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1分で読める400文字のストーリー

26
短編小説です
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#夢

焼くなっ!焼き肉っ!

焼くなっ!焼き肉っ!

「ここの焼き肉屋ってさ、焼いてるのにどんどん肉が生になってくんだぜ!」
運ばれてきた肉をトングで網の上に乗せながらザキさんが自慢げに言ってきた。
ここの焼き肉屋は焼かれた状態で提供された肉を、如何に卸された状態に近く戻せるかを求められる店らしい。
その生になった肉はどうするのかとザキさんに聞いたら、この店の奥にいる猛獣たちの餌にするらしいとのことだった。
「たださ、その猛獣の肉がここで出されてる肉

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のび~るのび~る

のび~るのび~る

「あの小僧を仕留めればこっちの勝ちも同然だ!」
小学生を相手に遊びでドッヂボールをしていたボディビルダーの集団が、いつの間にか本気になっていた。
男子児童が怯えながらコートに立っている。
最後の一球だと不敵な笑みを浮かべ男がボールを投げようとしたその時だ。
「おい!フォームが悪い!教えただろう!もっと伸ばせ!体を伸ばせ!」
そう言いながらボディビルダーの集団のリーダーらしき男が現れた。
ボールを投

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パパだけズルい

パパだけズルい

「パパお帰り~」
「ただいま。あれ?今パパ、サンタさんとすれ違ったよ!気づかなかった?」
「えー!来てくれたんだ!パパだけ会ってズルい!」
「もしかしたらまだ近くにいて会えるかもしれないね。間に合うかもしれないよ。気を付けてみておいで」
「はーい!さんたさーん!」
………

「わー!プレゼントだ~!パパ~!ママー!サンタさんがプレゼント持ってきてくれたよ!」
「サンタさんには会えたかい?あ、、、、

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走れ!生足フィッシュおじさん

走れ!生足フィッシュおじさん

「今日の店の刺身は格段と旨かったな~」
なんて余韻に浸っていたら、背後からただならぬ殺気を感じた。
振り替えると、「オレの嫁さんは旨かったですか、、、?旨かったですかっ!?」と足と手の生えたら魚が肩を震わせながら俺に聞いてきた。
全く状況が理解できなかったが、とっさに「はい。とても美味しかったです」と答えてしまった。
魚は更に肩を震わせ、「旨かったなら、旨かったならそれで、それでよかです!」と泣き

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もぅ、えっちんぐなんだからぁ

もぅ、えっちんぐなんだからぁ

「今日はこの方を描いてもらいます!」
俺が今いるのは区民センターの会議室。
月に一度行われている絵画教室に参加している。
今日のモデルはたまたま犬の散歩をしていた時に先生につかまってしまった近所のマダム。
マダムも犬も困惑しているのがわかる。
「では好きなように感じたままに描いてください!
俺たち生徒は黙々と描き始める。
マダムはモデルになっていると意識し始めたのかなぜか脱ぎ始めた。
おいおい、何

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メェメェ餃子

メェメェ餃子

「そこのベッドの下の衣装ケース開ければ階段があるからそこから逃げて!」

衣装ケース⁉ そう思ってる俺に、早くしろと言わんばかりに誰だか知らない男が俺の尻をけり煽ってきた。

とりあえず衣装ケースを開けると確かに階段があったが如何せん狭い。こんなところは入れるのか?そう悩んでいると、グズグズしてんじゃねーよと男がまた俺の尻をけってきた。

バランスを崩し、衣装ケースに手をついたら急に体が浮いたよう

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諭吉だってとろけたい

諭吉だってとろけたい

「久々に来たら店の雰囲気大幅に変わっててわかんなかったよ。でもよかったよ。元気そうで」

そう言ってK太は万札5枚を俺に握らせ「釣りはいいよ!コーヒーでも飲んでよ!相変わらず気持ちよすぎるとろけるくらいのシャンプーだったよ!じゃな!」

そうい残し、そそくさと走って行ってしまった。

千円札と間違えたのだろうと追いかけたが見当たらない。相変わらず足が速いな。

どうしたものかとクシャクシャになった

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急がば止まれ

急がば止まれ

「え?何で鞄玄関に置きっぱなしなの!?」
今日、1件寄らないといけないところがあるから先に家を出るね。と彼女が家を出てからもう10分は経っていた。
戻ってこないって鞄持ってないの気づかないのか? と疑問に思いつつも駅まで追いかけることにした。

ちょっと急げば自転車なら彼女が駅に着く頃までに間に合うはずだ。   
漕ぎ出したものの、ペダルが重い。
なかなか前に進まない。通学中の小学生に抜かされる。

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