NakahoriKiyoshi

岡山大学大学院自然科学研究科(理)所属

NakahoriKiyoshi

岡山大学大学院自然科学研究科(理)所属

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2024教養生物学1 第4週第2限 ダイナミックな細胞膜2

 対面講義の方はどうしても遅れがちになりますが、6.3膜輸送についてに入ります。  拡散(Diffusion) は平衡状態へ向かってのランダムな動きの過程のことで、下の実験のようにビーカーの中にインクを垂らすと、水のように何も障壁がなければ最終的には均一な濃度の平衡状態になります。生体膜を通しての拡散は、その生体膜の特性(透過性)の影響を受けます。  リン脂質二重層を物質が透過する場合、透過性はその物質の性質に依存しますが、生体膜は単純な脂質二重層ではなく、流動モザイクモ

    • 2024教養生物学1第4週10月24日第1限 ダイナミックな細胞膜

       出席カードに「生命の誕生にウイルスが関わっている」と書いている人がいましたが、ウイルスが「核の誕生」に関わっているのではという説は武村政春さんによるものです。ウイルス自体は生命の誕生よりもかなり遅れて生まれたのではないかと考えられています。また、哺乳類の誕生に繋がる胎盤形成にウイルスが関与していることは先週の講義で少しだけ触れています。 前回の復習  さて、先週の第3週の大きなテーマは「細胞」についてでした。現在の地球上には、単細胞生物と多細胞生物が存在しますが、細菌と

      • 2024教養生物学1 第3週第2限 細胞:生命の基本単位

         それでは第2限の講義を始めます。英語版では第5章にあたります。  サイズに関しては第1週で The scales of the Universe 2 というサイトを紹介しましたが、肉眼で観察可能なサイズ、光学顕微鏡で観察可能なサイズ、電子顕微鏡で観察可能なサイズがあります。生物の個体にもいろいろな大きさがありますが、小さなものでも光学顕微鏡を使えば見ることができます。細胞小器官や、生体高分子になると電子顕微鏡の力を借りないと見ることはできません。  次は原核生物(Pro

        • 2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第3週第1限

          先週の復習 先週(第2週)は第1限の「生物学の研究方法」と第2限「生物を形作る物質」について学びました。2限目は少し駆け足になってしまいましたが、生体高分子4種類は何だったでしょうか?  生物学の研究方法の例として、タイロン・ヘインの「除草剤アトラジンと両生類の減少」をあげました。生物学は医学、農学などの一番の基礎として人間社会に深く関わっています。 また、生物の定義と細胞説について説明しました。  現在、地球上にいる生物は共通の起源(祖先)を持つと考えられていますが核を

        2024教養生物学1 第4週第2限 ダイナミックな細胞膜2

          2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第2週第1限

           10月も第2週に入り、ノーベル賞の発表が始まりました。今年のノーベル生理学・医学賞に、アメリカ・マサチューセッツ大学のビクター・アンブロス教授と、ハーバード大学のゲイリー・ラブカン教授の2人が選ばれました。アンブロス教授らは「線虫」という小さな生き物が成長する際の遺伝子の活動を詳しく解析し、「マイクロRNA」という分子が遺伝子の働きを制御していることを突き止めました。下に挙げるのはNHKのサイトにある情報です。  「マイクロRNA」が何かについての説明は後回しにします。

          2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第2週第1限

          2024教養生物学1 第2週第2限 生物を形作る物質

           (対面講義の方は時間が足りずにかなり遅れていますが)第2限では、生物に特徴的な高分子について学びます。ここでいう高分子とは数千以上の原子から構成されるポリマー(重合体)のことです。生命を作る低分子と化学については時間の関係で省略します。  生体(生物の体)を構成する物質の主要元素は炭素、窒素、酸素、水素、リン、硫黄(CNOHPS)の6種類で99%を占め、地球上にありふれた元素です。しかし、分子構成で見ると生物体と無機の世界の間には大きな違いが見られます。  「有機物(有機

          2024教養生物学1 第2週第2限 生物を形作る物質

          2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第1週10月3日第2限 細胞説、セントラルドグマ、時間と空間サイズ

           10月に入りノーベル賞の発表は生理学・医学賞から始まります。昨年度はmRNAワクチンの実用化に道を開いたカタリン・カリコ氏とドリュー・ワイスマン氏でした。今年は誰がどんな業績によって受賞するでしょうか? 日本経済新聞の記事です。 以下は毎日新聞の記事です。  いくつもの専門用語が出てきましたが、どのくらい理解できましたか? さて、それでは2限目の講義に入ります。  「生物、生命とは何か」という定義についてもまだ話していませんが、すべての生物は細胞からできています。5

          2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第1週10月3日第2限 細胞説、セントラルドグマ、時間と空間サイズ

          2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第1週10月3日第1限ガイダンス

           10月3日(木)から始まる3学期の講義は一般教育棟別棟のE棟2階のE21講義室で対面講義で行います。対面講義に出席できない受講生はオンデマンド型講義で受講してください。  第2週からも基本は対面講義で行いますが、体調不良などで出席できなかった学生はオンデマンド型講義で自習してください。  対面講義でも資料の印刷物の配布は行いません。講義資料はすべてオンデマンド型講義のWEB上に置きます。  シラバスに書いておきましたが、指定教科書はありません。受講生のバックグラウンド、進

          2024年度 教養生物学(一般生物学)1 第1週10月3日第1限ガイダンス

          2021年6月8日 1学期のまとめ(後書き)のようなもの

           (残念ながら)試験対策のために試験の前にこれを読んでも、ほぼ(まったく)試験には役立ちません。  これを書いている6月4日(金)は昨夜から雨でしたが、自己紹介に書いたようにいつも通り、朝5時にはカッパを着て家を出て飼い犬ジョンの散歩で後楽園を一周しました。雨が嫌いで雨が降ると散歩に行きたがらない犬もいるようですが、ジョンは雨が降ってもお構いなしです。  1学期の基礎生物学1aは新型コロナウイルスの感染拡大防止対策のため、8週のうち、わずかに第2週めだけが対面の許された講

          2021年6月8日 1学期のまとめ(後書き)のようなもの