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音楽とひたむきに歩み続けた人の第一歩 メタバースの先駆け的存在 リアリティーSNS型ゲーム「VRChat」で覚悟を決めた音楽イベント出演
VRChatをはじめとしたメタバースの台頭
「VRChat」をご存じだろうか。おそらくYouTubeやTwitch等で活動するストリーマー「スタンミ」さんから知った人も多いであろう。VRChatとは、SNS型ソーシャルゲームのPC用アプリであり、オンライン上での音声会話が可能なのである。「アバター」を使用して歩いたりすることも可能なのだ。現実世界をさらにVRに持ってきたようなものだろう。このVRChatの普及により、メタバースの需要は急速に拡大している。特にここ最近ではメタバースイベント「Vket」をはじめとした最新技術や、地方自治体の展示イベントが数多く開催されている。
音楽イベントへの出演を決めたきっかけ
私は活動を始めてどこかでイベントやライブ出演をいつかやりたいと考えていた。だが遠征費といった多額の出費がかかる。採算性のとれるものでもないし、そもそも私は仕事としてこの活動をしたくない。でも、音楽のすばらしさを届けたい、そんな気持ちはずっと変わらなかった。そんな時、動画投稿を通じて出会った友達が「VRChat」をやっていることを知り、すぐさまインストールした。
コミュ障である私は右往左往してどうすれば良いのか分からない。そんな時、その友達が分かりやすくルールや操作を教えてくれたのだった。
始めてしばらく経ったころ、路地裏のようなワールドで、あるギタープレイヤーが路上ライブをしている所を見かけた。ここで始めて「VRChatの路上ライブ」という文化を知ったことが全ての始まりだった。私も、やってみることにした。これが意外と楽しいのだ。
ここを境に、音楽を嗜むユーザーとの出会いが増えていく。
そんな時、これまで出会ったユーザーのうち、とある人(以下某フレンド)が「今音楽ライブハウスにいるんだが来ないか」と誘われた。私は行ってみることにした。
会場に着くと、何やら歌声が聞こえた。ちょうどとある出演者の演目をやっているらしい。話しかけられなかったが、観客席には某フレンドもいた。
演目を見ていると、一際歌声とギターが素晴らしい方がいた。声がいい。BUMP OF CHICKENの藤原さんに何となく近いものを感じた爽やかな歌声だった。
公演後、DMやリプライ等で某フレンドと話していたら、どうやら開演30分前から出演者募集を受けているらしい。先着5名で、初出場は定員に達していなければ必ず出られると聞いたが、直前まで凄く悩んでいた。募集が始まる30分前に勇気を振り絞って出演しようと決めたのである。もちろんピアノソロで。
初出場の緊張感
どうなるか分からない中、私は1番最後の出番を選んだ。出演者募集が終了し、演者の誘導が始まる。ついに舞台袖まで来た。これからライブが始まるのだ。MCの紹介やフリートークで観客席は盛り上がっている。まずはオープニングアクト。VRChat内で第一線で活躍するアーティストを迎えての披露である。
終われば、出演者募集枠でエントリーした演者の演目が始まる。一人ずつパフォーマンスを見ていると、その圧倒的なレベルの高さに驚かされる。
ついに私の出番へ
全員の演目が終わり、残すは私だけとなった。ものすごい緊張と手の震えが私の心の中をよぎる。MCによる紹介が終わり、呼ばれた瞬間、私は舞台のど真ん中へ、引きずり込まれるように立った。
以下が実際の出演時の様子(2024年12/21、通算4回目の出場時からの抜粋)
※初出場時のものではありませんがほぼ当時と同じです。
第38回 『#メロディックシアター』 No.06
— メロディックシアター (@melodic_theater) December 21, 2024
【演者名】 K VSinger @KUTAITEPiano
【パフォーマンス内容】 ライブ(inst系)
3週連続出演と積極的に参加してくださるピアノプレイヤーさん。緊張もほぐれて、本日は明るくノリのよい楽曲で音が弾んでおります! pic.twitter.com/A7icrNMtCO
目の前には40人以上の観客。私はその中で、恐る恐る鍵盤に手を乗せる。そして、演奏を始めるが、思うように手が動かない。初舞台だから極度の緊張でうまく指が動かせなかった。メタい話になるが、私は冷え切った自室からVRChatに接続しているので、どんどん体温が奪われ、緊張とともに、指が動かなくなっているのだ。
一曲目を弾き終わり、「こんばんは」そう挨拶を振り絞って喉から出した。
しどろもどろになりながら自己紹介をして、残りの楽曲たちを演奏しきった。演奏中に聞こえた声援のおかげで、頑張って完走した。
胸を打たれた言葉
演奏中に私の演奏に対する本音がこぼれる人がいた。
「チルくてすき」「本当に落ち着く」そんな言葉が飛んできた。
演奏中にこんな言葉が飛んで来たら、最後まで弾き切ろうとする気持ちが芽生えてくる。まだ私の音楽人生は終わっていないと思えた。ちゃんと私の演奏を聞いてくれてるんだ。会場の皆は暖かいなぁ。そんな気持ちがこぼれる。
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演奏終了後の空気感
演奏が終わり、この日の演目は終了。その後は自由に雑談タイムが始まる。「私に話しかけてくれる人はいるだろうか」とそわそわしていた。そんなときに、ある一人のユーザーが話しかけてきた。
「演奏めちゃくちゃよかったです!」
「思わず寝そうになった。」
ただ話してくれるだけでこんなにもうれしいことはない。
もともと私は演奏を披露する機会なんてほとんどなかったし、ストリートピアノのある町にも住んでいない田舎だから、人に聞いてもらうこと自体経験がない。こんなにも私のことを気になって話しかけてくれる人がいるのは本当にうれしかった。
その後
私はその後も、4週にわたって同じイベントに出演。この間に別のイベントに一回参加した。トラブルに見舞われることも多々あったが、皆優しかったこともあり、乗り切れたのはいい思い出である。
第40回 『#メロディックシアター』 No.02
— メロディックシアター (@melodic_theater) January 4, 2025
【演者名】 K VSinger @KUTAITEPiano
【パフォーマンス内容】
穏やかなピアノ演奏が魅力のKさんが演奏中です。今回は、ご自身が思い入れのある楽曲を丁寧に紡ぎ、熱気のあった会場を優しく包み込んでいます! pic.twitter.com/x9A7DAVo3r
年末は予定もあって出演がかなわなかったが、新年一発目に出演することができた。
上記の通りショルキーからピアノギミックに一新させ、見ても聞いても楽しめるように工夫を施した。かなり費用は掛かってしまったが、初めての大規模改変ということもあり、多くの方に反応をもらうことができてうれしい限りだ。
2025年、VRChatではどんな出会いがあるだろうか。
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