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道行

「道行」とは、出発地から、目的地に到着するまでの道程を、文学的に綴(つづ)った文章のことを言うそうだ。

以下、近松門左衛門『曽根崎心中』の道行である。

この世の名残 夜も名残
死にに行く身を例うれば
あだしが原の道の霜
一足ずつに消えてゆく
夢の夢こそ哀れなれ
あれ 数うれば暁の
七つの時が六つ鳴りて
残るひとつが今生の
鐘のひびきの聞き納め
寂滅為楽と響くなり

名文の誉れ高い道行の冒頭であるが、ほんとうに言葉に淀みがなく、リズムが素晴らしい。

なまの文楽で一度ぜひ味わってみたいものだ。

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ぴんぱ
人の世に熱あれ、人間(じんかん)に光りあれ。