20230114

 ひさしぶりの雨。気温はかなり上がってそれだけでも救い。今日は二三年初めの読書会。ウィリアム・フォークナー『八月の光』(黒原敏行訳、光文社)の一章から五章までを読んだ。昨年末の大江健三郎『万延元年のフットボール』が読書会メンバーにとってかなり読みづらかったらしく、今作は普段は海外文学を読まないという大方のメンバーにも面白く読めたと好評であった。たしかに大江の作品は観念めいた思考がずっと書き連なっている場面が多く、それに比べると『八月の光』は章ごとに視点が入れ替わる群像劇で、それらがひとつの街、ジェファーソンへと収束して殺人放火事件を契機に交わっていくという前半の構造は読者の意識を惹きつけることにかなり効果的な感じがする。いったいどこから書き始めたのか、たいへん興味深い。

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