20231225

 『きのう何食べた? season2』を最終回まで観た。前期から素晴らしかったが、相変わらず最高だった。今シーズンでは〝老いと死〟が二人の関係性にもたらす心情の変化、さらには現状の家父長制を基盤にした社会制度で性的マイノリティーの人々が強いられている不条理を鋭く突いた作風になっていた。よしながふみ原作の漫画の内容がどれほど反映されているのか、分からないが『大奥』といい、彼女の問題意識はかなりはっきりと一貫して家父長制に対するアンチテーゼにあることは確かだ。大奥のように女性を描くだけでなく、中年男性のゲイカップルという立場からこれだけ家族像を描けるということには本当に感嘆するしかない。
 最終回では弁護士である史郎が、両親の遺言書の依頼を受けて、パートナーである賢二との老後とその先を真剣に考え始める。印象的だった台詞が持ち家を売り、老人ホームに移ることを決意した両親が遺産を残したいということに対し史郎が返した言葉だった。知り合いの富永家の孫に同じ「史郎」という名前が付けられたことを例に出し、子孫は残せなかったが両親に授かった名前がそのような不意な形で何かしら残っていくということをしみじみと語る。この概念はかなり奥深く感じた。

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