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「みんなに面白いと思われるものを作らなくて良かったね」

お笑い芸人ピースの又吉さんが書籍『火花』を発表した後、樹木希林さんからもらった言葉。

「『火花』読んだよ。私は面白いと思ったよ。けど、私の友達は『あまり好きじゃない』って言ってたよ。良かったね、みんなに面白いと思われるものを作らなくて。」

初めてこの言葉をきいた時は「なんかすごい言葉や、、。」という感情が一番強かった。少し時間が経ち、いろんな出来事や言葉が重なり、じわじわとその言葉が体に染みてきた。忘れないうちに日記にします。

フォロワーの数、いいねの数、売り上げ数値、イベント参加人数。何かを外に発信した時、どうしたって”数”の存在感は半端ない。なぜなら、分かりやすいからだ。ぼんやり上の空で歩いてたら、突然現れた”数”にとんでもないパンチをお見舞いされる。

”数”が大事なときもある。けれど、本当にそれだけだったのだろうか、と問わねばならない時もある。

近所のおばちゃんが「元気出たわありがとう!」と言ってくれるとか、チームメンバーが新しいことに挑戦したくなったとか、その取り組みが別の企画をうみだす、とか。

私はどこに向かって歩いてたのか。そこを見失ってしまうと、つい道中に落ちている”数”に目がくらんでしまう。”数”に誘われて、どこに繋がっているか分かりもしない細道に突入し、気づけばおかしなところに到着してしまう。

これは、決して「数なんて気にせず、好きなようにやったらええやん」というような努力回避の話ではない。”数”じゃないところを目指すのならば、それ相応の努力が必要である。喫茶店で優雅にお茶しようと思ってたのに、フィットネスジムに続く坂道を汗水垂らして登ってたら「違った!」と気づかねばならない、という話。喫茶店で優雅にお茶するためには、ゆっくり読みたかった本を鞄に忍ばせておいたり、前後に大変な打ち合わせを入れないようにしたり、というような努力が必要になってくる。

絵を見るのも好きなので、いろんなイラストレーターさんの作品をSNSで見ている。そうすると、どうしたってその人たちの”数”の力に圧倒される。純粋に「すごいなぁ」と思う。「自分はいつになったらこうなるんだろうか」とぼんやり思っていたんだと思う。けど、SNSというリングに乗り込んでないだけで、すごく面白いことをしている人がたくさんいる。別のリングで楽しく踊っている。一口に「絵を描く」といっても、目指す場所はどこだっていい。

KUUMAでのお仕事、出版社さりげなくの定例で聞こえてきた言葉、かのこさんやくまさんとの会話、恋人からもらった言葉、又吉さんのYoutube、オードリーのオールナイトニッポン。覚えてないだけで、もっとあるかもしれんな。色んなものがぶわあああっと集合し、何かが走り抜けて、頭がすうっとしました。ひとりだったら気づけなかっただろうな。美容師さんもびっくりの私のかたい頭は、スルスルとほぐれました。


2021年6月23日(水)焼肉をいっぱい食べた日。お腹苦しい


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