20230220

 雲の多い天気だったが、雨は降らなかった。気温もそんなに下がらず、過ごしやすい一日だった。キム・ボラ監督韓国映画『はちどり』を観た。九四年の韓国を舞台に、集合住宅で暮らす中学生の女の子を主人公に受験や家族との関係、恋愛、将来への不安など多感な時期だからこそ生まれる心の葛藤を描く。餅屋を営む父とそれを手伝う母、大学受験を控えた長兄、高校に通う姉、それぞれが悩みを抱えているが、ソウル大学への進学とそれに続く未来こそ幸福と考える父の元で家父長的価値観の家庭であり、主人公は兄に度々暴力を振るわれている。漫画を描くことが好きで、勉学に身が入らず、彼氏との恋愛、クラスの違う悪友との喫煙や万引きやクラブ通いと持て余すエネルギーを受験以外に使う様子が青い。そんな生活の中で主人公は原因不明のしこりを患い、手術を受ける。不安に襲われる中で漢語塾に新しく赴任した女性教師に、自分の話を聞いてくれると心を開く中で物語はある事故を起点にクライマックスを迎える。金日成の死去、加熱する受験競争、韓国の社会問題を背景におそらく韓国での一般的な学生生活をみずみずしく描いている作品。それだけに、韓国の事情というか、空気感が分からないと、ちょっと共感しにくい映画だった。それでも、十代特有のフラストレーションや移り気の早さなど人類共通の感覚はあると再確認。主演のパク・ジフが素晴らしかった。

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