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パリ栄養サミットに向けた動き
前回の「パリ栄養サミットの関連ページ」の記事に続き、今回はパリ栄養サミットに関するこれまでの動きを、そのサイドイベントを含め、追っていきましょう。
2025年3月27日(木)と28日(金)に開催されるパリ栄養サミットには、約300名の参加が見込まれています。すでに民間セクターからは4社の参加がフランス政府より公式に認められ、そのうち2社がアフリカの企業です。開催前日の3月26日(水)には、「ビジネスと栄養」に関するサイドイベントが、パリ平和フォーラム、ATNi(Access to Nutrition Initiative)、GAIN(Global Alliance for Improved Nutrition)により共催される予定です。
2021年12月に実施された前回の東京栄養サミットでは、「健康」、「食」、「強靭性」、「説明責任」、「財源」が主なテーマとして扱われました。今回のパリ栄養サミットでは、大きく分けて、「栄養とジェンダー平等」、「気候変動と持続可能なフードシステム」、「栄養、健康及び社会的保護」、「栄養及び危機(紛争、脆弱性)に対する強靭性」、「栄養、データ、イノベーション、AI」、「栄養、資金調達、説明責任」の6つがテーマとして扱われる予定です(下図を参照)。
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東京からパリへ、基本的なテーマは引き継がれていますが、赤字で示したテーマ(ジェンダー平等、気候変動、社会的保護、イノベーションとAI)がパリでは加わりました。このnote記事で、世界食料デー以降これまで「気候変動と持続可能な食料システム」をテーマに投稿してきたのは、このパリ栄養サミットでのテーマ設定を受けてのことです。
パリ栄養サミット全体については、2024年9月の国連総会を起点に議論が進んできました。特に、民間セクターサイドイベントに焦点を合わせた会議としては、11月と12月にパリで2回開催されています。11月の会議では「民間セクターがどのようにパリ栄養サミットに関与することができるのか」を中心に議論がなされ、GAIN、ATNi、SBN(SUN Business Network)などから40名以上が参加しました。この会議では、12月の会議へ議論をつなげるため、栄養改善というテーマはある特定の部分に焦点を当てるのではなく、一連のフードシステムの中で考えられるべきであると提案されました。また、各ステークホルダーの間での信頼と連携が欠如している点が課題という声も上がりました。
翌12月に開催された「マルチステークホルダー円卓会議」には、パリ平和フォーラム、ATNi、GAINが民間セクター、各国政府、市民社会、国際機関を集め、100名以上が参加しました。同円卓会議では、「民間セクターが栄養不良と闘うための努力を加速させなければならない主な行動分野」に議論の焦点が置かれ、「パリ栄養サミットにおける民間セクターの貢献」のほか、栄養サミット実施後の継続性の確保についても議論がなされました。
なお、パリ栄養サミットのコミットメントガイド(英語)が公式サイトより公開されました。Vision and Roadmapとあわせて、ご覧ください。
N4G Paris Commitment Guide(英語版PDFファイルリンク)
Synthèse Évaluation de l’instrument d’Aide alimentaire programmée
Vision and Roadmap
N4G Paris Vision and Roadmap | Scaling Up Nutrition
上記リンクにあるコミットメントガイドによると、
2025年2月28日までにコミットメントを登録すれば、栄養サミット前に内容を審査されます。(栄養サミットのコミットメントを登録するためには、参加原則を遵守することが必要です)
栄養サミット2日目の3月28日までにコミットメントを登録し、要件を満たせば「パリN4Gコンパクト」(サミット成果文書)の付録に掲載される可能性があります。
サミット後も、世界栄養報告書(GNR)が設定する締切までコミットメントは登録可能ですが、サミットの成果には含まれません。
これを機に、皆さまの組織でも、パリ栄養サミットでのコミットメント登録、表明をご検討してはいかがでしょうか。