弁護士三谷革司(Kakuji Mitani)@スパークル法律事務所
株主総会に関する記事を集めています
会社法の勉強部屋です。
私は、企業法務分野を得意とする日本(東京)の弁護士であり、留学経験があり、NY州の資格も保有しています。私の発信は、このnoteのほか、日常的には、Twitterを使用しています。法律相談のご依頼、お問い合わせその他のご連絡は下記までお願いいたします。 1.略歴私の略歴は、以下のとおりですが、最新の情報は、スパークル法律事務所のウェブサイトをご参照ください。 スパークル法律事務所のウェブサイトのドメインの「.legal」は、事務所開設時に空きを見つけ、目新しいなと思って取
コンプライアンス強化に取り組む企業や、IPO準備に取り組む企業などにとって、近時、内部通報制度の整備は重要なテーマです。以下、効果的な内部通報制度を整備するために重要なトピックを紹介します。 内部通報制度の整備の必要性 内部通報制度は、企業内の不正を早期に発見・是正して企業と従業員を守るための制度と説明されます(消費者庁パンフレット)。横領、情報漏洩、セクハラ・パワハラ、不正会計など、不正の早期発見・是正による企業のレピュテーション向上、従業員のモチベーション向上など
丸の内に移転して早1カ月。 やはりここは人が集まる中心地であり、「人との距離」が近くなったと感じる。オフィス移転による色々な影響は勿論あるが、これが最も違いがあると思われる点である。 神田淡路町も住むにはとても良い場所だったが、中心地とは言い難く、わざわざ出掛けて来訪する場所という感があった。丸の内界隈には、法律事務所も多数あり、この1カ月の間にもふらっと歩いて来てくれる同業者や友人達が沢山いた。まさに「ご近所さん」になったかのような感覚である。自分がこちら側に来ると、タ
株主総会に関して、Q&Aをまとめました。社内資料等でも用いることができるようできるだけ平易な言葉を用いており、前提となる説明を省略している場合がありますのでご留意ください。また、上場会社の株主総会を念頭に置いた記述であり、非公開会社の場合は別途の考慮を要することがあります。個別の案件に関しては、個別の事情を前提としないと正確な回答はできませんので、ご留意ください。 皆様のご参考になれば幸いです。 総会の議事関係Q. 株主総会の議事進行の流れを教えてください。 一般
先日、私の事務所のウェブサイトに「AIは法律実務を変えるか~Chat GPTの到達点」とのタイトルで、Chat GPTの現在の到達点と可能性についての記事を公開しました。文書作成補助者としての優秀性から、具体的な展開としての議事録やヒアリングメモの作成補助などは、実務への応用可能性を感じさせるといったコメントもいただきました。 ただ、上記の記事では、私が現時点で潜在的可能性を感じており、かつ実際の実用レベルでも相当便利だなと思っている点には触れていませんでした。本記事は、そ
近年、アクティビスト株主等による株主提案の事例が増えており、今年度も引き続き多くの事例が見られています。世界的潮流、気候変動の動き、資源高騰、円安など、様々な変動がある中で、多くの資金を背景として、大企業に対しても躊躇なく株主提案が行われ、相応の賛成率を集める事例も散見されています。 そこで、昨年、一昨年に引き続き、株主提案や敵対的買収の事例(2023年のもの)について、備忘録的に収集している情報を公開していきます。基本的にはリンク集(公開されているもののうち重要と思われる
上場企業の株主総会において、株主提案権が積極的に行使される傾向が現れてきています。公表されている情報から、2022年6月の株主総会における株主提案の事例を集めてみました。 今回は、古くて新しい議論ですが、取締役報酬の個別開示(を行う旨の定款変更)に関する事例と、その賛成状況について紹介します。 日本では、報酬の個別開示について、法令上の義務がある1億円以上の役員報酬を得ている役員以外の役員の報酬額の個別開示を行う例はかなり稀ですが(武田薬品工業株式会社さんなどが有報
上場企業の株主総会において、株主提案権が積極的に行使される傾向が現れてきていますが、今回は、いわば株主提案権の負の側面として、会社の経営を真摯に検討しているとは考えられない濫用的な事例や、個人攻撃のように見える事例などを取り上げてみたいと思います。以前と比較すると、少し数が減ったでしょうか。 なお、その基準は私の一存であり、その提案を行った株主がどのような意図であったかや、背景事情についての情報は持ち合わせていません(株主さんとしては、真剣に会社の経営を考えてのことかも
上場企業の株主総会において、株主提案権が積極的に用いられる傾向が現れてきています。公表されている情報から、2022年6月の株主総会における株主提案の事例を集めてみました。 第2回は、近年注目が高まっている気候変動関係の株主提案の事例を紹介します。なお、この分野については、2021年度の状況についても過去のnoteの記事でまとめていました。2022年度も類似の提案がなされています。 1.三菱商事の事例 昨年度は住友商事さんで株主提案がなされたのですが、本年度は三菱商事さ
上場企業の株主総会において株主提案権が積極的に行使される傾向が強まっており、本年度の6月総会では過去最多(77社)とも言われています。そこで、公表されている情報から、2022年6月の株主総会における株主提案の事例を集めてみました。 今回は、株主総会において株主提案が可決された事例を紹介します。 1.北越メタルの事例 北越メタル株式会社の株主総会(2022年6月21日開催)では、株主提案が可決され、会社提案の第2号議案の一部、第3号議案が否決されています。招集通知から、
若手弁護士や就活生からの質問を素材に、弁護士のキャリアの話題などを中心に考えてみるシリーズです。今回は、ちょっと答えるのが難しい、 というテーマをあえて取り上げようと思います。 そりゃ、頭脳明晰かつ知識豊富、土日祝日問わず勤勉で仕事が早く、人柄も良くて皆からも好かれ、見た目もシュッとしていて清潔感があって爽やか、クライアントから次々ご指名が入るみたいな人がいいですね、といってもそんな人はドラマの中にしか存在しなくて、誰しもがどこか何かに悩みを抱えているものです。また、そも
若手弁護士や就活生からの質問を素材に、弁護士のキャリアの話題などを中心に考えてみるシリーズです。内容は備忘録のようなものです。今回は、 というテーマについて、コメントしたいと思います。これは弁護士数名程度の伝統的な法律事務所を想定した場合ですが、答えから言うと、そういうボス弁も多い、と思います(もちろん、全員がそうということもなく、自席でずっと起案しているタイプのボス弁もいるとは思います)。そして、このことは、現在の法律事務所のライフサイクルから構造的に生じる、普遍的な現象
2022年6月の改正公益通報者保護法の施行を踏まえ、本稿では、時々耳にする「顧問弁護士が内部通報の外部窓口になっても良いものか?」という点について、少し考えてみたいと思います。 この話は、特に弁護士間でよく話題になるのですが、結論としては、外部窓口は顧問弁護士とは別の弁護士とすることが望ましいと考えます。ただし、当面の措置として外部窓口を顧問弁護士に依頼することは考えられますが、それでは内部通報制度が機能しない場合があり、よく手当てを考えておくことが必要ということになります
若手弁護士や就活生からの質問を素材に、弁護士のキャリアの話題などを中心に考えてみるシリーズです。内容は備忘録のようなものです。今回は、 というテーマについて、コメントしたいと思います。 今、弁護士になって約20年ですが、様々な経験を積んで振り返って考えると、若手の頃はこれに全く気付いていなかったとか、認識が甘かったなあと思い出すと恥ずかしいようなことの方が圧倒的に多いように感じます。(ただ、誰だってそういうものだと思いますけどね。) 自分の仕事に妥協しない 私が常に意
若手弁護士や就活生からの質問を素材に、弁護士のキャリアの話題などを中心に考えてみるシリーズです。内容は備忘録のようなものです。今回は、 というテーマについて、コメントしたいと思います。これは真剣に語り出すと、薄い本一冊くらいは語れる位のテーマなのですが、ここではポイントだけにしておきます。 弁護士の留学 私もそうですが、企業法務系の大手、準大手、あるいはいわゆる渉外事件をやる渉外事務所、外資系の事務所などでは、実務に出てアソシエイトとして数年(私の時代は3~4年)経験を
関西スーパー事件の大阪高裁の決定文を素材として、株主総会での議決権行使をめぐる問題を考察しようというシリーズです。前回までの記事は、以下です。 今回は、事前の議決権行使と当日出席の関係について、取り上げます。議決権の重複行使については会社法施行規則63条3号、4号にも法文上の規定もあるところですが、本件のように、当日出席して議決権を行使した場合については明確な規定がないところかと思います。 1. 本件招集通知上の記載 議決権行使書とインターネット等による議決権行使が重複