竹見名央のドイツ紀行
「あ、ドイツに留学しよう。ワン! ツー! スリー! フォー!」
そう思い立ってから早一年…。日本を経つ直前に大きなニュースが入ってきました。
“福山雅治 「家族になったよ」”
「わああああ! おめでとおおおお!」(わたしはとくに彼のファンではないのですが、一緒にお酒を飲んだら楽しいと思っています。)祝福ついでに「最愛」なんかを流していたら、成田エクスプレスに乗り遅れることに。「あああああ閉まらない蓋が閉まらないよおおお」カスタネットを演奏するかのようにトランクと格闘しておりました。荷物が多いのではなく、蓋自体が壊れているのです。大物芸能人のニュースは実際に衝撃を与えるんですね。「あああああどうしよう飛行機に間に合わなかったらどうしようもうああああ」よくある展開に愕然としていると、親切なおじいさんと車掌さんが助けてくれました。ありがたや、ありがたや。
「あああああどうしよう入国できなかったら逮捕されて刑務所に入れられてそれからそれから…」
9月29日、無事渡独。
ドイツに到着してから5日間ほど、「何を食べればいいのか」と思案しつつ、無花果を主食に生活。「ピーターラビットみたいだ!」おまけにマグカップやドリッパーもなかったので、「コーヒーくらい飲まなくても…」と、断食ならぬ断コーヒーを決行。案の定、ハアアアアってなりはじめる…。「甘いものがほしいいいいいあああああ」結果、一袋500gのクッキーを二日で食べ終わっちゃいました。これは病気になりますね。ハハハ。
コーヒーを淹れるにはドリッパーが必要なんですが、ドイツのちゃんとしたドリッパーはとても高いです。
€300.89。日本円にして約39,345円。「家賃と同じ値段じゃねえか!」ショックのあまり、空のペットボトルからドリッパーを発明(?)「ドイツの平賀源内と呼んでくれ」
日本でいう100円ショップがドイツにはあります。通称”オイロショップ”。(オイロはユーロのことです。)
ある時、店に入るとクリスマスツリーの柄のついた小さいベルが置いてありました。それを出口に通じる通路のど真ん中で1組のカップルが、「こんなものも1ユーロで売ってるんだねー」「スゲー。鳴らしてみようぜ」チリンチリン「キャーチョーカワウィウィー」「君の方がカワイイよ」「ちょっとやめてよダニエル(仮)~」というような会話を繰り広げていました。「ううどうしよう…」なんと声をかけるべきか迷っていたわたしは「ア、ア、エッエエエエンッウィ」と軽めのカオナシのような奇声を上げてしまい、ダニエル(仮)の方に凝視されました。通りたいとだけ言えばよかったのに邪魔をして済まなかった。
あとは、羊の大群に巻き込まれる話とか髪が伸びた話とかがありますが、今回はこのへんで。
Auf Wiedersehen!!
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『竹見名央のドイツ紀行』 著・竹見名央
担当編集:木村
編集・日本大学芸術学部文芸学科所属 出版サークルKMIT