【ネタバレ】ロブ・サヴェッジ『ズーム 見えない参加者』Zoom降霊会の恐怖

パソコン画面の映画を映画館で観るものほど滑稽なものはないが、本作品はコロナ禍で外に出られない人たちがコロナ禍で外に出られない人に向けて製作された(であろう)Zoom映画なのだ。週イチでZoom呑みをしている六人の友人たちが、呑み会の延長線上で降霊会をすることになるという話。突然通信が切れたり、画面越しに友人に何かが起こっても見ていることしか出来なかったり、逆に離れているはずの全員の家で同じことが起こったり、何もない空間で顔認証したりとオンラインならではの恐怖の煽り方をしていて新時代を感じる。特に仮想背景の使い方が上手く、"最近寂しいから"という理由で"動く自分の動画"を仮想背景にしていたキャロラインは、その不在を途中まで気付かれず、しかも外部から解除できないので、インカメに人の顔認定された血塗れのキャロラインの顔が何度も打ち付けられる姿が細切れに映し出される場面は頗る恐ろしかった。また、超常現象に見舞われてどんどん消えていく仲間たちがミーティングからも退出していく終盤も中々怖い。課金してないからミーティングが終わるという幕切れも強制力があってとても良い。コロンブスの卵感もあるが、やったもん勝ちってとこでしょう。

反面、ミーティングのホストがヘイリーなのだが、話者拡大設定と並列設定が都合よく切り替わったり(リアルタイムなのでワンカット相当になるがそれを防ぐため？)、PCのインカメ使ってる(人の顔＝リアクション)のに都合のいいときだけ外に向いてて、甘々すぎだろとも思ったり。エンドクレジットがZoomに参加していたメンバーみたいに書かれているのは面白いけど、無用な誤解も生みそう。

・作品データ

原題：Host
上映時間：56分
監督：Rob Savage
製作：2020年(イギリス, アメリカ)

・評価：70点