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桃と煙

なんか最近移動が多くてまた移動していた。

結構直前だったが、京都の友人の家に行きたいと言ったら来てもいいと言われ行くことになった。友人宅には何度か行ったことがある。好きな家で、いくら滞在して話し続けても話は尽きることがない。話したいことがたくさんあった。

その前日、新宿三丁目のKEN NAKAHASHIに行った。
ヨーガン・アクセルバル個展「火は火みずからを滅ぼすだろう」
ヨーガンはスウェーデン生まれで東京在住の写真家。KEN NAKAHASHIでの展示は2年ぶりだ。毎回好きなのだが、代表作はやはりパークハイアット新宿とのコラボレーションでフォトボックスを作った作品だろうか(あれめちゃ好き)。

ヨーガン・アクセルバル 個展風景

観るまで知らなかったのだが、ヨーガンは2017年に高橋睦郎と写真家と詩人の共同制作を行っている。『Go to become なりに行く』
高橋睦郎の詩は読んだことがある。たしか中学か高校の教科書に載ってたんじゃないかなあ。どうだろ。存命であることも知らなかった。岡井隆のアンソロジーを繰り返し読んでいたことがあるからそういうのに載ってたのかなあ。高橋睦郎の詩集自体は読んだことがなかったはずだ。
中橋さんと話していると、「アンモニアの合成方法を発見した科学者がいて、フリッツ…」と言われ、即座に「Haber-Bosch法の…」とめちゃ昔の知識が一応出てきた。フリッツ・ハーバーは自分の出産時に母が亡くなっていて、それを苦にした父に捨てられて孤独感のなか両親がいない環境で育つ。化学者として研究に打ち込んでいたが、ユダヤ人という出自からナチスからの迫害が強くなり、ユダヤ教からプロテスタントに改宗している。

〈以下引用〉
近年、アクセルバルはナチスのホロコーストで使用されたガスの開発に関わったフリッツ・ハーバーの複雑な生涯にインスピレーションを受け、第二次世界大戦中に日本の秘密化学兵器が開発されていた大久野島について調査を行ってきました。さらにアクセルバルは、2017年に写真集『Go to become なりに行く』で自身の写真に詩を捧げた高橋睦郎を訪れ、人間の行動やその結果が残す痕跡、そして現代でも続く戦争について、共に対話を重ねてきました。高橋は、この作品にも応じ、「火・ぼく・記憶」という詩を新たに書き下ろしました。アクセルバルは個展のタイトルに、高橋の詩の一節を引用し、こうして二人の作品が再び共鳴し合い、展示されることとなりました。
〈引用終わり〉


翌日朝早く出ようと思っていたのに、ギャラリーの営業時間が終わっても中橋さんと話し込んで夜更かししてしまった。

だけど翌朝は早く起きる。昼時に着いてごはんを食べようと言っていた。京都くらいならあまり前日に用意とかはせずに当日朝必要なものを揃えて持っていく。駅に向かう途中にアプリで新幹線のチケットを買おうとして異変を感じる。あれ…?のぞみの指定席が普通席もグリーン席🍀も×がずらっと並んで空席がない。え…?
愚かなことにそこで初めて、自分が三連休の初日の朝にのぞみの下りに乗ろうとしていることに気づいた。愚かだ…どうしよう…あでも東京駅からだったら始発に乗れば自由席でも座れるはず…?どうだろう…?
いつもできるだけ混みそうな時間の新幹線を避けているので感覚がわからない。年末年始とかでなければ大人一人ならなんとでもなることが多いのだが…。少し予定より早く出たので、余裕を持って並べる新幹線に早めに並ぶのがいいか…。考えながらJRに乗っていたらさらに悪いことに、乗っている路線で小動物との衝突があり東京駅の一駅手前で乗り換えが必要になる。余裕を持って出てきてよかった…。東京駅は混んでいた。新幹線乗り換え口に着いたら、150人くらい改札前にたまってごった返している。お立ち台に乗った駅員の人が迂回すると行けるすいている改札を拡声器を使って案内しているが誰も聞いていない。そちらへまわるとすぐに新幹線構内に入ることができ、予定していた新幹線の自由席列車の列に並んだ。座れるかどうかと思いながら待っていたが、10分ほどでのぞみが到着し、自分は座ることができたが、車内は立っている人で混み合っていた。


新幹線内では文藝冬季号を読む。

町川匙さんの受賞作が載っている。ちょうど、主人公が在来線の車内に乗っているシーンから始まる。彼の写真も何枚か載っている。最後に会ったのはけっこう前だが、チャーミングな男の子という感じがあまり変わっていないように思えた。
いい小説だ。徳島の話だと思っていたが、徳島は電車ないんだよな。じゃあ冒頭のシーンは何だった…?と思いながら読んでいた。

文藝をときわ台の本屋イトマイで買った。

ときわ台は板橋区のビバリーヒルズとも呼ばれる(ほんまに?)板橋区屈指の高級住宅街だ。初めて行ったが、駅前がなんとなく田園調布っぽい感じが…?あるか…?平日夜に行ったが、イトマイも混んでいた。なるべく独立系書店に行くようにしてからいろいろ書店に行っているけどイトマイが一番混んでいた気がする。


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