒だからです。どの方も親切で細かい対応をしていただけたので、不明なことは都度相談なり確認なりしていただくといいと思います。

<番外1 航空チケット手配>
 2021年3月下旬、予定日を7月31日とし、日本への帰国便を手配しました。パグは短頭種のため、搭乗できる航空会社が限られています。かつ、大抵どの航空会社も1機に乗せる動物の数に制限を設けているため、早めの予約は必須です。
 日本からドイツへ来た際に利用したフィンエアーが快適だったので、今回もフィンエアーにしました。最終目的地が九州なので、ベルリンからヘルシンキ経由で関空へ到着する便です。

手順5 事前届出(日本到着の40日前まで)
 2021年5月、届出書と一緒に帰国の旨を関空の動物検疫へメールで連絡しました。フォーマットはダウンロードできます。
 ここで、手順4で書いた「輸出前待機」の日数の問題が出てきます。検疫へ連絡する前からわかっていたのですが、7月31日の出発(日本への到着は8月1日)だと、180日間の待機日数が数日足りません。人間の都合で申し訳ない気持ちはあるのですが出発日を変更することができず、関空での係留後、2021年8月5日が開放日になると案内されました。
 もう少し噛み砕いて言うと、8月1日に日本へ到着した際に検疫へパグを預け8月5日に迎えに行く必要があります。係留期間の4泊5日はパグのお世話が必要になるため、空港検疫に出入りしている飼養業者さんを紹介されます。この業者さんへ提出するための追加の書類や、最初に提出した届出書の訂正などやりとりをし、2021年5月12日、「動物の輸入に関する届出受理書」をいただきました。

<番外2 航空チケットキャンセル>
 2021年5月24日、フィンエアーより、予約便欠航の連絡がきました。このコロナ禍で懸念していた事項のひとつが現実となってしまいます。パグが搭乗可能な様々な空路を検索し直し、日程はそのままでオランダ航空へ変更できました。ベルリンからアムステルダム経由で成田へ到着する便です。
 無事、パグの分も含めチケットは取れたのですが、到着地が関西空港から成田空港へ変更となりました。

<番外3 変更届出書の提出>
 関空の検疫からせっかく受理書をもらいましたが、到着地が成田へなってしまったため関空へ事情を説明しました。変更届のフォーマットがメールで送られてきたので、これを成田の検疫へ提出します。すでに関空へ提出している情報などは検疫間で共有していただけましたが、届出書以外に追加で提出を依頼された書類などはほとんど最初から提出し直しとなりました。2021年6月14日、成田空港動物検疫より改めて「届出受理書」をいただきました。
 フィンエアーがキャンセルとなってしまい空路を模索していた間に、関空、羽田、成田と、3箇所の動物検疫に問い合わせをしています。追加で提出を依頼される書類が各所とも異なりましたが、内容としては、病歴や健康状態について聞かれたり、万が一の際の対応へ承諾をするようなものでした。

<番外4 飼養業者さんへの支払い>
 係留中のお世話は、1泊3,000円、係留施設への輸送費3,000円でした。また、係留開放予定日の8月5日は、我々飼い主が帰国後の待機機関中につき移動の制限があるため、迎えに行くことができません。成田空港検疫からも、代理の迎えを要請されていたため、検疫の開放手続きの代行も飼養業者さんへ依頼しました。費用は1,650円だったので、全て合わせて16,650円でした。コロナ禍で直接スタッフの方とお会いすることができないとのことで、事前に銀行振り込みでの支払いでした。
 ここは色々と悩んだところなのですが、8月5日から飼い主の待機期間が終了する8月15日までの間、ペットホテルへ預けることにしました。これについては最後に書きます。

手順6 輸出前検査
 FormACというフォーマットを使用します。Webに記載があるように、「狂犬病及びレプトスピラ症にかかっていない又はかかっている疑いがないこと」を出国前10日以内に検査してもらわなければなりません。
 番外3までを終えた時点で、2021年7月26日の動物病院の予約を取りました。もちろん事前に事情を説明し、対応していただけるかを確認してからです。

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 赤い枠で囲ってある部分については飼い主が記入してもよい欄なので、自分で作成し検疫にメールで事前に確認をしていただきました。OKをもらえた書類の青い枠で囲ってある部分を動物病院で記入してもらうために持参しました。
 我々が行った動物病院では「ブーストで狂犬病の予防接種を打った方がいいと思う」と案内されたので一応打ちましたが、必須ではありません。費用は合計で40€でした。
 書類を記入してもらうときの注意点としては、日付の記入がドイツは「dd,mm,yyyy」なのでミス記入されてしまい、念の為日本に合わせ「yyyy,mm,dd」に修正してもらいました。

手順7 輸出国の証明書の取得
 これがいちばんわかりにくかったのですが、「Veterinäramt 都市名」で検索すると依頼先が見つかります。我が家の場合は「Veterinäramt Berlin」で探しました。手順6を受診した翌日の2021年7月27日に予約を取り、緑の枠で囲った部分のサインをもらいに行きました。費用は20€でした。
 これでFormACが完成なので、すぐに成田の動物検疫へ送って確認してもらいました。不備があった場合は修正が必要になるので、出国日までに少し余裕を持って予約と受診をしましたが問題なくOKをもらえました。

 ここまでで、事前準備は全て完了です。検疫から原本で持参すべき書類のリストをもらったので、それらを揃えて出国します。最後に「輸入検査申請書」の記入を求められましたが、こちらは事前チェックなしで入国時に持参すればよい書類です。

<番外4 ドイツ出国>
 2021年7月31日。搭乗便チェックインの際に、一応ケージに入れた重さやEUパスポートを確認はされましたが、さすが犬大国、しっかり書類の確認等することなく微笑まれて終わりました。この時に輸送費の決済もしたのですが、125€でした。
 出発のブランデンブルク空港も、トランジットのスキポール空港も、ケージに入れることを求められることなくリードで歩かせて平気でした。やっぱり、犬にとってはとても良い場所ですね。フライト中は何度かトイレに連れて行き、水や少量のおやつをあげたり具合が悪そうにしていないかなど見ていました。

手順8 日本到着後の輸入検査
 コロナ禍ということで、飛行機を降りてから動物検疫に辿り着くまでに時間がかかりました。人間のPCR検査を受けてからでないと動物検疫に行けないためです。一応係の方に先に動物検疫に行かせてもらえないか確認したのですが、システム上無理とのことで、人間の検査が終わるまでケージの中で待ってもらうしかありません。長いフライトの後でさすがにストレスが爆発していて、この時間がいちばん大変でした。
 人間の検査を終え、預け荷物受け取りのエリアまで行くと動物検疫のカウンターがあります。担当の方が事前に待っていてくださったようで、我々を見つけてすぐに案内をしてくれました。持参した書類とパグのマイクロチップの確認をして、
係留があるためそこで引き渡しです。
 ぴーぴー鳴く声には胸が痛みましたが、必ず迎えに行くことを約束してしばしお別れ。数時間後、飼養業者の方が、元気に走り回る姿を動画を送ってくださり、これにはとても安心しました。
 係留期間中は事前に書類を提出すれば預けている子との面会も可能な様でしたが、コロナ禍で帰国後の移動や接触が制限されている中では、実質不可能な状態でした。

 2021年8月5日。係留の開放予定日(輸出前待機180日後)に「輸入検査」が実施されます。終了後に検疫から何か連絡がくるかと思ったのですが直接の報告のようなものはなく、お世話を依頼していた飼養業者さんから「無事に終わりました」と連絡があったのみです。この時も動画を送ってくださり、元気そうな姿に安心しました。

<番外5 ペットホテル>
 飼養業者の方へ開放手続きの代行をしてもらった後、成田空港近隣のペットホテルさんへの引き渡しを依頼していました。ペットホテルは、成田空港近隣だけでなく我々の宿泊施設(新宿)付近でも探しましたが、あれこれと悩んで話し合った結果、飼い主の帰国後の待機期間が終了するまでの間空港近隣のホテルへ預かってもらうことにしました。
 飼い主の待機期間が明けた8月16日にペットホテルへ迎えに行き、元気な姿で帰ってきてくれました。
 待機期間中に犬も一緒に泊まれるホテルを探しましたが、残念ながら見つかりませんでした。リゾート施設のような宿泊施設ならあるにはあったのですが、14日間の待機やそこまでの移動手段で公共交通機関が使えないとなると、恐ろしい費用になってしまいます。コロナ禍で、犬や猫と一緒に帰国される方はきっと我々だけではないはずです。それぞれの家庭で様々な事情もあることでしょう。この記事がどこかの誰かの目に留まり、家族である動物も一緒に待機期間を過ごせるような宿泊施設が増えてくれたらいいなと願っています。

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