【絵本 ルピナスさん】 約束〜「世の中を、もっとうつくしくする」
【並べて楽しい絵本の世界】
1982年、バーバラ・クーニーが65歳の時に刊行された本です。
ルピナスはこんなお花です
青みがかった紫、ピンク、白、黄色など、幾種類もの花をつけ、色によって花言葉が違ったりするみたい。 昔は、「心を明るくして想像力を高める薬草」だったり、ビールのつまみにもなっていたとか。なんか「すてきな魔法」にピッタリなお花です。
絵本で描かれているのは、ひとりの女性の人生。
幼いころに海辺の町におじいさんと住んでいたアリスは、おじいさんから遠い国々の話をたくさん聞きました。
おとなになったアリスは、その後、たくさんの国を旅をし、そして、最後に海のそばに暮らす場所をみつけることになります。
なにをすればいいのかわからないままに、それでも楽しく人生の旅を続けるアリスはとても素敵です。絵本の中盤、繊細なタッチで描かれるアリスの旅がとても魅力的です。
そして、アリスが海辺の家の周りに撒いたルピナスの種が、やがて町中に花咲きます!
数年前に、保育士をしていた友人がなくなりました。
成人してからは2度しか会うことがありませんでした。
1回目に会った時に、鬱症状に悩んでいると言っていました。でも、「子どもたちのために、種を撒く仕事を頑張らなくちゃ」と。
「そうだね」と言って別れた、その20年後2度目に会った時には、娘さんと展示会に来てくれて、楽しいおしゃべりをたくさんして、彼女ももう大丈夫かな…と少し安心。
それからまた10年も会わず。それでも友達?って言うほどの頻度ですが、彼女は私の唯一の友達でした。
お互い60才過ぎたら、会おうねーとLINEを交換した数ヶ月後に、娘さんから、「突然倒れた母が意識の戻らないまま他界しましたと」メールが来ました。
私の頭の中に巡った思いは
種を撒いたのに、花を見れた?
それを聞けなかった悔しさです。
戦前・戦中・戦後を経て、65歳の女性絵本作家が、人生を振り返った時、自分の中にあった「約束」がこの本の刊行によって、はたされたのでしょうか。
人生の終盤を迎えた自分の心にすーっと入りこんできました。
わたしもまた、なにをすればいいか わからないままに生きてきました。
今もまだ・・・
いつか、海辺の町のおじいさんのように
と、言えるようなおばあさんになりたい
そう自分に約束しよう
種をまく人 ジャン=フランソワ・ミレー