フランスの紅葉 次男から落ち葉のプレゼント
最後に紅葉を日本で見たのは、もう10年以上前のこと。
日本に住んでいた頃の私にとって、当たり前だった秋の風景も今では現実味が帯びなくなってしまっている。
京都で見た真っ赤な紅葉。山一面が秋色に染まっていた白川郷の景色。
日本の紅葉の記憶を辿っていくと、懐かしさが込み上げてくる。
今の私にとって、紅葉と言えば、フランスで見る紅葉の景色の方がピンと来るかもしれない。
とても暑かった夏だったのに、9月になると、急に肌寒くなり、10月に入って20度を切る日が普通になってきた。
街の木々たちは徐々に、紅葉を始めてきた。
先週次男と二人で日本語幼稚園の帰りに、駅から降りて歩いていると、急に止まり出した。
「どうしたの?」と聞くと、
「お母さん見て!この葉っぱきれいだよ。」と、
真っ赤に染まった落ち葉を拾って、
「お母さんにこれあげる」と言って、
私に渡してくれた。
「ありがとう。とっても嬉しいよ」と言うと、
「もっと拾う!」
帰り道、落ち葉を拾い集めながら、帰る次男。
「こっちにも、あっちにも、いっぱいあるー!」
手には抱えきれないぐらいの落ち葉。
とっても嬉しそうに一生懸命落ち葉を集めている姿は、なんだかとても愛おしかった。
フランスの紅葉は、私が生まれ育った日本のものとは違うけれど、
子どもと見たフランスの紅葉は、幼少期の子どもたちとの思い出と共に私の記憶に付け加えられている。
子どもたちが大人になったとき、この道を通る度に、落ち葉をプレゼントしてくれた小さな次男を、懐かしく思い出せますように。