2024教養生物学1 第3週第2限 細胞:生命の基本単位
それでは第2限の講義を始めます。英語版では第5章にあたります。
サイズに関しては第1週で The scales of the Universe 2 というサイトを紹介しましたが、肉眼で観察可能なサイズ、光学顕微鏡で観察可能なサイズ、電子顕微鏡で観察可能なサイズがあります。生物の個体にもいろいろな大きさがありますが、小さなものでも光学顕微鏡を使えば見ることができます。細胞小器官や、生体高分子になると電子顕微鏡の力を借りないと見ることはできません。
次は原核生物(Prokaryote)と真核生物(Eukaryote)についてです。文字通り核の有る無しが一番大きな違いです。原核生物では環状のDNAが細胞質にむき出しの状態で存在します。
原核生物
細菌には細胞膜の外側にむき出しのペプチドグリカン層を持つものと、外膜(細胞壁)を持つものがいます。このペプチドグリカン層を染色することでグラム陽性菌とグラム陰性菌を染め分けることができます。食中毒の原因菌として黄色ブドウ球菌や大腸菌がありますが、グラム染色により区別することが可能です。
真核生物
次は、「真核生物について」です。細胞の模式図と電子顕微鏡写真で示します。原核生物と異なり細胞質の中に区画化された構造がたくさんあります。
【コラム】核の起源(真核生物の誕生)について
真核生物はどうして生まれたのか、核の起源はどこにあるかについて、まだ分かっていないことが多いのですが、既に1限で紹介しましたが、武村政春さんの「ウイルスによる細胞核形成説」です。
下の図は、かなり簡略化した細胞の模式図です。
それでは個別の細胞小器官とその機能を見ていきましょう。リボソームはタンパク質合成の場です。下に示すのは 2 Minute Classroomのアニメーション動画です。
小胞体には滑面小胞体(Smooth Endoplasmic Reticulum)と粗面小胞体(Rough Endoplasmic Reticulum)があります。膜表面にリボソームが多数結合している状態かどうかで見た目と機能が異なっています。
ゴルジ体(ゴルジ装置)はいくつかの役割を持っていますが、タンパク質の濃縮、糖鎖付加などを行います。リンクの動画による説明を見てください。
細胞内の消化、リサイクルシステムとしてはリソソーム、ペルオキシゾームなどがあります。
細胞骨格(サイトスケルトン)やモータータンパク質についてはこれだけで何時間も話せるくらいの内容がありますが、時間の関係でこの講義では省略します。
第1週に見てもらったアニメーション動画にもキネシンというモータータンパク質が分泌小胞を微小管に沿って運ぶ様子が出てきました。
植物細胞
さらに、植物細胞には動物細胞と共通な構造の他に、液胞、葉緑体、細胞膜の外側ですが細胞壁があります。
今週も講義の進行が駆け足になってしまいましたが、次にまとめてあるのは、細胞小器官の一覧です。細胞内でエネルギー変換を行うミトコンドリアと植物細胞にある葉緑体の機能については11月になってから呼吸と光合成のところで詳しく学びます(ミトコンドリアは細胞の発電所と呼ばれることもあります。葉緑体は光合成器官です)。
ミトコンドリア(葉緑体)の起源について
次の図は内膜系の発達による小胞体の進化仮説と細胞内共生による葉緑体の進化について説明した図です。
葉緑体の起源について
細胞内共生説をサポートするデータとしては2重膜で包まれているミトコンドリアと、葉緑体の膜の裏表があります。
第3週のまとめ(今日の提出課題)は次の第1問です。
次に示す第1問のAからLの構造の名前を答えてください。回答はmoodleの提出課題欄にオンラインテキストで書き込んで提出してください。
注:Fの「光合成をおこなう細胞小器官」は葉緑体ですが、「デンプンや色素を蓄積する細胞小器官」アミロプラスト、クロモプラストと合わせて、色素体(クロモプラスト)に含まれます。Fの正解は色素体になります。
ナレーション、字幕付きのまとめ動画はこちらです。
今週(第3週)はここまでです。今週はいつもの学習確認に加えて提出課題があります。
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