『新しい世界』(ショートショート#3)
人類は、どのように進化してきたのか。
長い人類史の中で考えると、
火をおこし、
武器をつくり、
言葉で連携をとることを覚え、
蒸気機関を発明。
今やインターネットという産業革命を起こした。
いろいろなところで、
人類は進化してきたといえるのではないだろうか。
ただ、私は思うのだ。
そういうことではなく、
単純に、見える世界が変わることが、
人にとって、
大きな進化なのではないだろうか。
それを一番感じるのは、
スピード。
そして、高さだ。
初めて人類が、
時速100kmを体験したとき、
必ず脳は、新しい反応をしたのではないか。
時速200kmを体験したとき、
また違う反応が起きる。
それが、地上ではなく、
空で起きれば、また違う刺激が入る。
そういう刺激こそが、
人の進化を促してきているのではないかと思っている。
だから、人は求める。
オリンピックでもそうだ。
100m走という単純なものだが、
それにこそ、ロマンを感じているのではないか。
そして、技術においても、
スピードを求めているのが、今の時代だ。
このスピード。
人類は、いつまで高め続けようとしているのか。
光を超えるまで、求め続けるのだろうか。
ゆっくりとしたスピードでしか、
見えてこなかった世界を捨てて、
人類は、速くなろうとし続けるのだろうか。
そして、それが正しいのだろうか・・・