20240122
エリック・ベナール監督の仏映画『デリシュ』を観た。世界で初めて「レストラン」を開業した実話を基にした物語。フランス革命前夜、宮廷料理人のマンスロンが伯爵の食事会で自身の創作「デリシュ」に、当時は毒素を持つ芽や見た目から忌避されていたじゃがいもを使用したことで非難されて屋敷を追われる。旅籠で暮らして伯爵の許しを待つ彼の前に謎の女性が現れ、弟子にしてくれと懇願する。彼女に料理を教えるうちに、やがて伯爵の使いがパリからの帰りに寄るから準備するようにと知らせが届くが……。コース料理の起源、食に対する批評、貴族社会の高慢ちきな実態と当時の大衆料理が現代に至る過程でミシュランなどの権威とともに様変わりした歴史的繰り返しなど興味深い内容だった。TL上で西麻布のすし職人とホステスのいざこざが話題になっていたが、もともと江戸前すしだって大衆文化だったことを思うと、実に人間は愚かだと思わざるを得ない。