三年千篇のツイッター小説 継の100篇

1日1本、1ツイート分の小説を投稿している。

前回まとめをnoteに投稿してから時間が経ち、200篇になった。

と、いうわけで継の100篇をどうぞ。

101

「……ごめんなさい」
「薄々気付いてたよ。——相手は誰?」
「その……妹ちゃんと……」
その言葉に思わず立ち上がる。
「どうしろっていうんだよオイ!!」
「ごめんなさい!許——」
「違う!」
俺は頭を掻きむしりながら睨んだ。
「俺は浮気は許せても、百合に挟まる男は許せない!」
#ツイッター小説

102

「先輩って、エッチですか?」
「は!?その、男って普通はエッチだと思うけど……」
「先輩がエッチかを聞いているんです。」
「……好きな子の前ではエッチ、かなぁ」
「そうですか(シュン」
「だから君といるとエッチなことばかり考えちゃって大変ですっ!」
「……先輩のエッチ」
#ツイッター小説

103

「……やってやる」
この世界をひっくり返す。召喚されて行き場のない僕を助けてくれた彼女が、いわれのない不敬罪で捕まるのを見た時、僕は決意した。
生憎僕はなんのチートももらえなかった。死に戻りも無属性魔法も。それでも
「待ってろ専制君主」
民主主義だけが、僕の武器だ。
#ツイッター小説

104

小夜啼鳥よ歌え
紛い物の小夜啼鳥よ
貴様に命は救えない
貴様に心は救えない
ああけれど 絡繰仕掛けの小夜啼鳥よ
命無き貴様にしか果たせぬ役目がある
主人亡き世界で
聴くもの無き星でただ一人歌え
かつてのその星の歌を
機械仕掛けの小夜啼鳥よ
#ツイッター小説

105

どこまでも広がる雪原を、3Dプリンタで印刷した雪上バイクで走る。電池は道々充電すればいい。本当なら、海があった頃よりも自由に遠くへ行けるはずなのだ。
その先の景色がここと変わらなくても、ここではないことは確かだ。そして、こことは違う人がいるはずなんだ。
#ツイッター小説

106

「どうして牛を皆殺しにするんですか!」
「代替タンパク質が普及して、もう牛肉も牛乳も買う人がいなくなったからね。それに牛はメタンを出す。もう牛は存在するだけで害悪なんだよ」
「可哀想だとは思わないんですか!」
「ペットじゃないからな」
「なら、私が飼います!」
#ツイッター小説

107

「早く帰ってFPSしてぇな〜」
休み時間、机に突っ伏してぼやく。
「VRでいいの無いかな。HMDってだけじゃなくて、もっと没入感の—」
『失礼します。敵襲です』
暗転。目を開ける。
「俺は今自分の発言を後悔してる」
『士気が向上したようで何よりです。学園モノの作品お好きですね』
#ツイッター小説

108

「お風呂、上がったよ〜」
ドライヤーの音が止まり、パジャマ姿の彼女が姿を見せた。僕はベッドで思わず目を逸らす。
「今、変なこと考えたでしょう。耳まで真っ赤だよ?」
隣に腰掛けて君が言う。
「そんなこと言ってると本当に襲うからな」
「襲っちゃだめなんて、言ってないよ?」
#ツイッター小説

109

幸か不幸か、人類が知らない間に合成樹脂を食べる菌が発生して、マイクロプラスチックの問題は一度に解決したものの、コンピューターの基板やら光ディスクやらあらゆる樹脂製品が腐り始めて、まあ世界というのはままならないものだ。
#ツイッター小説 #一文SF

110

「待てよ!」
振り返った少女は、この雨の中でも分かるくらい泣いていた。
「優しくするな!あんたは私じゃなくて、姉さんの恋人だろ!」
「関係ないだろ」
「お前のその生ぬるい優しさが今回の危機を招いたと言っても過言ではない!」
「…なんで本郷猛?」
二人は思わず吹き出した。
#ツイッター小説

111

「君みたいないい子が彼女ナシなんて」
「やめてください。褒められ慣れて無いんでそんなこと言われると好きになっちゃいます」
「…いいですよ?好きになっても」
「駄目ですよ。あなたのことをもっと知って、ちゃんと好きになりたいんです」
「それ、もうすごく好きじゃないですか」
#ツイッター小説

112

いや、ついに念願のフルダイブひざまくらVRが登場して、膝の感覚も、耳かきの感触まで感じられるようになったのは確かに嬉しいけど、耳かきされてる間は動けないし基本目をつぶっているので、結果として音声作品と大差ないのではという疑問が……
#ツイッター小説

113

深夜、電気の消えた部屋に帰り着く。
いつからだろう。この国の民主主義が枯死してから、俺たちは“華族”の奴隷として生きる以外の道を失くした——
「わけねえだろ」
HMDを被るとそこは、ベルベット敷のロビーだった。
「遅えじゃねえか首魁」
「待たせたな。今夜も“革命”を始めよう」
#ツイッター小説

114

ビクッ!!
ベッドの中で身体を震わせながら目を覚ます。それから、一度深く息をした。この目で見たわけでもないのに、あの全てを失った空の青が網膜から離れない。
枕元には、数日前に読み終えたSF小説が置かれていた。
「あの子たちは、何を間違えたんだろう?」
私は呟き、また眠る
#ツイッター小説

115

「にしても、こんなお金どこから湧いてくるの?」
「ああ、ちょっと耳を失礼——」
「……」
「そんな顔するなよ。ズルしてるだけで悪いことしてるわけじゃない。ロビン・フッドだって、国王と戦うために義賊をしただろ?」
「それ、最終的に裏切られて死ぬよ」
「——いいね。俺好みだ」
#ツイッター小説

116

溜め込んでいたチーズが、綺麗さっぱり消えてなくなっていた。安直に「ネズミの仕業か?」と思いかけて、首を振る。実はネズミがチーズが好きだというのは誤解で、本当は臭いが強いものは苦手らしい。じゃあ、チーズはどこに消えたのだろう?そして、チーズを溜め込んでいた私は何者?
#ツイッター小説

117

「しかし、サーバーで人格のエミュレーションプログラムが動いているだけの事を生きていると呼べるのか?」
「なら、蛋白質でできたシナプスが連続的に発火して電気信号を伝えているだけのことを生きていると呼べるのかい?」
「それを生きていると呼ぶんだよ」
「なら僕もそう呼ぶ」
#ツイッター小説

118

最先端のバイオ技術と金属材料技術を融合させて、実際に生きたカエルを使った作られた財布『バイオがま口』なんて、いったい何を考えて作ったんだと小一時間問い詰めたい。
#ツイッター小説 #一文SF

119

「くっ……!Lvドレインは禁呪指定されているんだぞ!」
「身体は正直だよ?ほら、勇者様。美味しいexp出しちゃえ」
「うっ!」
「あはは!……ってあれ?」
「——お前のような手合いを相手にするときは、Lvを射しきって来るようにしている。それで一度世界を滅ぼしかけたものでね」
#ツイッター小説

120

「僕みたいな駆け出しがご一緒しても大丈夫なんでしょうか?」
「レベルドレインサキュバスは、俺らみたいなベテランと相性が悪いんだ。お前が前衛で引きつけている間に、俺たちが遠距離で攻める。それと…」
「?」
「——うちの魔導士はショタコンでな。エロ依頼を受ける交換条件で」
#ツイッター小説

121

オムレツを作らないといけない。
叔父は毎朝仕事に行く前に、朝食にオムレツを食べるから。
親を亡くした私を引き取った叔父は、私がこの部屋でなに不自由なく過ごせるようにしてくれた。ここに居さえすれば安全だ。
本を掴む。地図を2つ。
だから私はオムレツを作らないといけない。
#ツイッター小説

122

「ねえママ?」
「なぁに?」
「どうしてお星さまには行けないの?お月さまには行けるのに」
「それはね、遠すぎるの。どれだけ速く飛んでも、何十年、何世代とかかる長い長い旅だったのよ」
「へぇ〜。じゃあパパってすごいんだね!」
「ええ、本当に尊敬しているわ」
#ツイッター小説

123

世界が終わっていくのを見た。まったくもってひどい話だ。この世界は存在しているだけで罪だなんて。いくら中学生の暇つぶしで生まれた世界だからといって、そこに住む俺たちは生きているのに。でも、もうどうでもいい。この世界を守るために最後まで諦めなかった君はもういないから。
#ツイッター小説

124

やればできる。確かにそうだ。やってやれないことはない。さて、ここに特製のハノイの塔を用意した。全部で50段ある。ルールは知っているね?段は一つずつしか動かせず、より大きい段の上にしか乗せられない。全ての段をこの三本の棒の右から左に移し替えられたら君の勝ちだ。頑張れ。
#ツイッター小説

125

「昔、ラブレターを書いたことがあったんだがな」
「へえ、じいさんにもそんなことが。それで、どうなったんだ?」
「すったもんだの末に渡せなかった」
「そりゃ残念」
「いや、良かったと思ってるよ」
「なんで?」
「あれは君のばあさんに宛てたものだったからね」
#ツイッター小説

126

突然前世の記憶が蘇って、自分がトラックに轢かれて転生した日本のうだつの上がらないサラリーマンだったことがわかったのだけれど、転生しても依然として日本のうだつの上がらないサラリーマンだった俺はいったいどんな顔をすればいいんだ?
#ツイッター小説

127

「入って」
「失礼します」
私を呼び入れる声に扉を開けると、中で裸の奥様が私を待っていた。夜、奥様はこうして自らを整えられる。あの男を悦ばせるために。自然な化粧をして、全身にベビーパウダーをお塗りする。決して手に入れられない女性だとしても、この時間は私だけのものだ。
#ツイッター小説

128

ロボと人間が向かい合って座っている。
「——Frankenstein Complex」
その言葉に執筆を止めて顔を上げる。
「ロボが叛逆するかもって不安のことだけど、実際にはこんな関係だもんな」
「だね」
「逆に、人間を恐れるロボとかどう?」
「いいね。やっぱりネタ出しは人間には敵わないな」
#ツイッター小説

129

あんまりにもご主人がしつこいから、一度こっそりと塩と炭を使って電池にして充電してみせたら、ほんとに充電できるものだと勘違いしたらしく、自分で飲めばいいのにイナズママークのエナジードリンク缶を発掘して見つける度に俺に飲ませようとしてくる。
#ツイッター小説 #一文SF

130

すごく便利だからと言われて買ったゴミ箱、たしかにすごく便利で、もう三年も分別もゴミ出しもしないで済んでいるし、長らく汚部屋だった家がいまだに綺麗なんだけど、仕組みが分からないものがここまで便利だと、いつか盛大にツケを払わせられそうでなんか恐い。
#ツイッター小説 #一文SF

131

「明日には消えちゃうんだって」
その言葉に、私は隣の君を見て首を傾げた。君は、切なげに見上げながら続けた。
「“落書きは24時間以内に消す”それがこの街のルールだから。——こんなに素敵なのに」
「だからまた描けるんだろ?」
そう言うと君は驚いたように振り向いて、柔く笑った。
#ツイッター小説

132

「何を読んでるの?」
「これ?暖炉が書いた小説」
「暖炉が小説を書くの?」
「貴重な資源をそのまま熱にするのはもったいないだろ?コンピュータ1つがランダムに単語を繋げ、残りが評価するを互いに繰り返して学習させて、その排熱で部屋を暖めてる」
「面白い?」
「理解できない」
#ツイッター小説

133

やってしまった。重々気をつけていたつもりだったのに。まさか何気なく買ったアイスに洋酒が入ってたなんて。昨日はそこから記憶が無いのだけど、朝起きたらベッドで隣に寝てた、この明らかにいわくありげな剣は何処から持ってきたんだよ。しかも台座ごと。
#ツイッター小説

134

標的はある大魔法の魔女だった。『全ての人形に心を』当初、人と関係は良好だったが、軋轢は膨らみ、終に叛逆した。辿り着いた標的は、無数の管で繋がれた老婆だった。
心電図の音が止まる。
「母様!」
「君達の負けだ」
「いいえ私達の勝ち。最期まで愛しい人と共にあったのだも—」
#ツイッター小説

135

「また明日ね?絶対だよ?」
彼氏の車に手を振る。車が見えなくなったところで、このワールドからログアウトした。
「——あ〜、キモかった」
HMDを外し溜息。VRキャラの“中の人”が私の仕事だ。寝る前にメイク落とさないと…
——勤務時間終了につき暗転。どこ需要なんだVR女優OL役って。
#ツイッター小説

136

地球人類文明に止めを刺した地球温暖化は、意外なことに二酸化炭素増加による大気組成の変化ではなく、皮肉にも化石燃料消費量の削減を狙った大規模太陽光発電、エクサソーラーによるアルベドの低下と、貯蔵されたそのエネルギーを消費する際のジュール熱によって起こった。
#ツイッター小説 #一文SF

137

「普通気づかないことだけどさ」
雨が地面を打つ音の中、そう言った貴方を見る。
「生きて、立って、歩いてるってことは、間違いなく誰か愛してくれた人がいたって証拠なんだな」
血が滲むような声で吐き出した貴方の視線の先には、臍帯が着いたまま打ち捨てられた乳児の骸があった。
#ツイッター小説

138

「合コンなんだから美香ももっと気合い入れてメイクしなよ〜」
「私は、素の私を好きになってくれる人が——」
「『素』がそんなに大事?どう生まれたかが?私はそんなものより私がどうなりたいと願って実際にどう行動したかの方が——あいたっ!」
「その熱意をもう少し仕事に向けろ」
#ツイッター小説

139

「なんで毎年同じ時期に流れ星が流れてくるの?」
「ああ。流星群の流れ星は彗星が残していったものでね。」
「彗星が毎年流してるの?」
「じゃなくて公転軌道上に残っているものに地球が突っ込んでるの」
「ふうん」
「つまり、流れてるのは俺たちの方だな」
「滑ってるのがでは?」
#ツイッター小説

140

なまじ見栄を張って6畳の部屋を借りたのが悪かった。この三連休を引きこもってやり過ごせる気がしない。4畳半になら、永遠も、無限に並行する世界も、その中に見出す方法をいくらでも学んでいたというのに。やはり6畳は俺の手には余る。とりあえずぬらりひょんじみた悪友を呼ぼうか。
#ツイッター小説

141

「ねえ司令」
「ん?」
「なんで世界を救おうっていうのに、矢面に立たされるのが僕らみたいな子どもばかりなの?」
「……君のお父さんは俺の同期で、化け物で、英雄だった。あいつも世界を救ったが、当時は俺もあいつも10代の子どもだった。同じことを、俺も俺の司令に聞いたよ」
#ツイッター小説

142

「坊主憎けりゃ袈裟まで憎いとはよく言ったもので、感情が高まれば関係するもの全てが憎く思えるというのは分かりますし、逆も然りで、好きなものは関わる全てが愛しく思えるというのも分かりますが、何が言いたいかと言うと匂い嗅ぐのそろそろやめてもらっていいですか!」
「やだ」
#ツイッター小説

143

「Hしないと出られない部屋じゃないの?」
白い、ベッドしかない部屋。僕と一緒に監禁されている女性が言う。
「でも、これは脱出の手がかりのはずなんだ」
僕は壁の意味深な数式を見つめ、閃いた。
「ああ!これは16進数じゃなくて、18進数なんだ!だから解は…Hだ!」
「結局!?」
#ツイッター小説

144

知性が発生しないように脳の発達を抑えて製造したヒトクローンに人権が発生しないというところまでは理解できても、普段通りに歩いてるときに、道の陰に体液に塗れて使い捨てられた自分を見つけるのはどうしたって感情的にはぞっとしないのでどうにか法規制をお願いしたい。
#ツイッター小説 #一文SF

145

春の柔らかな日差しの中、新郎と新婦が華やかな笑顔を浮かべている。純白のドレス、手にはブーケ。両親や友人たちは温かい拍手で新たな門出を祝い、空には鳥が鳴き、祝福の鐘が響く。

ごーん、ごーん、ごーん……

「どうしてこの場面でお寺の鐘なの!?」
#ツイッター小説

146

「昔々、お爺さんとお婆さんがいました。ある日柴刈りに行ったお爺さんは帰り道、山賊に襲われて死んでしまいました。おしまい」
「その昔話の教訓は何?」
「教訓?それなら——」
そう言いながらおじさんはサイレンサー付きの拳銃を取り出して
「死は突然に訪れる」
引き金を引いた。
#ツイッター小説

147

まあバイオリズムというものはあるわけで、これといった理由もないけれどほとほと疲れ果ててしまったのだけれど、冷蔵庫にいつだか放り込んだ、ご飯と、醤油で味付けたお肉が残っていたので、どうにかまだ私は私でいられるみたいだ。
#ツイッター小説

148

「僕にはなんの理由も無いのです。得られる教訓も、世界を変えようという意思も、何一つ込められていないのです。ただひとときの娯楽と慰みのために産み出された、塵埃に等しいものなのです。僕という物語は」
「そうかい。それは良かったな。それより上等な理由は持ちようもない」
#ツイッター小説

149

「は?今なんて言った?」
「諦めるって言ったんだよ。告白したのは俺の方だ。彼女に好きな人ができたんなら、身を引くのが筋だろう」
「ふざけんな!誰の許可もなく勝手に告白して付き合っておいて、それで今度はあいつに渡すだぁ?お前らなんかより僕の方が先に好きだったんだぞ!」
#ツイッター小説

150

「世界で一番美味しいココアって何だろう?」
「うん?まあ、美味しいというのは主観だからね。明治も森永も、飲み比べれば違いは分かるだろう。でも一番美味しいのはラビットハウスの——」
パァン!
「言う前に殴るこたないだろ!」
「じゃあ言ってみろ」
「心愛ちゃんだ!」
パァン!
#ツイッター小説

151

「あ〜……こりゃ絶体絶命だねぇ」
「あきらめんなよ!まだやりたいことがあるんだろ!そのために千年も生きてきたんだろ!」
「そう……そうだったね」
そう言って彼女は立ち上がる。
「『大切な人を守って笑いながら死ぬ』ありがとう。君のおかげで最後の望みが叶った」
そう笑った
#ツイッター小説

152

「分かったって本当ですか!?」
「ああ、『亡くなった母が歌ってくれた子守唄』だったね。かなり難航したが、分かってしまえば何のことはない。君は2つの曲を混ぜて覚えていたんだよ。どちらも同じシリーズのゲーム曲だ」
「童謡じゃなかったんだ……ゲーム名は?」
「『MOTHER』」
#ツイッター小説

153

「いや実際、眼鏡がどこにあるのか分からなくなることあるだろ?なにも透視機能なんてついてなくていいんだ。普通の、自分の視力に合った眼鏡を『眼鏡探し用眼鏡』として置いておくと便利なんだよ」
「……その眼鏡を普通に使ってはダメなの?」
「どこにあるか分からなくなるだろ」
#ツイッター小説

154

「やりがちだが、表現者が自分の作品を卑下するべきじゃないんだ。『これ、あんまり美味しくないんだけど……』とか言いながらコックが出す料理を誰が食べたいんだ?」
「……なぜラブホで突然表現論を?」
私が訊ねると貴方は赤面して言った。
「その……童貞なのでご配慮ください」
#ツイッター小説

155

「さあ、冒険者君。私の膝に頭を置いて?」
「だ、だが」
「どうしたの?耳かき棒は毎回アルコール消毒してるから清潔だよ?」
「…酒で拭くと綺麗になるのか?」
「病気の原因は、菌っていう目に見えないくらい小さい生物なの。お酒にはそれを殺す力があるんだ」
「そうなのか!?」
#ツイッター小説

156

「その知識、学習装置で覚えたんだろ?なんであいつらには使わないんだよ」
「……一番効率がいい記憶法って知ってるか?」
傾げる首に、神速で突きつけられたナイフの先端から赤い雫。小さく悲鳴が漏れる。
「強い感情と共に記憶すること」
彼はただそう言ってナイフを下ろした。
#ツイッター小説

157

「ねえ?」
「ん?」
サイゼリヤで対面に座った彼女が、エスカルゴをつまみながら俺に言った。
「あんたこれから何に喧嘩売るの?」
目を丸くした俺を見て彼女は片頬を吊り上げる。
「……世界」
「ははっ!そりゃいい」
蝸牛を飲み込む。
「世界を敵に回したあんたの私だけが味方よ」
#ツイッター小説

158

「大変だ!」
「どうした?」
「ミロのヴィーナスの手が見つかってしまったんだよ!」
「なんだって!大発見じゃないか!」
「どうにかして隠さないと」
「なぜ?美術史をくつがえす大発見じゃないか」
「だからだよ。……見つかった手は、剣と天秤を持っていたんだよ!」
#ツイッター小説

159

「俺には生きている価値がない……」
「あのなぁ、いいんだよ価値なんかなくて」
「でも」
「お前が赤ん坊の時に生きている価値があったか?誰か1人でも他人の役に立った赤ん坊がいたか?」
「……」
「価値がなきゃ生きられないって思うんなら、価値ができるまで生きなきゃならん」
#ツイッター小説

160

僕を見上げて君が聞く。
「ねえ、私はなんで幸せなの?」
「それは僕が愛したからだよ」
君は不満げに頬を膨らませた。
「それ、言ったあなたが神さまだったらぶん殴ってた」
「そうかい。それはよかった」
それを聞いた君は前を向いて歩き出した。
「……黙っていて本当によかった」
#ツイッター小説

161

「ベートーヴェンはすごく神経質で、毎朝飲むコーヒーの粒の数まで指定してたんだって。どう思う?」
「ココアじゃなくてよかったねって思う」
「なんで?ココアの方が楽そうじゃない?」
「ココアパウダーの粒の数なんて数えていられないよ」
#ツイッター小説

162

「おげぇぇ」
私はキーボードに突っ伏してうめく。
「どうした?」
「あはは。甘々シーン書きすぎました」
答えながら差し出されたブラックコーヒーを飲む。
「……まて」
「はい?」
「ヒロインに自分の名前を付けるとこまでは多少痛いで許容するが、なんで地の文が『俺』なんだ?」
#ツイッター小説

163

「まだ過去なんてなかった頃、あれは輝いてたんだ。大きな期待を託されて」
「……」
「それから長い年月が経って、あれも過去のものになって、輝きも失われた。でも過去だって輝きと同じくらい尊いと思うんだ」
そう言って君が見上げる、パの消えたパチンコ屋の看板。
「何の話だ?」
#ツイッター小説

164

『君の不能は人類の損失だ』
と悪友が押し付けたメイドセクサロイドはなんと家政婦として優秀だった。
「何か報酬をあげたいけど、ロボにお金というのもな」
「でしたら、学習用に唇、乳首……大事な所などへの接触を報酬と認識する仕様になっています」
「君のお母さんを殴ってくる」
#ツイッター小説

165

「どうしてこんなことに?」
いつも2人で過ごしていた部屋から窓を覗く。窓の外には何もない。世界にはこの部屋しかない。先輩が私を後ろから抱く。これも、いつもの先輩の催眠術だろう。
「大丈夫です。世界に2人きりでも。先輩となら」
「ああ、大丈夫だ」
#ツイッター小説 #後輩ちゃんと催眠術先輩

166

「ねえお父さん」
「どうした?」
「サンタさんはどうやって世界中の子どもにプレゼントを買ってるの?なんでそんなにお金持ちなの?」
「……とうとう本当のことを話す時が来たか。汚い大人の事情だがサンタさんはな」
「……うん」
「……コカコーラがスポンサーに就いてるんだ」
#ツイッター小説

167

「ついに完成したぞ!AI物理学者だ!」
「物理学者、ですか?」
「ああ。物体の運動を解析し、数式化することで、まだ人類が知らない法則を見つけ出すことができるんだ!」
「そんなこと」
「しっ!解が出力されているぞ!」
画面に映っていたものは

『始めに神は光あれと言われた』
#ツイッター小説

168

航行中の飛行機が突然高度を落とした。
「お客様の中にお医者様はいらっしゃいませんか!」
「私は医師です。どうされましたか?」
「よかった。操縦士が意識を失いまして」
走り去るCAと医師。戻ってきた医師は拍手で迎えられた。
だが再びの急降下。
「お客様の中にエンジニアは!」
#ツイッター小説

169

さすがに生命の危機を感じたので、メイドセクサロイドたちに「エッチは1日1回まで」と言ったのだけれど、「エッチは1日1回」と解釈されたのか、全員が毎日1回要求してくるようになるわ、日付をまたいで2回連続したがるやつが出てくるわで事態が悪化したように思えてならない。
#ツイッター小説 #一文SF

170

「待て!」
その声に振り下ろされかけた刃が止まる。
「……仲間を見捨てて逃げた臆病者が、勝ち目も失せたこんな時になんの用ですか?」
「ああ、確かに俺は逃げた。俺は臆病者だ。だがな、臆病者にだって捨てるわけにはいかない誇りってもんがあるんだよ!」
「……プライドチキン」
#ツイッター小説

171

「ねぇ、あなたには心の底から信じてる人はいる?」
「……いるよ」
「もし、もしもその人が嘘を吐いたら、あなたはどう思う?」
「それは……嬉しくて笑っちゃうね」
「どうして?」
「だって、私が信じる彼は、世界の誰より嘘吐きだからさ!何が『新キャラは期待しないで』だ!」
#ツイッター小説

172

「博士!私の初めての発明です!本好きの博士なら、きっと喜んでもらえるかと」
「ほう、これはずいぶんと大掛かりだね。何かを作る機械かな?」
「はい!こちらに充分古くなった本を入れると、こちらからその本の香りの香水になってでてきます!」
「絶妙にいらない!古くても本!」
#ツイッター小説

173

「ねえ、いま流行りの女の子にあげたら喜ばれるプレゼントってなんだろう?」
「それは分からないけど、『いま流行りの、女の子にあげたら嫌がられるプレゼント』なら分かるよ」
「いや、なにそれ。全然いらない知識なんだけど」
「ドルチェ&ガッバーナの香水」
「ああ……たしかに」
#ツイッター小説

174

「先輩。先輩の属性ってなんですか?」
「属性?火属性とか?ゲームのキャラじゃあるまいし」
「違いますよ。ポニテ萌えだとか、年上好きとか」
「ああ。……後輩萌え、かな」
「もう、先輩ったら」
「?」
「私に言うとか、もはや求愛じゃないですか」
「オメーじゃ断じてねえ!」
#ツイッター小説

175

「これは?」
自称宇宙人が渡してきた立方体を眺める。
「星図だよ」
「これが?」
怪しむ私を見て彼女が天面に触れると、虚空に無数の光点が広がる。
「星図は時間と空間の4D表現じゃないと。ほら、ここが今の地球」
巨大な眼に見つめられるような感覚を覚えて、思わず空を見上げた。
#ツイッター小説

176

「あの……何か事件でもありましたか?」
そう尋ねると、目の前の刑事はため息をついた。
「このところ自殺未遂が増えててな。今月保護した全員があんたの小説の読者だと。あんたの、幸せな自殺を書いた小説の」
「でも」
「あれを真似して全員未遂。逮捕状と感謝状どっちが欲しい?」
#ツイッター小説

177

「ん?」
賑わう酒場の一角に、客が遠巻きの卓がある。男が1人、身の丈ほどの得物を抱きながら呑んでいる。
「槍、か」
この剣と魔法の世界で。視線に気づいた男が来る。
「やんのか」
「いや。長物には勝てん」
そう言って席を立つ。
「待て。俺から逃げた奴は初めてだ……何者だ?」
#ツイッター小説

178

「明日の朝はノーパンでご飯を作ってあげるね」
初めてのお泊まりデート、ベッドで彼女がそう言って僕は反応に困った。いや、分かっている。『ノーパン料理』というのは、鍋を使わない料理のことなのだ。
翌朝、甘い香りに目を覚ます。これは、ホットケーキか。
「ホットケーキ!?」
#ツイッター小説

179

「なんでそんな回りくどい告白の仕方したの?好きなら好きって最初から言ってくれればこんな不安な思いしなくてすんだのに」
「僕が君に惚れたのは1年の6月だけど、それでも?」
「……や。それは確かに『は?何言ってんの?』って反応だったと思う」
「な?」
「ってそんな前なの!?」
#ツイッター小説

180

「今年の目標は?」
「……それ、聞くの2日早くない?」
「だから、来年の目標じゃなくて今年の目標を聞いてるんだよ」
「いまそれを聞いてなんになるの!?」
「いや、もし達成できてなかったらお手伝いをしようかと思いまして。無理矢理にでも」
「……死ぬ!間違いなく死ぬから!」
#ツイッター小説

181

「あの、あのですね。昨今のサキュバスブームで召喚数が増えたのは大変にありがたいことではあるのですが、とはいえサキュバス自体の数はいきなり増えるものでもなく、一晩に何件もこなすと……や、いくらケーキでも食べられる量には限度があるように……け、警察呼びますよ!」
#ツイッター小説

182

「ほら、どちらかと言えば幽霊は夏ってイメージがあるでしょ?冬に出たら、まるで妖怪じゃない。だから……今日はこんな形で許してね?ちゃんと、お盆には帰るから」
——こたつで目を覚ます。確か、年越しまでは起きていたのだけれど。
「……夢でもし会えたら素敵なことね」
#ツイッター小説

183

「今後の新事業はいったいどのような事業なのでしょうか?」
「性欲銀行です」
「性欲銀行、とは?」
「通貨を預け入れるように、独り身の時に性欲を預かり、必要な時に引き出せるサービスです」
そう語っていた実業家は、秘書ハーレムを作り逮捕された。罪状は、業務上横領。
#ツイッター小説

184

「あなたには、風を操る力がありますね?」
「……人には心の動きを風の動きに変える力があるんです。多かれ少なかれ。私はそれが少し強いだけ」
「そういった人を我々は探していたんです!」
「……何者ですか?あなたは」
「申し遅れました。私、スタジオジブリのスカウトの者です」
#ツイッター小説

185

「何してるの?」
「あー……100話に到達したから連載してる自作小説を読み返してみてる」
「まだ続いてたのアレ!?よくまあそんなしょうもないワンテーマで続いてるものだね」
「70話から異世界編になってる」
「学園モノの微エロ小説が!?」
「ネタが煮詰まってたんだよ」
#ツイッター小説

186

「去年1年間はさ、ずっとエアロバイクを漕いでたんだ。1000kmぶん漕いでもどこにも行けなかった。当たり前だけどね?ほんとに自転車に乗ってみたら、こんなところまで来られるんだな」
「でもね、あなたが去年エアロバイクを1000km漕がなかったら、きっとここには着かなかったと思う」
#ツイッター小説

187

自作した美少女AIがDLsiteにはない催眠音声を切り貼りして催眠逆レしてきたところまでは百歩譲って、いや千歩譲って理解できるとして、妊娠の報告までされるのは、いや、まじで、本当に何が起こっているんです?
#ツイッター小説 #一文SF

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「ちょっといいか?」
「なに?」
「この間、電子レンジを買い換えただろ?」
「うん」
「AIが中に入れたものを判別して自動で適温に温める機能が付いた、って説明は聞いてたみたいだな?」
「うん」
「だからといって、アイスをレンジにかけるなよ」
「なかなか優秀だね、これ」
#ツイッター小説

189

浮気相手の家から帰る車の助手席で、君はすねたような顔をしていた。
「……なんで怒らないの」
「ん?怒る理由がないじゃないか。君がどれだけ他の男に目移りしても、僕が君を好きならそれでいい」
「怒ってよ!泣き喚いて、地団駄ふんで、僕だけ見てくれなきゃ嫌だって怒ってよ!」
#ツイッター小説

190

「この滑り台のローラーにダイナモが?」
「そう!これが『こども力発電所』!誰もが無料で楽しめてエネルギー問題も解決する夢のテーマパ……ってそっちはダメ!」
「何?いきなり大声出して」
「そっちは、男子中高生向けのエリアだから」
その言葉に、私は呆れ顔でため息をついた。
#ツイッター小説

191

「あれ?響はどうしてるの?」
「彼なら茜と部屋にこもって設計。もう3日は出てきてないかな」
「また!?こんな美人な奥さんほっぽらかして。……デキてるんじゃ?」
「ふふっ、まさか。あの2人はそんな関係じゃないよ。」
「嫉妬しないの?」
「嫉妬?……するに決まってるでしょ」
#ツイッター小説

192

「ほとんどの人間が、正しい行動なんてとってないんだよ」
「そんなことないでしょ」
「君だって、正しいキシリトールガムの食べ方すらしたことが無いだろう」
「……正しいとかあるの?味が無くなったら紙に包んで捨てるとか?」
「1回2粒を5分、1日7回」
「……まじで?」
#ツイッター小説

193

「知性は欠陥。感情は疾病。完全なるものに疵はなく死はなく、悲しみも、喜びもない。さらばだ、脆弱なる被造物よ」
「……だから、だからあんたは俺達を作ったんだろうが!悲しみを!病を!恐怖を!勇気を!喜びを!完全なあんたが決して手に入れられない『不完全』を知るために!」
#ツイッター小説

194

「なあ妹よ。さっきの子、イギリスからの留学生って言ったか?」
「うん」
「『こたつから出たいので向こうを向いててください』って、あれどういう意味?」
「別に?こたつに入る時は下は脱ぐって教えただけだけど?」
「お前ー!」
「いひゃいっ!お兄ちゃんだって嬉しいくせに!」
#ツイッター小説

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「ん……!はぁっ!もう、いってらっしゃいのキスで舌入れないでっていつも言ってるでしょ!」
「なんで?」
エプロンをつけた俺がそう訊ねると、パンツスーツ姿で玄関に立つ妻は、頬を赤くしながら俯いて答えた。
「だって……えっちしたくなっちゃうじゃん。そんな時間ないのに」
#ツイッター小説

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「アヒルくん」
「どうしたの?カモくん」
「招待状が届いたんだけどさ」
「招待状?」
「『鍋パーティを開きます。ネギをご持参の上でお集まりください』って」
「待って送り主は誰?」
「サギくん」
「……ある意味良心的かな?」
「青ネギかな?白ネギかな?」
「行く気なの!?」
#ツイッター小説

197

私が膝を抱えていると、水の流れで貴方が泳いでくるのがわかった。
「また泣いてるの?」
「……みんな、『水面になんて何もいいものはない』って。あんなに眩しいのに」
「嘆かわしい。未知への憧れこそ人類の武器なのに」
「シラセにもあるの?憧れ」
「おっぱい」
「……私の馬鹿」
#ツイッター小説

198

どこかから脱走したロボット掃除機を、目の前にゴミを置く『餌付け』で伊勢神宮まで誘導するのが社会現象になったのだけれど、境内に辿り着いた所で“電池ガナクナリマシタ”って言いながら折り返したのはもうほとんど怪談で、そのロボットがどこに帰ったかは誰も知らない。
#ツイッター小説 #一文SF

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「誰……?」
「わタしは『姿の神サマ』だよ。あなタの願いヲ叶えてあげる」
「え?ちょっと」
「ほら、なりタい姿を思い浮かべテ?傾城の美女でも、学園のアイドルでも、ドんな姿でも、望んだマまに!」
「いや、イヤっ!!」
パシュン
「あ〜ア。残念。なりタい姿、なかったんダね」
#ツイッター小説

200

ふと、目をやると駅の前のベンチに女子高生が座っていた。首から看板をかけている。
『耳かき1000円』
こんなところで、耳かきを受けるやつなんていないだろう。と、思って見ていると1人のOLが吸い寄せられるように近づいていって、二言三言交わしてから膝枕された。まじか。勇者だな

#ツイッター小説


……読んでいただきありがとうございました。どれかひとつでも、好みのものがあれば嬉しいのですが。



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