【絵本 BとIとRとD】
8編のおはなしが入っています。
登場するのは、▢(しかく)ちゃんという女の子。
名前が▢(しかく)って空白のことなんだろうか?
不思議がいっぱいの名前について思ってみたこと。
【並べて楽しい絵本の世界】
黒い背景に浮き上がるように描かれる、酒井駒子さんのちょっと幻想的な絵。
そしてタイトルもとても不思議。▢(しかく)ちゃんって名前もシュール。
ボール紙に塗られた黒のベース、光に浮き上がるように 描かれる絵
それが 舞台を見ているかのような、世界の奥行を感じさせてくれます。
立派な額縁にいれられた、紙芝居のように 物語の断片が8章にわたって、流れていくのです。
1章目、昼間の蒸気機関車の夢・・・酒井駒子ワールドにぐぐっと引き込まれていきます。
夢分析したら、どんな 意識 が見えてくるのでしょう。
ここに登場するのは「私」と 6歳くらいの「女の子」
機関車から逃れなければならない 危険な状況で、間一髪助けられます。
スリリングな始まりにちょっと胸がどきどきしました。
2章目の図書館
本をひろげる女の子のかたわらには2羽の鳥がいて、一緒に本をのぞき込んだりしています。静かな時が ながれます。
これも、なにか夢の中のようです。
ここには「私」は登場しません。視点は女の子だけに絞られます。
どんどんと「女の子」の世界に私たちを引き込んでいきます。
3章目は、ひとり遊ぶ女の子の世界
お母さんが、なにげなく声をかけて、その世界を台無しにしてしまい、女の子は泣いてお母さんを責めます。
あぁ、切ない・・・大人の読者の私はとても申し訳なくて、切なくなりました。
まだ幼くて、自分の精神世界を表現しようがない子どもがいる。
1章目に登場する姿を消した「私」がそれを表現したら、こんな素晴らしい技法で、美しい世界を描けるのかもしれないと思いました。
1章目の「私」が画家の酒井駒子さんかどうか、はわかりません。
もしかしたら、いま、胸をざわつかせながら絵本を読んでいるこの私が「私」なのかもしれません。
とてもとても 不思議な世界の絵本ですが、心の中にすーっと入り込んで、心の奥底で、自分の一部になってしまった絵本。
▢(しかく)ちゃんは、わたしなのかもしれない。
子どものころって、
寂しいことが多かったなと思うんです。
子どものころの記憶の断片と、
いまの暮らしの中での実際の出来事が、
ひとつに合体して、絵本になっていく感じは、ありますね。
https://www.1101.com/n/s/komako_sakai ほぼ日より
MUSEUM 酒井駒子展 あと10日
秋に再展示があるみたいです。嬉しいニュース。その頃もう一度見に行こう。季節が変わったところで、またあの美しい絵が見れる。きっと、違う印象も楽しめる。ミュージアム周辺も。
酒井駒子さんの他の絵本について書きました。
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