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1分で読める400文字のストーリー

26
短編小説です
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#シュール

その自信は

その自信は

「これ、なんて読む?」
ヒサシがスマホに打たれた【保育園】という字を見せて聞いてきた。
「ん?ほいくえんでしょ?」
そう答えると、ヒサシはニヤリとし続けた。
「やっぱお前も【ほいくえん】って読むんだな⁉ これ、ほいいくいぇんて読むんだぜ。ほ・い・い・く・いぇ・んっ!なんでどいつもこいつもほいくえんって読んじゃうんだろうな?」
自信満々に語るヒサシ。
てか逆にドコから余分な【い】は出てきた?【いぇ】

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墓穴は掘っても掘らせるな

墓穴は掘っても掘らせるな

「ちょっと気持ち悪いこと言っていい?」
久々に二人で夕飯を食べているときに旦那がおもむろに聞いてきた。
「何?そういう質問いいから早く言って。君がそういう質問してくるときってこっちのこと関係なく一方的に言ってくるじゃん」
旦那はいつも自分が何か言いたい時はとりあえずアタシの機嫌を伺うように聞いてくる。ダメと言ってもおかまいなし。
それが煩わしい。勝手に一人で喋っててくれよって思う。
「隣のナカムラ

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Who is the Traitor?

Who is the Traitor?

「よしっ。全員乗ったな!もうバスは東京に戻るぞ!途中一回だけサービスエリアによるが、それはみんながそこまで無事でいられたらの話だ。
このバスに乗ってる中に裏切り者がいる。心当たりあるやつは今自首したらみんな無事に東京へ帰れるぞ。
裏切り者以外はな。

黙ってるんだったら裏切り者探しをこれから始める。今ならまだ間に合うぞ!バレるのが嫌ならバレないやり方をしてやる。よしっ!みんな目を瞑れ。自分は裏切り

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過敏な花瓶

過敏な花瓶

「ねぇ、さっきから気になってたんだけど、その花瓶に入ってるのってもしかして、、、?」
「気づいた?今日訪問したゲンさんの入浴の時にめっちゃ毛が抜けてさ、1本貰ってきちゃった」
「で、花瓶にさしてるの?意味わかんないんだけど、、、」
「だってさゲンさんがさぁ、俺の毛は俺が増える毛だから水に入れて優しくしてやれば根が伸びて俺が出てくるぞ!って言うからさ、めっちゃマジな顔で」
あのゲンさんがそんなこと言

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グローバルスタンダード

グローバルスタンダード

「久しぶりだね、もう3年生になったんだ!?」

流行病のおかげで甥っ子は疎か親とも会えない日々が続いていたが、もういいだろうと久々に実家にみんなで集まった。

甥っ子が久々だし二人で遊ぼうと、みんながくつろいでいるリビングから別の部屋へ移動した。

「オレさ、英会話通ってるんだよ!」

いつの間にかオレと言うようになっていた甥っ子が自慢げに話してきた。

「こないだは野菜を覚えたんだよ!」

だか

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目に見えないからこそ友情

目に見えないからこそ友情

「自分ではすっげぇ仲良しだと思ってたんだよね。でもやっぱりわかんないかな?これ話しても誰も理解してくれないんだよね」
[地元に残ってるメンバー会] という独身実家ぐらしの面子で定期的にやる飲み会で、誰と一番仲良かったかという話題になり、KGがジョッキのハイボールを飲み干してから話してくれた。
KGは至って真面目な面持ちで話をしていた。
なんでも、KGには小学3年から5年までの3年間、空気君という友

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僕の小説

僕の小説

僕はこの小説の主人公です。
ですが、この物語の序盤で僕は死んでしまいます。
それから先は誰かが僕を回想しながら話が進んでいくのですが、誰がどんな風に話してくれるのかは僕にはわからない。
僕の家族?恋人?友人?
誰か知っていたら教えてください。
なので、この話を最後まで読んでもらえたら結末がどんな風になるのかわかると思います。
なぜ僕は死んでしまったのか、僕にもわからない。
誰か知っていたら教えてく

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ヴァイオレンスサラダ

ヴァイオレンスサラダ

「ただいまー。サラダが半額になってたからそれ買ってきちゃった」
「おかえり、、、ってか何でそんな自分の価値を下げるようなことしてるの? だからいつまでも出世できないんじゃないの?」
「は?なんだてめぇ。俺が食うんだから関係ないだろ!あん!」
「ちょっ、、、痛い。髪ひっぱらないで!」
妻の一言にキレた男が、髪を引っ張り頭を激しくゆすり始めた。
すると妻の髪の毛から義父がコロンと落ちてきた。
「んもう

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In Ga Oh Ho!

In Ga Oh Ho!

「おいっ!刺されたくなかったら黙って店の有り金と客の金を全部よこせ!」
「あのぅ、ヘッドスパをしているお客様もいるので大きな声はお控え願います」
「なんだお前!この包丁が見えないのか?」
「いや、見えてますけど、、、こちとらハサミ4本も腰にぶら下げてますしね、、、自分柔道段持ちですしね」
「ごちゃごちゃうるせぇんだよ、、、っ!!ん、なんだてめぇ」
「言ったじゃないですか段持ちですよって。オレも顔ば

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ヒミツの、、、

ヒミツの、、、

「人、何人殺したことある?」

軽く飯食って帰ろうと部長に誘われて来た居酒屋で、席に着いた矢先にされた質問に俺は動揺を隠せなかった。
 
「え?ころ、、、?え!?」
「なんだ、君はまだ誰も殺したことないんだ?僕なんかね、もう20人は超えているよ」
「あの、、、えっと、、、」
「初めて殺したのは小3の秋、クラスの担任だったな。最近だと先週君と一緒に営業に行ったあの嫌味たっぷりな社長だよ。なかなかの苦

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焼くなっ!焼き肉っ!

焼くなっ!焼き肉っ!

「ここの焼き肉屋ってさ、焼いてるのにどんどん肉が生になってくんだぜ!」
運ばれてきた肉をトングで網の上に乗せながらザキさんが自慢げに言ってきた。
ここの焼き肉屋は焼かれた状態で提供された肉を、如何に卸された状態に近く戻せるかを求められる店らしい。
その生になった肉はどうするのかとザキさんに聞いたら、この店の奥にいる猛獣たちの餌にするらしいとのことだった。
「たださ、その猛獣の肉がここで出されてる肉

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のび~るのび~る

のび~るのび~る

「あの小僧を仕留めればこっちの勝ちも同然だ!」
小学生を相手に遊びでドッヂボールをしていたボディビルダーの集団が、いつの間にか本気になっていた。
男子児童が怯えながらコートに立っている。
最後の一球だと不敵な笑みを浮かべ男がボールを投げようとしたその時だ。
「おい!フォームが悪い!教えただろう!もっと伸ばせ!体を伸ばせ!」
そう言いながらボディビルダーの集団のリーダーらしき男が現れた。
ボールを投

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ちがうって!!

ちがうって!!

「何回言ったらわかんの? オレ、雪だるまじゃないって。見てわかんない?どう見ても雪見だいふくおじさんでしょ⁉ ったく失礼極まりないったらありゃしない。どうなってんだ!」
「あ、はぁすんません。けど、こんなこと言うのもなんですけど、雪だるまですよどう見ても。その鼻みたいなオレンジのやつなんて絶対雪だるまでしかないですよ。そもそも雪見だいふくおじさんって何スカ⁉ これから食いたいって思えなくなったんす

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