20240505

 山崎貴監督の映画『ゴジラ-1.0』を観た。戦後すぐの東京を舞台にゴジラの誕生を描く。今年、米国でもオスカーを獲得して話題になった。個人的には全く響かない作品だった。VFXを用いた作品で、要するにヴァーチャル技術を大胆に取り入れている。確かにゴジラが海中から迫ってくる場面など迫力があった。しかし、ゴジラが銀座のビルを破壊する様を実況する報道関係者や、ゴジラが咥えた電車に乗り合わせていた典子が落下する場面などはおよそ現実から離れた都合のいい画にしか見えず失笑してしまった。
 物語としても、特攻から逃げた敷島が自身の過去と決着をつけるために勇みゴジラに特攻するという戦争を被害者視点で回収してしまっていて最悪だった。ソ連との関係で米軍は動かず、政府もまだ機能していない日本で民間人が集まって東京を救う……やはり『三丁目の夕日』的な昭和的美徳が根底に感じられた。それは古いようでいて、現在のネオリベ、ネトウヨ的な価値観と同じである。人間ドラマとして観ても、典子の連れ子明子は戦争孤児、同じ屋根の下でプラトニックな愛を育む……女性が聖母的に描かれたカソリック、アメリカ南部のファンダメンタルな恋愛や結婚観に依拠している。つまり、女性がモノ的に描かれている。かなりホモソ的な作品で嫌悪感を覚えた。

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