マガジンのカバー画像

芝居の時間

27
芝居や演劇のつくる・みるにまつわるマガジン。 人生は歩き回る影帽子、あわれな役者だ!
運営しているクリエイター

2023年9月の記事一覧

太宰治の「裏返しのナルシシズム」

太宰治の「裏返しのナルシシズム」


太宰治を読む。 太宰治はセーラー服のようなものだ。みんな好きなのに、そうだと言えない。というのは今ふと頭に浮かんだフレーズなので特に妥当性はない。
 かくいう私も兼ねてから太宰作品が好きだ。

 ああ、なよなよしていて、どきどきする。

 太宰治と言うなよなよした魂が今にも消えてしまいそうで、どきどきする。危うく、それ故に儚く、純粋に見える。純粋なあまり死に傾倒し身を持ち崩していくような生き方。

もっとみる
脚本をつくるときに大切にしている「時間と場所」のこと。

脚本をつくるときに大切にしている「時間と場所」のこと。


書く時間と場所を限定する 脚本家として自劇団の脚本を書き続ける中で、今までずっと続けてきたことがある。
 それは「脚本を書く場所と時間を限定する」と言うことだ。

 理由は明快である。人の手によって書かれた文章は、それが書かれた時間や場所の影響を少なからず受けるはずだ、と私が信じているからである。

 例えば携帯で打ったメール。その時の感情はもちろん、何時に・どんな場所で作られたものかによって手

もっとみる
台詞の情報ウェイトを整理する

台詞の情報ウェイトを整理する

 以前、こんなnoteを書いたことがある。

 この時、台詞に感情以外の要素が入ってくるという話にも触れた。
 時間とか、場所とか、状況とか。発話する登場人物周辺の事情たち。
 
 しかし今回は、感情でも事情でもない、新たな要素。台詞の発話ならではの「情報ウェイト」のお話。

情報ウェイトとは 例として、こんなセリフを用意した。

 この台詞にどんな感情を込めて言うかとか、このキャラクターはどんな

もっとみる