【企業を守る】効果的な内部通報制度の構築サポート
コンプライアンス強化に取り組む企業や、IPO準備に取り組む企業などにとって、近時、内部通報制度の整備は重要なテーマです。以下、効果的な内部通報制度を整備するために重要なトピックを紹介します。
内部通報制度の整備の必要性
内部通報制度は、企業内の不正を早期に発見・是正して企業と従業員を守るための制度と説明されます(消費者庁パンフレット)。横領、情報漏洩、セクハラ・パワハラ、不正会計など、不正の早期発見・是正による企業のレピュテーション向上、従業員のモチベーション向上などが導入によるメリットといえます。会社法の観点からは、取締役の内部統制システム構築義務の一部を構成する制度ということもできます。
公益通報者保護法により、従業員数が300人を超える企業には、内部通報制度の整備が義務付けられており、300人以下の企業であっても、その整備に努めることとされています。IPO準備の過程でも、いずれかの段階でその整備を行うことが事実上必須とも考えられます。
内部通報制度の整備にあたっては、消費者庁が公表している「公益通報者保護法を踏まえた内部通報制度の整備・運用に関する民間事業者向けガイドライン」(平成28年12月)や、「公益通報者保護法に基づく指針(令和3年内閣府告示第118号)の解説」(令和3年10月)、「公益通報ハンドブック」(令和4年7月)などを参照しつつ、公益通報の規律が及ぶことも考慮し、実際に効果的に機能するような建て付けにする必要があります。
通報窓口に関するリスクと対応
内部通報制度の通報窓口が社内の窓口だけの場合、従業員等が通報を躊躇すると考えられることから、会社の外部に窓口を設置することが通例となっています。
よくある質問が、顧問弁護士を内部通報制度の外部窓口として良いか、というものです。この点について、消費者庁の指針では、以下のように述べられています。
結論から言えば、望ましくないということになります。これは、外部窓口である顧問弁護士は、あくまで会社側の存在であり、会社側の担当者に繋ぐだけの役割でしかないからです。
公益通報者保護法の指針解説においても、顧問弁護士を外部窓口としている場合には、「顧問弁護士であること」など、内部公益通報受付窓口の利用者が通報先を選択するに当たっての判断に資する情報を提供することが望ましいとされています(指針解説12頁)。
例えば、パワハラ問題でも、職場環境の安全配慮義務の観点から、当該従業員と会社の間には利益相反があるともいえます。顧問弁護士は、あくまで会社側の立場で考える存在ですが、内部通報者は、そのことについて十分に区別が付いておらず、弁護士であるからと信頼して話をしてしまう可能性があります。そこで得た情報を、会社側の代理人として利用することはできません。
さらに、経営者不正の事案のような場合には、会社内部の窓口担当者に連絡したところで、意味をなさないと考えられます。このような場合に、社外取締役や監査役に連絡をすることになりますが、顧問弁護士の立場では、経営者からの委託を受けている存在として、難しい判断を迫られることになります。
このような観点からすると、現経営陣から独立した弁護士を通報窓口としておく方が制度として望ましい体制ということができるでしょう。
通報された不正の調査をどうするか
実際に何らかの不正が通報され、弁護士に依頼して調査する場合、これを誰に委託するかにも留意する必要があります。まずは顧問弁護士に相談するのが一般かと思いますが、事案の内容によっては、顧問弁護士が調査を行うのが適当ではない場合があります。
典型的には、経営陣も含めた不正が疑われるような場合です。消費者庁のガイドラインにも、以下のような記述があります。
実際には、通報された事実に基づき、個別的な判断が必要になりますが、安易に顧問弁護士に任せておけば良いというものではないことに留意が必要です。
内部通報制度の導入のために必要な事項
消費者庁のガイドによると、内部通報制度の導入や整備のため、以下のようなステップを踏むことが必要とされています。
内部通報制度の導入意義について理解
内部通報対応の責任者を選定
内部通報の受付窓口の設置
内部通報の受付方法の決定(例:メール、チャット、電話、匿名)
従事者の指定・研修
受付記録の保管場所、保管方法の決定
内部規程、対応マニュアル、受付票の策定
経営トップから従業員・役員等への周知
従業員・役員等への研修
公益通報者保護法の改正により、内部通報制度の整備が義務付けられたため、導入ツールも充実してきていますが、内部通報制度は形だけを整えれば良いというものではなく、実を伴うものにする必要があります。そのため、専門家のサポートを得ながら、自社の実情に応じた制度として整備していくのが良いでしょう。
内部通報制度の導入サポート・外部通報窓口のお問い合わせ
スパークル法律事務所は、長年培ってきた企業法務の経験と、数多くの内部通報事案への対応実績を有しています。 この豊富な経験に基づき、内部通報制度が実際に機能し、企業の健全な発展に貢献するために構築を支援いたします。 予防的な観点からのコンサルティングから、問題発生時の迅速な対応まで、ワンストップでサポートいたします。
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