人や街をつなぐ美術館
陽の光がたっぷりとそそぎ、気持ちいい。
ガラスのファサードに、反った深いへり。ノイズを減らしたモダンな建物です。
2022年4月にリニューアルオープンした「藤田美術館」。ネオン街で知られる大阪・北新地から2駅となりの大阪城北詰にあります。
関西の財閥であった藤田傳三郎(でんざぶろう)と息子の平太郎、徳次郎が収集した国宝9件、重要文化財53件を含む約2000件のコレクションを所蔵しています。
・内観
土間
エントランスの「土間」へ入ると、真っ白い漆喰の壁に重厚な扉がどっしりと佇んでいます。左側に広間、右側にはキッチンカウンターの茶屋が設備されています。
全面ガラス張りなため外から丸見えです。通りがかりの人は興味深そうな顔で中へ視線を向けていました。
リニューアル前の藤田美術館は、藤田家の蔵を改装したものでした。その蔵で使われていた古材が、扉や窓、床などに再利用されています。経年で変化した色ムラや傷跡などシブいですね。
展示室へ
重々しい扉をくぐると、薄暗い部屋に通されました。いったん一呼吸、こころが静まります。展示室内も光は抑えられ、まるで蔵を感じさせる空間でした。
約2000点ある古美術品ですが、すべてを展示しているわけではありません。年間を通じて開館できるように、毎月テーマを変えています。そして、展示室の中を自由に変えれる仕様になっているそうです。
燦然と輝いていた国宝「曜変天目茶碗(ようへんてんもくちゃわん)」に出くわすことができました。世界に4碗しかない1碗を所蔵する館としても知られています。
*展示内容の年間スケジュールが公開さています。ホームページをご確認ください。
・つながる
土間へ戻るには外の通路に誘導されます。深いへりがつくってくれた日陰を歩きながら緑を眺めていると、自然と公園に足を踏み入れていました。
美術館のとなりは大阪市の「藤田邸跡公園」。塀が一切なく、つながっているのです。
・茶屋で一息
公園を少し散歩したあとに、併設された「あみじま茶屋」で一休みをとりました。
左官職人が施したグレーのオープンキッチン。素敵です。メニューは、お茶とだんごのセット(500円/税込)のみ。煎茶、番茶、抹茶の3種類から選べます。
「一服一銭」のように思え、ごはん前にちょうどいい量でした。茶屋だけの利用も可能です。
この茶屋では、現代作家の器で茶を楽しめます。わたしは、兵庫県丹波の市野雅彦さんの茶碗で抹茶をいただきました。盆は川合優さんの作品です。
「谷松屋戸田」のウェブサイトから作家の作品を購入することができます。
・まとめ
古美術品にはあまり触れてこなったのですが、素直に楽しめていたなと気づきました。またのんびりと過ごしに来たいと思います。19才以下は無料です。一年中迎えてくれます。(年末年始を除く)社会に寄与する藤田美術館は優しく親しみやすい場所でした。
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