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ペン表ソフトの選手を倒すための戦術と注意点👍
試合会場にて。
相手はなにやらベテランの風格。見るからに体力も頭脳もこちらが上。ラケットはペンホルダーの片面に表ソフト。古臭い戦型だ。さくっと倒して次の相手に備えよう。
しかし、いざ試合が始まってみると、思っていたのと違う。サーブは効かない。渾身のドライブを放っても、前陣でいとも簡単にブロック。さらにショートでフォアにバックに振り回される。しかも全部ナックルだから、ぼとぼとネットミスをする。それを避けるために持ち上げると、今度は強烈なスマッシュを上から叩きこまれる。全く自分の普段の卓球ができないままに負け…。
こんな経験はないだろうか。
卓球は回転のスポーツだ。ボールの回転を巧みに操り、また同時に相手の回転を瞬時に読み切って対処できる者が勝つ。
そんな回転を操るために、ラケットに貼るラバーの種類も無数にある。今回は、いわゆる「回転がかかりにくい」とされている表ソフトラバーを駆使した選手。その中でも、ペンホルダーで裏面を使わない、「ペン表」プレイヤーに対する攻略法をお伝えする。
(1)基本的な表ソフトラバーの 特徴:強い点
❶回転の影響を受けにくい
表ソフトの基本的な特徴は、「回転の影響を受けにくい」という点である。表面が凸凹(でこぼこ)になっているため、裏ソフトと比べてボールとの接地面が少なく、単純に回転から受ける影響が少なくなるのだ。
その為、裏ソフトの選手からは返ってこないようなレシーブが来たり、どれだけ回転をかけたループドライブも、難なくぴしゃりとブロックされてしまったりする。
❷ナックルボール
そして、表ソフト特有のいやらしいボールが、ナックルボールだ。多くの選手が使う裏ソフトでは基本的にボールに上回転がかかるのだが、表ソフトで打ったボールには回転はあまりかからない。なので、普通に返球しようとすると、ネットミスをしてしまう。
さらには、回転がかからない分、表ソフトは放物線ではなく、真っ直ぐの弾道を描くので、よりタチが悪い。
❸スマッシュ
表ソフトの最強の武器がこれである。ドライブはブロックできても、スマッシュをブロックするのは苦手だという選手も多い。
ドライブは、ボールを擦り上げる打法なので、回転はかかるが初速は遅い。しかしスマッシュの場合はボール弾く打法になるので、初速が速い。なおかつ、弾道が真っすぐ飛んでくるので、取りにくい。そしてもちろん回転はなく、ナックルボールだ。
(2)基本的な表ソフトラバーの 特徴:弱点
❶強い回転をかけることは難しい
表ソフトはラバーが凸凹になっているので、回転の影響を受けにくいが、それはすなわち「自分から回転をかけることが難しい」ということも意味する。強烈なサーブを出すこともできないし、回転のかかったループドライブも打てない。
❷弾道が真っ直ぐなので、ミスも しやすい
裏ソフトのドライブボールは、放物線を描く。それに対して表ソフトのボールの弾道は真っ直ぐ、つまり直線に近い。それはすなわち、台に入れるのが難しいということになる。
そうなると必然的に、ネットより低いバウンドのボールを打つ際も、表ソフトは強いボールを打つことができない。
❸台から下げれば、何もできない
表ソフトプレイヤーは、基本的に台に張り付いて前陣でプレーする選手が多い。それはなぜかというと、台から下がると威力のあるボールが打てないからだ。
後ろからスマッシュを打っても、相手コートに到達するまでにスピードは落ちる一方だ。
ドライブの場合なら上回転がかかっているので、相手コートでバウンド時にグンと伸びるが、スマッシュにはそれがない。そしてもちろん回転をかけたドライブは表ソフトでは打てない。
表は下がるとどうしてもやることが限られてくる。表はあくまで前陣が主戦場なのである。
(3)ペン表ソフトとの戦い方
それでは今度は、表ソフト使いの中でも、ペンの片面のみで表ソフトを貼った選手についての考察をしていこう。最近ではあまり見ることが無くなった希少な戦型であるが、地方のベテランプレイヤーなどにはまだまだ根強く残っている。
♦ペン表の特徴❶【台上処理が 上手い】
ペン表の選手と聞いて、まず思いつくのが「レシーブなどの台上処理が上手い」という点だ。ペンホルダーはシェークハンドよりも手首の稼働域が広く、なおかつ指先を使った細かいラケットさばきが可能だ。なおかつ、ボールの回転を受けにくい表ソフトラバーとなれば、よりいっそいう巧みな台上処理ができる。
ビタっとネット際で止まるストップ、逆モーションの流し、パチンと弾くフリック。台上はペン表の独壇場だ。
♦ペン表の特徴❷【ブロックが 止まる】
表ソフトの選手は台から下がると何もできない。シェークハンドで、もう一方の面には裏ソフトを貼ってる選手などはその限りではないが、ペン片面で表ソフトの選手の場合は致命的だ。
そうなると必然的に台に張り付いてのプレーになるので、ブロックが上手な選手が多い。こちらが一方的に攻めているのに、ブロックで振り回されて負ける、というパターンを経験したことがあなたにもあるのではないだろうか。
♦対ペン表の攻略法❶【とにかく フォアを狙って台から下げさせる】
まず一番に考えるべきことは、相手を主戦場である前陣から少しでも下げさせることである。その為には、積極的にフォア側へボールを送ることが重要だ。フォアを突いたあとに、もう一度フォア、さらにもう一度フォア、としつこいくらいに狙ってやろう。
そうすれば、相手はフォアを意識せざるを得ないので、バックへの反応も遅れる。フォアに9割、バックに1割、くらいの意識でちょうどいい。
♦対ペン表の攻略法❷【ドライブを 持ち上げさせて、それをこちらが 狙う】
基本的に表のドライブは威力がない。どうしても持ち上げるようなボールになってしまうし、回転量もスピードも、裏ソフトのそれとは確実に落ちるはずである。なので、あえて相手に先にドライブを打たせ、それをブロックなり、カウンターなりをするところから展開するのが得策である。
具体的には、まずはレシーブでも3球目でも、相手のフォア側深くにツッツキを送る(深くがポイント)。そして相手がなんとか表で持ち上げてきたドライブをブロックなりカウンターなりで、必ず相手のフォア側へ返球する。
これでかなりの確率で相手を台から下げることに成功するはずだ。
フォアにボールを送ることは少し怖く思うかもしれないが、実は卓球は全体の8割がバックに来る、というデータがある。相手も自分も基本的には自然と「バック待ち」なのである。それに、バック側は回り込めば踏みこんで打てるが、フォア側は台が邪魔になるので、それができない。なので強烈なボールが来る確率は意外と低いのだ。
なので、恐れずにフォア側を攻めよう。
♦対ペン表の攻略法❸【相手の ラケット面を安定させず、調子を 崩させる】
ペン表の打つボールは、スマッシュにしろ、プッシュにしろ、「ラケット面の角度」が大いに重要になる。ノリノリでスマッシュを連打できていたのに、ひとたび角度が狂うと、とたんにボールが全く入らなくなる、という現象が往々にしてある。
なので、相手のラケット角度を狂わせることができれば、勝手に崩れてくれるだろう。
具体的には、ボールの質を一定にせず、回転をかけたりかけなかったり、ときにはふわっとしたボールを送ってみたりと、とにかく変化を与えるのだ。
試合の中で急に行うのは難しいかもしれないが、頭に入れておくだけでも全然違うはずだ。
ペン表はリズムで試合を組み立てるので、そのリズムを崩してやろう、くらいに考えておけばいい。
♦対ペン表の攻略法❹【どうしても ナックルに対処できないなら、少し 台と距離を取る】
こちら側は台に張り付き、相手を台から下げさせる展開が理想である。しかしなかなかそう簡単にはいかないこともある。
まず相手のナックルのショートやスマッシュを返球することができない場合は、一旦こちらが少し台から距離を取ろう。そうすれば、スマッシュはバウンド後に威力が落ちるし、ナックルボールも幾処理しやすくなる。
ただし、このとき下がり過ぎると今度は表をリズムに乗せてしまうこととなるので、あくまで普段より一歩下がる、くらいに留めておこう。そうしてなんとかラリーに持っていきながら、相手のフォアを狙いつつ、調子を崩させるような意識で展開を持っていこう。
♦対ペン表にしてはいけないこと❶ 【短いサーブを色々出す】
ペン表は台上が得意だ。サーブで色々工夫を使用としても、その工夫が功を奏することはすくない。であれば最初から、思い切りロングサーブで攻めるべきだ。このとき大事なのは、「深く、低いサーブ」を送ることだ。とくに回転がなくても、スピードがなくても、深くて低いボール対しては表はとくにできることが無いので、かなり効く。
♦対ペン表にしてはいけないこと❷ 【がむしゃらに打ちまくる】
これも実はあまり得策ではない。打ちまくって勝ち切れるのならいいが、そうでなければ対応されて、ブロックで振り回される展開になるのがオチだ。
こちらが打つだけではなく、相手にも打たせてミスを誘う、半々くらいの割合でちょうどいい。
♣まとめ
ペン表ソフトの攻略法を考えてみた。
まとめると、
▣まずは打つべきはフォア側へ低くて深い ツッツキ
▣その後もフォアを狙って台から下げさせる
▣ボールの質を変えて相手のラケット角度を 狂わせる
▣どうしても対処できないときは一歩 下がって対応
となる。
何を隠そう筆者もペン表の選手であるので、これらの戦法が効くことは10年以上ペン表で戦ってきた私の経験を持って立証済みである。
ぜひこれらの戦法をうまく使い、ペン表をやっつけて頂きたい。
次回は、カットマンを攻略するための「絶対にミスをしないカット打ち」とは!?を紹介させていただきたいと思います。