20240113

 夜に初雪が降る寒い一日になった。石川県能登半島でも寒い中、避難生活余儀なくされている人、行方不明者も大勢いる。凍死による二次被害も出て、悲惨な状況は続いている。世界に目を向けても、ウクライナもガザ地区の状況も変わっていない。もう年が明けて二週間になろうとしているが、未だに新しい気持ちになれる状況がない。とは言え、時は過ぎていく。ただ現状を嘆いているだけでは何も変わらないだろう。何ができるのかを考え、何が最善かを見極め、行動していくしかない。それはただの自己満足に過ぎないかもしれない。そういう逡巡の日々が続いている。
 西川美和監督の映画『蛇イチゴ』を観た。昨年末に『すばらしき世界』を観ていて、やはり彼女の描くリアリズムには説得力があると感じていたが、今作は監督デビュー作ということもあってか少し幻想めいた部分がエッジになっていて、それはそれで良かった。それでも代表作となった『ゆれる』や『永い言い訳』などに見られる兄弟や夫婦といった一番近い関係でも決して分かり合えない複雑な感情を一貫して描き続けていると感じた。今作でも嘘をつき続ける兄と、真面目に正直に生きてきた妹、リストラを隠し続けて借金で首が回らなくなった父、義父の介護で発狂寸前の母、それぞれの特性が一つの家でつなぎ留められていたものの、義父の死をきっかけにほつれ始める。生と死の合間で問われる人生の根源を鋭く問う作品だと思う。

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