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花の話 -映画『花束みたいな恋をした』を観てきた-

 こんばんは、今日もおつかれさまです。
 恋愛経験ナシの分際で『花束みたいな恋をした』を観に行ってきました。

 ここからネタバレを多分に含むので、観ようと思ってるけどまだ見ていない方は読まないほうがいいです。映画を見るとき、前もって内容だったり他人の感想や考察だったりを読んで、「この映画がもつ意味、価値」みたいな評論家的な視点をもって初めて出会っちゃうのはもったいない気がするので。個人的にはただの一観客として楽しんで自分の中で消化できてから、あ、もしかしてこの映画のある意味ってこうなのかなとあれこれ考えたほうが楽しめていいと思っています(あと映画の最中に限界成人男性の僕が脳裏に思い浮かんでしまうのは不幸だと思うので)。


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 そもそも観る予定がないという人向けにあらすじ。

東京・京王線の明大前駅で終電を逃したことから偶然に出会った 山音 麦 (菅田 将暉)と 八谷 絹 (有村 架純)。好きな音楽や映画が嘘みたいに一緒で、あっという間に恋に落ちた麦と絹は、大学を卒業してフリーターをしながら同棲を始める。近所にお気に入りのパン屋を見つけて、拾った猫に二人で名前をつけて、渋谷パルコが閉店しても、スマスマが最終回を迎えても、日々の現状維持を目標に二人は就職活動を続けるが…。まばゆいほどの煌めきと、胸を締め付ける切なさに包まれた〈恋する月日のすべて〉を、唯一無二の言葉で紡ぐ忘れられない5年間。[公式サイトより引用]

 物語は2020年、カフェで麦と絹がそれぞれの彼女彼氏とデートしているときに偶然再会してしまうシーンから始まる。過去、2人は2015年に出会い、付き合っていた。本編は出会いから別れに至るまでを中心に描いている。
前半部分では奇跡レベルで趣味嗜好が合う2人の牧歌的な幸せの日々が描かれるが、フリーランスだった麦がそこそこ激務な営業部に就職してから生活にすれ違いが増え、後半部分ではお互いを理解できなくなっていき別れに至る。やはり労働は悪。
 あらすじ紹介おわり。


 観終えて思ったのは、「花束みたいな恋」という雰囲気を鮮明に感じられたのは、前半よりむしろ後半のほうだったなということ。映画館に行く前は、「まあきっと、カップルの幸せでキラキラした心理描写とかから『花束みたいな恋をした』ってタイトル通りの空気感を感じた、みたいな感想を抱くんだろうな〜」と先回りでぼんやり推測していた。でも実際に観進めていくと、2人が破局に向かう残酷とさえ思える後半パートのほうが、「花束」っぽさを強く感じたというわけだった。もちろん前半の陽だまりのような日々も十分「花束みたいな恋」感はあった。なんで後半のほうがそう感じたのか明確な理由は見つけられていないけれど、感情の多彩さゆえかなと思う。幸せパートに対して倦怠期・破局パートは、感情の色数が多かったし、振れ幅も大きかった。それは主役の2人もそうだし、観ている自分もそう。そういう意味での"カラフルさ"が、「花束」感を醸し出していたような気がする。恋愛経験豊富な人だったら幸せパートの解像度が僕より高くて、違う印象が残るのかもね。

 最初は、自分とは別世界のキラキラした陽キャのための映画だと斜に構えて行ったものの、実際観たら思いの外、かなり楽しめた。恋愛経験がないからこそ、主役の男女どちらか片方に過度に肩入れすることなくフラットに見ることができたのが良かったのかもしれない。恋愛や同棲のリアルな理解度は低いと思うけど、おかげで既視感の刃に心を抉られすぎもせず。ラストが爽やかなのもすごく良かった。別れてるから悲しい結末ではあるんだけど、とても晴れやかというか。闇堕ちすることもなく、あの輝いていた日々をバックグラウンドに持ちつつも、お互いちゃんと前を向いて生きていきましょうみたいな。終演後にトイレですれ違った男2人組は、「なんでまだあんなに気が合うのに別れちゃうんだよ、わかんねぇよぉ〜!」「もったいない〜!」と言っていたけど、わかってねえな(どこ目線?)。

 あとは主役の2人が、映画を見る前に勝手に想像していたようないけ好かないキラキラ陽キャじゃなかったのも良かった。むしろ共感したり親近感を感じたりする部分もあった。海とか川とか、水辺を眺めるのが好きだとか。 
 まあ、デート中に自分のパートナーの目の前で、見ず知らずのカップルに横から余計なクソリプ蘊蓄説教を垂れに行くヤバ人(やばんちゅ)っぷりを垣間見せてきたときはかなりイカれちゃってるなと思ったけど。


 そんな感じで素敵な作品だったわけですが、

劇中に登場した花のまとめ

 ここからが本題というかこのnoteを書くに至った理由です。
 実はこの映画、部屋のシーンは毎シーン、花瓶にいろんな花が飾られているんですが(おそらく絹が生けているっぽい)、何の花が生けてあるのか気になってずっと花瓶を追っていたので、まとめました。残念ながら花にピントが合っていなくてよく見えなかったり(メインは人間なのでそれはそう)、見切れたり、単純に僕が見たことない花だったりしたものもあったので、全部はわかりません。しょうがないね。

◎2015年
絹の家のキッチンカウンターに飾られた花:赤バラ、白い花、葉物
〜交際開始〜
麦の部屋:デンドロビウム系の白地に黄色のオーキッド?
麦の部屋:青いデルフィニウム、白いデイジー(この後のシーンのやりとり的に、デイジーじゃなくてハマギクの可能性もある?)
 濡れ場シーンみなさんはいかがでしたか?僕は「あー、みかん乾いてカピカピになっちゃうー、人間が致してる横で食べかけのまま放置されるみかんの気持ち…」とか考えてました。
〜多摩川のそばのアパートで同居開始〜
パン屋帰りに買った花束:ねこじゃらし +多種
テーブルに飾られた花:白バラ?、青いデルフィニウム

◎2016年
〜ネコチャンを飼い始める〜
テーブルに飾られた花:真っ赤なダリア、白バラ
〜親、襲来〜
テーブルに飾られた花:緑の花(ピンボケしててわからないけどオオデマリっぽい)
〜年末〜
白バラ、ユーカリ?

◎2017年
〜麦の就活終わり〜
テーブルに飾られた花:うすピンクの大輪バラ、ねこじゃらし

◎2018年
テーブルに飾られた花:濃いピンクのカーネーション3本  横にみかん
〜会社で寝泊まり、喧嘩〜
テーブルに飾られた花:黄白色のチューリップ2輪
〜先輩の葬式〜
テーブルに飾られた花:赤いルピナス?ふさなりのやつ
~その翌朝~
テーブルに飾られた花:葉物、白いルピナス?これもふさなりのやつ
 昨日の今日で花替えてるのすごいな、いつ買ったんだ?もしかして近所に生えてるやつ採ってきたのかな。

◎2019年
〜別れ話のあと〜
テーブルに飾られた花:白いスイートピー、ホウキ草(ススキっぽいやつ)

◎2020年
〜引っ越し前〜
テーブルに飾られた花:黄色のミニローズ、ピンクマーブルのミニローズ
〜引っ越し〜
麦の新居:ヤツデの木?
 同居中にずっと部屋の隅に置いてあったのってゴムの木かな。


 花言葉を調べてみたらそのシーンに関係ある花だった、とかあるのかな。僕は調べません。

 長くなってしまったので終わります。



P.S. 菅田将暉も口元に白ニキビできてて勝手に親近感抱いた(花束みたいな恋をした史上最悪の感想)。


おすすめのまともな感想・論評

押井守の「あの映画のアレ、なんだっけ?」(第44回)『花束みたいな恋をした』の感想を教えてください!
https://lp.p.pia.jp/article/essay/48171/179261/index.html
大ヒット『花束みたいな恋をした』、有村架純のセリフをすべての大人が噛みしめるべき理由(コメカ)
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/81370?imp=0
宇多丸、『花束みたいな恋をした』を語る!【映画評書き起こし 2021.2.5放送】
https://www.tbsradio.jp/561132
宇垣美里と宇多丸『花束みたいな恋をした』を語る
https://miyearnzzlabo.com/archives/72049
《02》これは考察ではなく妄想だけど『花束みたいな恋をした』の麦と絹のキャラ設定についての謎を解いてみる。(もう観た人向け)-瀧波ユカリ
https://note.com/takinamiyukari/n/n76845da9d5ce

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