大根の煮物にオイスターソース。
私は夕暮れ時の住宅街を犬と散歩していました。
すると晩御飯のいい匂いが漂ってきて、どうやらあるお宅では煮物を作っているようです。
夕飯時の空腹と相まって、とても美味しそうに感じました。
それからしばらく煮物のことが気になっていたので、自分で作ってみることにしました。
大根の煮物の相棒にイカを入れることにします。
レシピはスマホで検索して出てきたものを参考にしました。
下処理をしたイカと大根を、砂糖・みりん・酒・醤油でジワジワと煮るだけです。
ある程度火が通ると、
「うーむ、いい匂い。」
そして味見をすると、、、味が染みてない!匂いはいいのに味が薄い!
「なぜだ!なぜなんだ、、、!」
WEBで煮物の味の染み込みについて調べると、どうやら煮物というのは加熱後に時間をかけて放置することで、冷える頃には味が染みているという原理らしい。
化学的視点で料理を考察した文献が幾つか出てきます。
加熱することで食物の細胞膜を破壊し、食材内部に煮汁のうまみ成分が移動し、、、まあ難しいことは置いときます。
そしてしばらくして、冷めたところで再度味見をすると
「おお、これはまあまあ。」
私としては合格レベルに達しました。
結構おいしく出来たと思います。
これならカミさんも「おいしい。」と言ってくれるでしょう。
さすがに絶賛してくれるとは思いませんが、一矢報いるくらいはいけるはず。
そして、カミさんに最終検査をしてもらったところ、
「うーん、″オイスターソース”をちょっと入れたら?」
とのこと。
私は正直ムッとしました。
いや、もう十分おいしいでしょう。
それなのに、その微妙な表情は何?
そして更にオイスターソースを入れろと?
そもそもこれは日本の家庭料理でしょう。
なのにそこにオイスターソースって、そりゃ中華とかアジア料理に使うもんだって。
私はレシピ通りに作りたいのです。
初めてのものを作るのであれば、まずは基本に忠実に作ります。
そしてそれを食べてみて、イマイチなのであれば次に改善するといった段取りが理想なのです。
それを途中でアレコレ投入してしまうと何がよかったのかわらならくなってしまい、結果オーライだとしても納得がいかないのです。
ですが私はカミさんの言う通りにすることにしました。
昔のことですが私が料理をした時、ちょっとした事で夫婦間に不穏な空気が流れたことがありました。
今思うと、それは私がマウンティング男だからだと思います。
そんな自分から脱却すべく、一先ず相手の意見に耳を傾けてみました。
そして言われるがまま15ml程度のオイスターソースを滴下しました。
「おおー。これはウマい!」
いや、本当に味が全然変わっておいしくなりました。
カミさんもご満悦です。
なんか悔しい・・・おいしいけど。
言われた通りにしたら上手に出来ましたが、やっぱり納得がいかない(苦笑
文+イラスト : ケーモティック