20230414
最近は朝からピザトーストを作って食べることが日課になっている。武田百合子『ことばの食卓』(画:野中ユリ、ちくま文庫)は、食べ物に関するエッセイ集だ。エッセイはずっと読んでこなかったのだが、日記を書くようになってからエッセイと小説には実は純然たる境目はないのではないかと思い始めていて、武田泰淳の妻であり、『富士日記』で有名な彼女のエッセイを手に取った。これがすこぶる面白い。「枇杷」では夫である泰淳が出てくる。「続牛乳」では戦争時の思い出が語られ、牛乳を持ってきてくれる山本さんと共に空襲警報のサイレンの音などが入り込み不穏な空気が流れている。「夏の終わり」ではデパートでの買い物帰りに寄ったレストランで食べたオムレツの不味さがコミカルに描かれる。食べ物に関する話もその時代の空気感や、生活の機微や人間関係が浮かび上がっていて、それは物語をきちんと想起させる。わたしは六枚切りの食パンにスライスチーズをのせてピザソースをかけてから玉ねぎ、ピーマン、マッシュルーム、サラミを薄切りにしてその上に散りばめる。トースターに入れて焼きあがるまで、コーンフレークを容器に入れ、コーヒースタンドに紙フィルターを敷き、お湯を沸かして待つ。焼けたら、コーヒーを淹れ、コーンフレークに牛乳を入れて、少しだけコーヒーにも入れる。平皿にトマトとチーズのとろけた匂いを漂わすピザトーストを乗せて朝食を食べつつアマプラでアニメを見る。それが一日の始まり。
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