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アンナ・ボーデン&ライアン・フレック『キャプテン・マーベル』新時代の女性ヒーロー爆誕

"君は純粋な心を失ったんだね"
とサノスが呟いた
"君は用済みだよ"
そして、パチンと指をならし、私の存在を消し去った。

そう、私はマーベル映画には用済み、"残り半分"の消された人々であり、無い物ねだりして作品に低評価をつけて夢をぶち壊す輩である。

"マーベル映画はさしずめディズニーランドである"とは誰の言葉だったか。私かもしれない。何も考えなくていい夢の国。では夢とは何かと考えると、実際にディズニーランドで夢が叶う人間は少数だし、ディズニーランドが夢に出てくることもあんまりない。全てを忘れて楽しむことが前提の"現実を忘れる場所"なのだ。しかし、無駄に冷静な私はディズニーランドでも普段通り行動するので、"それディズニーランドでする会話じゃなくね"とたまに言われる。ごくたまにね。(でも冷静に考えて欲しい。ディズニーランドだけでする会話って何よ)

マーベル映画も同じである。深く考えちゃいけない。楽しめばいいのに。私は何をしてるのだろうか。前回のインフィニティウォーでサノスに殺されたはずなのに、私はこうして全米公開よりも先に見て、頭を抱えているのである。

最初の方は楽しいこと書こう。


そう、猫。にゃー。本作品は猫映画である。宇宙空間にも猫を連れていく猫映画である。猫好きにはたまらないだろう。無論、私は動物アレルギーなので犬だろうが猫だろうが近付けないのだが、どっちも好きだ。猫、可愛かった。

ブリー・ラーソン
インディーズ時代から追っている女優の一人で、アカデミー賞を受けたときの感動もひとしおだったが、マーベル映画に出ると聴いてジェニファー・ローレンスラインかと残念に思っていた(彼女には都会に行った幼馴染みたいな感覚を勝手に抱いている)。が、ラーソンはいつも通りラーソンだった。

謎への回答
色々明かされるのはムカつくけど楽しい。そこに違いはないとはいっておかねば私が狂人のように思われてしまう。この映画に言いたいことはこの後色々言っているが、楽しんではいる。ジェットコースターと同じだ。ジェットコースターに乗ってるときに冷静な会話はしないからね。

以下、色々言っている部分。

『ブラックパンサー』について、私はマーベル文法の最たるものであると書いた。マーベルは既に基本設定を入力したら脚本を吐き出すプログラムを手にいれたようだ、と。味方が最大の敵であり敵だったものと協力する展開、お馴染みのメンバーと新加入メンバー、社会問題についての言及(黒人差別或いは女性差別)、似ている点は数多くある。サイコスリラーみたいな展開が面白かっただけに、後半に向けてただのアクション映画に堕ちていく感じが切なかった。

卒がない。過不足がなく、テンポもよく、笑いもメッセージもある。それが本作品の欠点である。ギチギチに詰まったパッケージに指を入れる場所がなく、パッケージが張り裂けそうなくらい大きいのに開くことすら出来ない。そんな感じである。
それに、そのまま現代に直行するので、余韻もない。余白もない。我々はこの映画で遊べないのだ。口裏あわせ、謎への回答、新加入メンバー紹介PV。『ブラックパンサー』と同一である。

例えば女性差別への言及。お前は女だからゴーカートをとばすな、女だからコックピットには乗せない、女だから女だからと差別されてきた。しかし、ヴァースとなってからは差別されていない。それは力を持った大切な存在だったからと言われればそうなのかもしれないが、同じ船に乗っていたミネルヴァのことを考慮すればそうでもなさそう。ということは女性差別をしているのは地球だけとなるのだが、別に地球で女性差別をする人物は出てこない。つまり、女性差別が実際には登場せず、過去の乗り越えるべきものに変換され、"力が故に強い"+"女性"だったラーソンは力を失いそうになっても強くいられるという個人の成長には役に立ったが、何にも解決していないのは気のせいか。しっかり言及してるのに、しかもラーソンは観客から喧嘩を売られて場外乱闘が勃発し"本作品をスーパーフェミニンな映画にしようと思った"とまで語っているのに、あまりに薄くないか。"過去の差別は乗り越えるべき対象"ってのは最高に気に入らないよ。どんなにクサくても"差別はどんな時代でもダメ"って言ってくれよ。と。これが無い物ねだりである。
よくよく考えてみると、ラーソン=ヴァースに対して恋愛要素がないとか、彼女が力を付けて敵をボコボコするとか、そういうパッケージ面から滲み出る"強さ"みたいなのはあったのか。

次に音楽。これがまた酷い。GoGではピーターを地球出身という設定にすることで懐メロを大量投下してコミック映画から離反したおじさん層の心を掴んだ。だが、1990年代に話を移した本作品では音楽より効果音の方が大きいのである。普段音楽は基本聞き流してる不届き者であることは自覚しているが、これは中々の酷さだった。

さて、表題は何にしようか。そうだ、こうしよう。

[キャプテン・マーベル紹介PV、或いは"猫とキャロルと仲間たち"]


これが、いつもエンドロール中に頭を流れる思考である。


ちなみに、IMDbでは熾烈なネガティブキャンペーンが行われており、公開間もないのに評価に1を付ける輩が続出、レビュー欄も"つまんね"とか"がっかりだよ"というコメントに溢れている。私も本作品がそこまで好きではないが、こういう場外乱闘はもっと好きじゃない。

日本で公開が遅れるのは『アベンジャーズ/エンドゲーム』に向けて少しでも公開を延ばしたいのと、学校の終業式シーズンを狙ってるのと『スパイダーマン:スパイダーバース』や『グリーンブック』(?)の公開とズラす目的など色々あるんだろうけど、海外評に負けて興行失敗がないよう頑張ってほしい。

これはいい写真だね。

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