元劇場職員が思う、観劇の時に気をつけてほしいこと
ちょっと良いコンサートに行く時とか、クラシックの演奏会に行くとか、そんな機会に恵まれた時、あなたはどうするでしょうか。
「ちょっとしたパーティーに着て行く服が必要なのかな…」とか「場違いな奴が来たと思われないかな…」とか、そんなことは思わなくていいんです。
逆にいくら着飾っていても「本当に勘弁してくれ」と思うお客さまはいらっしゃいました。みんなが楽しく観劇できる環境をぜひ一緒に作っていきましょう!オレとの約束だぞ!
==11月3日追記===================
ここで想定して書いているシチュエーションは、
・コンサートホール
・オペラとかコンサートとかの音楽もの
です。
会場やジャンルが違えばマナーも違う!ということを念頭においてお読みください
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音の出る物は極力持って行かない
お孫さんからもらった修学旅行のお土産ストラップとかですか?それとも家の鍵をなくさないための対策としてですか?
なぜ、なぜ鈴をつけたものを持ってるんですか???鈴禁止にするぞ??? と、言いたくなるくらいに鈴は響きます。
可能であればそういう音が鳴るものはお家に置いてきてください。 もし持ってきてしまったと思ったら、ぜひハンカチで包むなどの一工夫を。
紙のめくる音が死ぬほど響くんじゃ
意外だと思われるかもしれませんが、クソほど響きます。特に優秀なクラシックホールはマジで響きます。 わかりますよ。この曲のことなんも知らねぇやってプログラムをガン見する気持ち。 でもめくる瞬間は爆発物処理班くらいの気持ちでめくってください。
チラシは袋に入れとこう
クラシック系の演奏会に行くと、A4サイズのチラシを本当にたっぷり渡されます。 ある程度気を遣ってくれてるところだとはじめから袋に入ってたりするんですが、プログラムに挟んであるだけだったりするんです。
そして公演中に限ってプログラムを開いた瞬間に落とすんですよね。そして「バサササササ」というとんでもない音と、なかなか拾えない紙に苦労する羽目になります。
そんな時に持っておきたいのはA4サイズが入る大きさのエコバッグ。これでチラシを落下させる心配もなし。
さらに大体チラシは「この公演が好きな人はきっとこれにも来てくれるだろう」という目論見で入れられているので、持って帰って熟読して、興味関心をぜひ広げてみてください。
紙袋・ビニール袋には気をつけろ
さっきのエコバッグは大概柔らかい素材でできているので音が鳴りませんが、ビニール袋のカサカサ音、紙袋のゴソゴソ音は半径5席分のお客さんの集中力を根こそぎ掻っ攫います。 どうしてもの時は足元に置いて極力触らないようにしましょう。
携帯電話の電源は切れ
マナーモードがあるからいい、と思うでしょう。
あなたのスマホの振動、床を伝わってみんなに聴こえてますよ。 演奏会中にすぐ出なきゃいけない用事があるような時は、もう音楽とか楽しんでる場合じゃないんす。
信じられないことに、謎のアラームが起動して音が出たりとかあるんです。今日行ってきた演奏会でも鳴りましたよ。しかも3回も。
「わたしは大丈夫」と思ってる時こそやらかすので電源を切っておけば静かな環境作りに協力できます。
飴ちゃん舐めるな。舐めるならサッと出せ
「咳を出しちゃうと周りの人に迷惑になっちゃう…」その心意気やよし。
ただしなかなか中身が出せずにずっと飴の袋をカサカサカサカサやるの、咳よりもうるせぇです。 おすすめなのはそもそも開演前や休憩中にのど飴を口に仕込むこと。
もしくはせめてグミとかが入ってる系の、個包装されてないやつがおすすめです。
背もたれは「背」を「もたれかけされる」ためにある
想像してください。あなたは初めてオペラに来ました。物理的に高い席があなたの席です。下を覗き込むと、たくさんの楽器や、なんかワクワクした感じでみんな楽しそうです。
さあ、幕が開きました。その瞬間からベッタリ背中は背もたれにつけましょう。なぜかと言うと、あなたが前のめりの姿勢になることで、後ろの席の方の視界の下半分がほぼなくなります。つまりステージがほぼ見えないことになります。
「前のめりにならないと、舞台があんまり見えない…」と仰る気持ちもマジでわかりますが、ステージをしっかりみたいなら金額が高い席のチケットをとるか(物理的に高い席が比較的お安い理由はそこにあります)、オペラグラスを用意するなどしましょう。
席からどんな風にステージが見えるか知りたい方は、大体劇場のホームページにステージが各席からどんな風に見えるのかが示してありますので、そこで確認してみてください。
ちなみに演奏会の場合は、奏者の顔があんまり見えないような上の席の方が音が良かったりということもあります。
そしてめっちゃ当たり前ですが、後ろの人の視界をわざわざ奪いにいく「めっちゃでかいお団子ヘア」とか「バカくそでかいアフロ」とかの髪型は避けましょう。髪質がどうしても膨らむ方は、高さを抑える工夫をしてください…
友人たち(劇場関係者)からの提言
さてここからは、とある現役の歌手と劇場関係者からの提言です。
お手洗いはわりと個室数が少なく混みます、開演前や休憩時は余裕をもって(幕間入場できないこともあります)
長い休憩ではぜひ、ホワイエの展示を見たり、ドリンクサービスやグッズ販売を冷やかしたり、劇場の雰囲気をぞんぶんに楽しんでください。ほかのお客様観察も楽しいよ。
舞台に感動して泣いたり笑ったりするのは、ぜんぜん悪いことじゃないです。奏者側としてはとても嬉しい。周りの迷惑にならない範囲で、ぞんぶんに出してください。わたしこれ泣きそうだなって予想が立つ方は、あらかじめハンカチや抜き身の(ティッシュのパッケージの音は残念ながら目立ちます)ティッシュを握ってご着席ください。
携帯の電源は、ぜったいに切ってください。鳴らなければいいんでしょ、ではない。 画面をチラッと見る明かりも、マナーモードのブーブブも、あなたの思ってる50倍目立ちます。そして、確かにマナーモードにしたはずなのに、いちばん静かないちばん良いところで、着信音は鳴ります。なぜだかそういう法則があります。 その瞬間から、あなたは会場中の人間に命を狙われます。ぜったい電源は切ってください。 日常を忘れられる場が劇場です。たまにはSNSや仕事やLINEから解き放たれて、数時間の非日常を楽しんでほしいのです。
バルコニー席は1列だけだから前のめっても大丈夫…じゃないんだなー! あなたから見てステージとは反対方向への並び席の方の視界を奪います
傘は持ち込むな… 傘立て使え…もしくは預けろ…… 畳んでしまえる日傘は片付けろ……
ダウンとかのシャカシャカいう素材のアウターはクロークに預けろ……
まだまだ提言はありますが、「防げる音がある」「意外とこんなのがうるさいんだ」ということに気付いてもらえるといいなーと思っております。そして「みんなで素敵な演奏会を作る」という当事者意識が大事です。
ぜひ皆さん良い観劇ライフを!!!
追記 2023.10.10
とある筋から聞いた話だと、公演中によく作動されている「携帯電話電波抑止装置(妨害電波を出して圏外状態にし、通信できないようにする機械)」っていうのがあるんですが、最近の5G電波はこの抑止装置を貫通するらしいです。
つまり電話もかかってくるし、メールも送受信ができちゃう。やっぱり携帯電話は電源切りましょうね。