
フィッツロビン対談
冒頭三十分、竹見氏大遅刻。急遽、編集担当者からえりなさんへのインタビューへ変更。
Q 作品を読んだときの印象はどうでした?
おもしろいなと思いました。外套が語り手っていうのがすごくおもしろくて…。だから、自分がイメージしたものを書き起こして竹見さんに送ったら、ご本人にもイメージがあったらしくてイラストが送られてきてそこにいろいろと加えていきました。
Q 描くうえでキャラクターに対する印象は何かあったりしますか?
最初、ウィルの年齢層が自分の中でちょっとつかめなくて…。十歳ぐらいって言われてたんですけど、最初描いたのが大人っぽすぎるって言われて、ちょっとまた幼くして…。絵柄によって変わっちゃうんですけど、それがちょっと描きにくかったですね。フィッツロビンも安定しなくて、結構手癖があるので、大変でした。
Q フィッツロビンとウィルとどっちが好印象ですか?
好印象…なんか素直なのでウィルのほうがいいですね。フィッツロビンはつかめないっていうか(笑)未だによくわかんないので。表情とかもあんまりないのかな~とか思って。描きにくいですね(笑)
ここでようやく竹見氏が登場。
ここからは竹見氏とえりなさんの対談へ。(時々担当者)
竹見氏、念願かなってえりな氏に会えたことに感動。若干過呼吸状態になる。
竹 見:絵がないと、人って文字だけだと手に取ってくれないじゃないですか。なので、えりなさんの絵はとてもありがたいです。毎回拝んでます(笑)
えりな:(笑)
竹 見:私、絵を描いていただくのに注文多いじゃないですか。
えりな:でも色々言ってもらったほうがすごく描きやすいです。言ってもらわないと描きにくいのでありがたいです。
担当者:どの作品が好き、などありますか?
えりな:三作目の絵の具を作る話の画家がすごく好きなんですよ。
竹 見:あれは、モデルとかはないんですけど…人間って誰しも褒められまくると図に乗る生き物じゃないですか。「すごい! すごい!」って言われてたら、天狗になって調子に乗ってダメになるっていう…その、芽が潰されるみたいなのをちょっと書けたらいいなあと思って。
えりな:そのダメっぷりがすごく良かったです。
一 同:(笑)
えりな:フィッツロビンとウィルが出会う話も好きです。最初ウィルが語り手ってわからなくて、あとで「あ、これウィルなんだ!」って気がついて、それが面白かったです。
竹 見:あ、それは、読んでる方にウィルって気がつかないようにしたいって思ってたので…冥利に尽きます。
えりな:(笑)
竹 見:絵って、こういうの描いてくださいって言われてからどれくらいで描き終わるんですか?
えりな:私の場合は、最初キャラクター像とかのラフを描いて、こんな感じですか? って出して…実際絵を描き終わるのは物によるんですけど五時間から十時間ですかね。
竹 見:一枚ですか?
えりな:一枚です。カラー入れると結構かかっちゃうんですけど…。多分最初のほうはそのくらいで描いてたんですけど、今は若干抜きを作りながらやってるのでそんなにかかってないかもしれないです。
竹 見:なるほど。
えりな:文章がすごくしっかりしていて難しいこととか書いてらっしゃるので、何か参考にしてらっしゃるものとかあるんですか?
竹 見:辞書。
えりな:(笑)
竹 見:やっぱりわからない言葉はあまり使わないので、ここをこう書きたいと思ったとき、古い辞書が何冊もあるので一冊引いて別のも引いてをやってます。読んだ本から影響を受けたりもしますね。
えりな:なるほど。
竹 見:えりなさんは、私の原稿を読んでからイラストに取りかかるんですか?
えりな:はい、もちろん。
竹 見:あ、そうなの…ああもう…(恥ずかしがる)
えりな:(笑)最初にプロットをもらった段階でイメージはあるんですけど、原稿を全部読んでどこのシーンを抜粋しようかなと思って描きますね。
担当者:一読者さんなんですよ。
竹 見:はわわわ。
えりな:文章書くのはどれくらいかかるんですか?
竹 見:うーん…五時間とかかかりますね。
えりな:あ、そうなんですね。
竹 見:一文字書いて、ああもういいやってなる日もありますね(笑)
えりな:(笑)
竹 見:イラストが素敵すぎて、一回部屋にわああって興奮して飾ったのがあって…。
担当者:お?
竹 見:印刷してハサミで切って飾りました(笑)
えりな:え~嬉しいです(笑)
竹 見:婚約者さんが出てくる話(第二話)の表紙で、フィッツロビンとウィルが花を持ってバックに女の人が写ってるイラストあるじゃないですか。あれが、色彩がすごくて…。
えりな:あれ、確か(他の作品と)塗り方変えたやつですね。わりとすっきりと描きました。
担当者:水彩画っぽいですよね。
えりな:多分一番早くできたかと思います。
竹見氏なぜか大爆笑
担当者:何が可笑しいんですか。
竹 見:(笑)あのね、私えりなさんの絵が好きなのでいつも増田くん(あざいもの作者)と「絵を一番素敵に描いてくれてるのは俺の絵師さんだ」「いや、私だ」みたいなのをやってるんです(笑)
えりな:(笑)え~嬉しい。
担当者:張り合ってるんですね(笑)
ということで、今回の対談は無事終了! お二人ともありがとうございました。
二人のコンビによる作品はフィッツロビン以外にもありますのでぜひ見てみてください。
〈おまけ〉
えりな:フィッツロビンシリーズはもう終わっちゃったんですか?
竹 見:うぅ…やる気が出ればまた書きます…。
担当者:どういう話が希望とかありますか?(笑)
えりな:いや、そんな! 口出しできないです(笑)
竹 見:もう言ってください。話してください(懇願)
えりな もうどんな話でも読みたいです!(笑)
担当者:ありがたいですね。
竹 見:はいぃぃ。
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『フィッツロビン対談』
担当編集:木村
編集・日本大学芸術学部文芸学科所属 出版サークルKMIT