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ヒラ公務員欧州へ行く15 ~ 病魔去り、世界最古の国際芸術祭へ ~

2015/9/18 fri イタリア ベネチア

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 風邪が完治しました。6日間にわたりぼくを苦しめ続けた風邪が、やっと治りました。そして、イタリア滞在は今日で終わりです。今日の夜にはイタリアを出国し、イギリスに向かいます。

 万全?の体調で臨む初めてのイタリア旅行。いきなりの最終日。

 間に合ったんだが間に合わなかったんだか。魔界に建つ宿は案外快適に過ごせました。ありがとう、受付のおじいちゃん。

 さて、あまり時間がありませんが、ベネチアめぐりスタートです。

 これまでイタリアではミラノ、ローマを回りましたが、いずれもミラノ万博やサッカー観戦など、イベント参加を目的としてきました。実は今日ぼくがいるここベネチアも例外ではないのです。

 みなさんぼくのことを海外までサッカーを見に行くクレイジーなフットボール野郎か何かと考えているかもしれませんが、おおむねその通りです。

 とはいえ、何もスポーツ観戦ばかりが趣味ではありません。芸術鑑賞も好きなんです。

 ぼくはこれまで長崎県外の美術館やギャラリーを何度か訪れたことがあります。

 かつては「真珠の耳飾りの少女」を東京上野の東京都美術館まで観に行ったこともありました。

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↑ 本物は、真珠の耳飾りが本当に光ってるように見えました

 会期外でしたが、瀬戸内国際芸術祭の舞台となる香川県の直島や豊島、さらには2014年に札幌国際芸術祭をみるためはるばる北海道まで行ったこともあります。

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↑ 札幌国際芸術祭の会場のひとつ、モエレ沼公園(2014年撮影)

 他にも金沢の21世紀美術館、東京都現代美術館、新潟の越後妻有トリエンナーレ、横浜トリエンナーレ、福岡アジア美術トリエンナーレ…。思い返してみると、色んなとこに芸術を見に行ったものです。古い芸術作品よりも、近代から現代のアート作品に心を惹かれるようです。

 さて、ここで疑問に思った方もいるでしょうが、「トリエンナーレ」って何でしょう?

 これはイタリア語で、「3年に1度」という意味です。「2年に1度」なら「ビエンナーレ」といいます。

 本来この言葉に芸術祭を指す意味はないのですが、イタリアにおける著名な芸術祭が2年に1度開催されるため、この「ビエンナーレ」を芸術祭の名前に冠しました。それからというものの、日本だけでなく世界中でこの言葉が2年に1度、あるいはトリエンナーレで3年に1度の芸術祭を指す言葉として広がるようになりました。

 この世界の芸術祭ブームの原点となったのが、ここベネチアで2年に1度開催される「ベネチア・ビエンナーレ」です。

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 明治時代の1895年から開催されている、世界最古にして最大の国際芸術祭です。

 ベネチア国際映画祭というのもありますが、じつはこれもベネチア・ビエンナーレのひとつとされています。ビエンナーレと違って映画の方は毎年開催しているようですが。

 この芸術祭は現代アートが中心です。前述のとおりぼくは特に現代アートが好きなのですが、その理由は、同じ時代を生きるアーティストが、この時代にどのようなインスピレーションを受けて作品を創るのか興味を惹かれるからだと思います。

 今この瞬間も、世界のどこかで我々と同時代を生きるアーティストが、同じ時代を見つめながら作品を創っている。ぼくには及びもつかないような全く異なる視点で世界を捉えて。そう考えると何だか自分の世界が広がる感覚を覚えるのです。

 ぼくは芸術はよくわかりません。評論などは無理です。しかし、ぼくにとってはその「わからない」ということ自体が魅力なんですよね。

 いつか人は、宇宙の果てがどうなっているか解明するときが来るでしょう。それでも、人の精神活動である芸術を完全に解明することはできない。どこまでいってもわからない世界、それが芸術だと思います。

 全てが明確に「わかる」世の中よりも、「わからない」ものが多少なりとも存在し、これは何だ?と考えても答えがない、そんな思考・想像する余地がある世の中の方が面白い。私にとって芸術の魅力とは、わからないものを提供してくれる点にあるのです。

 今夜の飛行機でイタリアを出なければなりません。あまり時間がない中、風邪が完治した軽い身体に喜びを感じながら、気持ちよく晴れたベネチアを歩き始めました。

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↓ ヒラ公務員欧州へ行く1~14はこちら


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