20240322

 マケドニア出身のテオナ・ストゥルガー・ミテフスカ監督の映画『ペトルーニャに祝福を』を観た。三十五歳の独身女性ペトルーニャが川に投げ込まれた十字架を取り合うお祭りに衝動的に参加して、十字架を勝ち取るが、代々男だけが参加してきた伝統を破ったと男たちが憤慨して彼女から十字架を奪おうと追いかける。騒動はすぐに警察を動かす騒ぎとなる。ペトルーニャは一年の幸福をもたらすとされる十字架は、自分のものだと警察での事情聴取でも一貫して譲らない。司祭も警察署長も伝統を重んじ、十字架を返すように画策する中、男たちが警察署に押しかけて彼女に罵詈雑言を浴びせる。騒ぎを追っていた女性リポーターは男女差別を訴える。
 ジェンダー、宗教、権力など社会構造の問題がミニマムに表象されていて、幸福とは何かということを改めて考えさせる作品だった。日本でも、相撲などでは未だに女人禁制で、元白鵬である宮城野親方に対する厳しい処分も、彼がモンゴル出身であるということから来ているのではないかという感じが否めない。

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