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【デザイナーノートvol.11】XXX°-人日
皆様こんにちは!
二十四節気少女のNFT作品制作担当KOMAです。
このnoteではKOMAが不定期にキャラクターデザインや作品へのこだわりなどの情報をお伝えしていきます。
今回は二十四節気少女スピンオフ作品「XXX°-人日」について、OpenSeaのDescription内で表現しきれなかったキャラクターの詳細設定や意匠を紹介します!
1.作品解説
![](https://assets.st-note.com/img/1675452274452-bkIPWMK1SL.png?width=1200)
人日と聞くとあまり馴染みがないかもしれませんが、春の七草や七草粥については聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
コンセプトを紹介するにあたり、今回は七草粥の起源について少し触れていきたいと思います。
唐の楚国に、大しうというたいへん親孝行な者がいました。
彼の両親はすでに百歳を越しており、腰が曲がり、目も見えず、耳も聞こえない状態です。
両親が老いた体であることを嘆き悲しんだ大しうは、山に入って21日間もの苦行をやり遂げ、神様に祈願しました。
「私に老いを移してもいいので、どうか両親を若返らせてください。」
これに感動した天上の帝釈天から、大しうにこう告げました。
「そなたの願いを聞き入れた。須弥山の南に齢八千年の白鵞鳥がいるが、この白鵞鳥は毎年春の初めに、七種の草を集めて食しているため長生をしているのだ。
その長生の秘術をそなた達親子に授けよう。」
この長生の秘術こそが七草粥だったのです。
さらに七草草子によると、
1月6日までに予め春の七草を集めておき、
酉の刻(17時頃)に芹(せり)を
戌の刻(19時頃)に薺(なずな)を
亥の刻(21時頃)に御形(ごぎょう)を
子の刻(23時頃)に田平子(はこべら)を
丑の刻(日付が変わって1時頃)に仏座(ほとけのざ)を
寅の刻(3時頃)に菘(すずな)を
卯の刻(5時頃)に清白(すずしろ)を
それぞれ柳で作った器に載せ、玉椿の枝で叩くこと。
そして辰の刻(朝7時頃)からこれらを合わせ、東から清水を汲んできて、煮沸して食べることで長生きができるとされています。
これを読んでお気付きの方もいるかもしれませんが、なんとこの七草粥を作るのに12時間以上かけています。
よほどの執念がないと困難であるように感じますが、好きな事や楽しい事をしているときも時間を忘れていつまでも続けていられるもので、「好き」や「楽しい」の原動力は絶大なものだと考えています。
辛く苦しいことがあったときも「絵を描くのが好き、楽しい」という思いに私は何度も支えられてきています。
本作品を描いている時、少女の表情をどうしようか最後まで悩んでいたのですが、新年一発目の作品に「絵を描くことが好き、楽しいという気持ちを忘れたくない」という思いを込めたかったので、楽しそうに口をあけて笑っている表情にしました。
上記の背景から「冬の朝7時頃、朝日が差し込むものの少し薄暗く冷えている部屋の中で、時間を忘れて楽しそうに薬草を調合している」という状況を絵で表現しています。
2.Description解説
「まるで魔法のようだ!」
と、遠い昔だれかが言った。
本当は魔法ではなかったのかもしれない。
しかしそれは、空想を現実にする奇跡の力そのものだった。
真実は、ただ楽しそうに薬草を調合する彼女だけが知る。
"It's like magic!"
Someone said a long time ago.
Maybe it really wasn't magic.
But it was a miraculous power, like making bread from air.
Only she, happily mixing herbs, knows the truth.
作品解説でも紹介した通りこの少女は薬草を扱うことがとても大好きで、いつも楽しそうに調合しています。
そして彼女は薬草に関する知識が豊富で、かつて「両親を若返らせてほしい」と懇願してきた人物に七草粥の作り方を教えたら、何百年もの時を経て逸話となって神様のような存在になっているものの、作り方を教えた本人は露知らず、今日も楽しそうに薬草を調合しています。
そして長生の秘術を授けた彼女自身も長生の秘術の恩恵を受け、何百年も生き続けているという設定です。
本作品のDescriptionでは、「昔の人にとっての科学とは何なのか」私なりの考えを表現しています。
私たちにとって七草粥の作り方は乱暴に言ってしまうと「食材を叩いて切って(下ごしらえして)煮沸する」というありふれたもので、七草に含まれている成分や効能も調べたらすぐに分かる、言わば理解の範疇にあるものです。
しかし科学が身近ではない昔の人にとっては、七草草子にも「長生の秘術」と称されているように、口にしたら何故か身体が健康になる魔法のように感じたのではないでしょうか。
そのような考えから、作品のタイトルも「It’s like magic(まるで魔法のように)」としています。
「まるで魔法のような科学」をここで一つ紹介したいと思います。
皆様はハーバー・ボッシュ法をご存じでしょうか。
ハーバー・ボッシュ法とはアンモニアの製造法ですが、これは今を生きる私たちに絶大な影響を与えています。
パンの原料である小麦を始めとして、農作物を育てるには窒素・リン・カリウムの肥料の三要素が必要とされていますが、かつては気体である窒素を土地に固定させるために天候(稲妻)に頼っていました。聞いただけで不安定かつ困難、作物を博打で育てているように感じます。
しかしハーバー・ボッシュ法が発見されたことで、アンモニア(窒素化合物)が溶けた水を土地に振り撒くだけで簡単に、そして確実に窒素を土地に固定できるようになったのです。
これにより人類は大量の窒素肥料を手に入れ、今日に至るまで高い食料生産を維持することができています。
このことからハーバー・ボッシュ法は「空気からパンを作る方法」と称されており、Descriptionの「空想を現実にする」を「making bread from air」と訳しました。
これは化学を生業としているkofynのアイデアです。
3. 終わりに
デザイナーノート vol.11はいかがでしたでしょうか?
作品の公開にあたり、まずは私の思いを、考え方を知ってもらいたいという思いから、今回は初めて私の考え方を前面に出した内容となっております。
デザインやモチーフの解説は後日追記予定ですので、追記後に再度ご覧いただけますと幸いです。
ここまで読んでくださりありがとうございました!