KM

MD, PhD/産業医/労働衛生コンサルタント/精神科医/社会医学専攻医 労働者・医療者の睡眠とメンタルヘルスを研究

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最近の記事

職場のメンタルヘルス対策の情報を得る際に役立つ資料

Guidelines on mental health at work (WHO) 東京大学職場のメンタルヘルスシステマティックレビューチーム(TOMH-R)による日本語訳もあります。 https://www.who.int/publications/i/item/9789240053052 Mental health at work: policy brief (WHO and ILO) https://www.who.int/publications/i/item/97

    • デジタルヘルス研究を扱う学術雑誌のTwitterアカウント

      最近ではデジタルヘルス・モバイルヘルスの研究が盛んです。次々と登場するデジタル・モバイルヘルスのトレンドを把握し、エビデンスを知るために適切な情報を得ることは重要です。この分野を専門に扱った学術雑誌も次々と発刊されているようです。Twitterの公式アカウントのあるJournalについて調べたので共有します。 The Lancet Digital Health Lancetの姉妹誌です。 JMIR Publications JMIR Publicationsグループはオー

      • 衛生講話で参考になる資料集

        衛生委員会では、産業医から労働衛生に関する講話をすることがあります。 講話のテーマは、衛生委員会の議題とマッチさせる、トレンドである内容を選ぶなどの工夫が必要です。 インターネット上には、衛生講話で参考になる資料があるため見てみると良いでしょう。ただし、医療情報は常にアップデートしているため、参考にした資料が最新の情報であるかは確認しておく必要があります。 労働者健康安全機構 各種教材・マニュアル 日本産業衛生学会 社員教育、衛生講話等に活用できる教材 (一部整備中のため

        • 産業医面談で参考になる資料

          面談は産業医の業務のひとつです。産業医は、必要時には企業の安全配慮義務のために介入し、労働者が健康に働くことを支援するために助言を行います。健康診断や長時間労働、ストレスチェック実施後、メンタルヘルス相談や復職前など様々な場面で行われます。 個人的に、「産業医面談は難しい」と感じています。上記のように、ひとつくに産業医面談と言っても色々なパターンがあり、労働者・事業者ごとに「何に困っているのか」を明確化し、適切な助言をする必要があるからです。そもそも、労働者・事業者が「何に

        • 職場のメンタルヘルス対策の情報を得る際に役立つ資料

        • デジタルヘルス研究を扱う学術雑誌のTwitterアカウント

        • 衛生講話で参考になる資料集

        • 産業医面談で参考になる資料

          便利なChromeの拡張機能

          Google Chromeの拡張機能はとても便利です。カスタマイズすることで、インターネットをより快適に使用することができます。 自分が主に使っている拡張機能を紹介します。 Simple Translate Webページ上で選択・入力したテキストを瞬時に翻訳します。翻訳アプリでコピー&ペーストする手間が省けるので便利です。 Google翻訳とDeepL APIに対応しています。 https://chrome.google.com/webstore/detail/simple

          便利なChromeの拡張機能

          労働時間を縮減すると睡眠時間は増えるのか

          長時間労働と短時間睡眠の関連は複数報告されています。有名な研究ですとWhitehall II studyでしょうか。これはイギリスで1985年から1988年に実施され、35歳から55歳までの10,308人の公務員の健康状態を調査した前向き研究です。55時間/週 以上の長時間労働は、睡眠時間の減少や入眠困難と関連していると報告されました。 長時間労働では物理的に睡眠に費やす時間が減るので、短時間睡眠と関連するという結果は納得できるところです。では、労働時間を縮減すると睡眠時間

          労働時間を縮減すると睡眠時間は増えるのか

          産業医活動のモチベーションを保つために

          産業医はやりがいのある仕事だと思いますが、ときにはがっかりすることもあります。 意見はしたが、あまり事業主から受け入れられなかったり、産業医面談の急なキャンセルがあったりすることもあるかもしれません。そのような時には「自分なりに頑張っているのに…」と落胆します。このような落胆が続くと産業医活動へのモチベーションが下がる可能性があります。どうすれば良いでしょうか。 こちらのnoteで言及されているように、産業医として、「どうやって自分の存在意義を確立していくか」が重要ではない

          産業医活動のモチベーションを保つために

          海外の産業保健Twitterアカウント

          世界で労働衛生(Occupational Health)や労働安全衛生(Occupational Safety and Health)は大きなテーマであるということは共通しています。多くの人にとって仕事は生活の中で大きな位置を占めるものであり、健康の社会的決定要因(Social Determinants of Health)となっています。グローバリゼーションや仕事の多様化、COVID-19に代表される新興感染症、気候変動によっても労働衛生は大きく影響を受けます。 今後は、

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          HPVV接種におけるStorytellingについて

          HPVワクチン(Human papillomavirus vaccine:HPVV)について、令和3年11月26日に厚生労働省から通知があり、積極的勧奨が再開されることになりました。日本ではHPVVの接種が非常に遅れているため、これから接種を促していくことが必要です。 https://www.city.saitama.jp/008/016/001/005/p013029_d/fil/sekkyokutekisaikai.pdf 産業保健現場でも、HPVVについての情報を発

          HPVV接種におけるStorytellingについて

          労働安全衛生を学ぶためのおすすめのYoutubeチャンネル

          最近では、労働安全衛生に関する情報を提供するチャンネルがYoutubeに増えてきました。ここでは、比較的更新頻度が高く、動画数も多めなYoutubeチャンネルを紹介します。 安全衛生アカデミー:労働安全衛生のプロフェショナル、黒崎由行先生による解説チャンネルです。日本の労働安全衛生だけでなく世界の情勢についても情報発信されており、とても勉強になります。 ゆっくり労災事例:ゆっくり解説で労災事例について解説しているチャンネル。初心者でもわかりやすいように説明されています。

          労働安全衛生を学ぶためのおすすめのYoutubeチャンネル

          「睡眠の質」とは何か

          最近、「質の良い睡眠」や「質の高い睡眠」という単語をよく目にするようになりました。「睡眠の質」に注目した食品、飲料が発売されているようです。 睡眠に注目されるようになったのは好ましいことかもしれませんが、そもそそも「睡眠の質」は何を意味しているのでしょうか? 実は、「睡眠の質」について確立された定義はまだありません。 主観的指標から関連づけられることもあれば、生体データから得られた客観的指標から関連づけられることもあります。 「睡眠の質」に関連づけられる指標を以下にまとめま

          「睡眠の質」とは何か

          頼れるメンターとしての書「ガチ産業医presents 産業医のピットフォール」

          産業医をやることになった時に、どのように指導を受ければ良いでしょうか? 日本では、医学部卒業後、医師免許取得をして2年の初期研修を経てより専門的な領域を修めたい場合には数年間専門医研修を行うシステムになっています。 専門医研修では、例えば臨床分野では一般社団法人日本専門医機構が定めるプログラムに進むことになります。 https://jmsb.or.jp/ 一方、産業医については体系的なトレーニングを積むことが難しいです(一応、社会医学系専門医というものはありますが)。

          頼れるメンターとしての書「ガチ産業医presents 産業医のピットフォール」

          長時間通勤と睡眠

          日本の通勤状況 ほとんどの労働者にとって、通勤は避けられない問題です。COVID-19流行により在宅勤務が普及しつつありますが、総務省統計局の調査によれば日本の民間企業におけるテレワーク実施率は全体で20-30%であり、現在も多くの労働者は通勤をしています。 日本では平均でどれくらい通勤に時間を費やしているのでしょうか。 少し古いデータになりますが、総務省統計局の「平成28年社会生活基本調査」によると、平日の片道通勤時間の平均は、男性が1時間24分,女性が1時間6分となっ

          長時間通勤と睡眠

          産業保健・労働衛生のエビデンスを集めるためにおすすめのTwitterアカウント

          現在、私は大学院に在籍しています。自分の研究テーマのため、また産業医活動のためにエビデンスを調べたり、集めたりしています。 エビデンスとは、科学的根拠のことであり、実験や疫学調査などの研究結果から導かれた知見のことです。 エビデンスの集め方として、「どんなエビデンスが必要か」を考えて収集することは重要です。臨床疑問の定式化といいますが、この方法として「PICO」や「PECO」があります。科学的根拠を報告する論文のデータベースとしては、PubMed(アメリカ国立生物工学情報セ

          産業保健・労働衛生のエビデンスを集めるためにおすすめのTwitterアカウント

          夜勤/交代勤務による健康影響

          夜勤や交代勤務の現状 夜勤や交代勤務は、営業稼働時間が長い企業が導入している勤務形態です。日本では夜勤や交代勤務の労働者の割合は上昇しており、こちらの報告によると2012年時点で全労働者の21%、1200万人が夜勤や交代勤務についていると言われています。 しかし、ヒトというものは朝起床して夜就寝するという生活リズムがあるので、夜勤・交代勤務によりこのリズムが乱されると身体に影響が出ます。代表的なものに、交代勤務睡眠障害(SWD)があります。交代勤務のために睡眠時間帯が頻繁

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          労働者のメンタルヘルスと規則正しい生活

          メンタルヘルス不調の労働者の職場復帰支援は、メンタルヘルス対策として重要な取り組みの1つです。最近では、厚生労働省から「心の健康問題により休業した労働者の職場復帰支援の手引き」が発行されています。 その中で、職場復帰の目安として「規則正しい生活リズムになっていること」ということがポイントで挙げられています。私も産業医として、メンタルヘルス不調の労働者の職場復帰として、生活リズムを必ず見ています。また、職場復帰後も生活リズムを確認することが多いです。 このように、労働者のメン

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