化粧品原料の由来
先日、ポテトチップスでおなじみのカルビーから、この様なリリースが出ていました。
2013年にジャガイモの皮に「ポテトセラミド」が含まれることを発見したそうで、その後の研究の成果がこちらのリリースになる様です。捨ててしまうジャガイモの皮が、この様に有効利用できるのは面白いですね。
化粧品原料の由来
私は化粧品メーカーに勤務していた頃には、化粧品原料の検査業務に携わっており、原料の由来に関する資料を目にする機会も非常に多くありました。それまで、化粧品の原料が何からできているか、考えたことはありませんでした。業界に入ってから知った印象的なことの一つです。
そこで、今回は化粧品原料が何からできているのかについて書きます。化粧品の原料はたくさんありますが、その中から、代表的な成分である、ヒアルロン酸、コラーゲン、セラミドを取り上げます。
ヒアルロン酸は何から作られるか?
ヒアルロン酸は人間の皮膚にも存在する、代表的な保湿成分です。が、さすがに人体から取ってくるわけにはいきません。まず、人道的、倫理的な観点をはじめ、さまざまな問題があります。
そこで考えられたのが、他の生物から取ってくる方法です。よく用いられるのが、ニワトリのとさか(鶏冠)から抽出する方法です。鶏冠を加熱、細断し、抽出します。
近年はもう一つの製法は、乳酸球菌を発行させて、ヒアルロン酸を産生させる方法です。こちらは大量生産に向いているため、現在はこちらの製法が主流です。
化粧品には多くの場合、「ヒアルロン酸Na」の名称で配合されていますが、鶏冠由来なのか、発酵由来なのか、区別はできません。しかし、医薬部外品になると、由来によって成分名が異なります。「ヒアルロン酸ナトリウム(1)」「ヒアルロン酸ナトリウム(3)」の名称であれば鶏冠由来、「ヒアルロン酸ナトリウム(2)」であれば発酵由来と決まっており、区別ができます。
コラーゲンは何から作られるか?
コラーゲンは日本化粧品工業連合会が下記の様に定義しています。
まさに、ここに書かれている通り、さまざまな動物の組織から抽出された物が用いられています。以前は牛由来の物が使われていましたが、BSEの件を機に、現在は使われなくなっています。
近年は豚や鶏などの他、魚由来のコラーゲンも用いられています。魚の皮や鱗から抽出され、マリンコラーゲンや海洋性コラーゲンの名前で呼ばれることもあります。魚の種類もさまざまで、マグロやサメ、シタビラメやフグなども用いられます。
セラミドは何から作られるか?
セラミドと名の付くものはいろいろ出回っていますが、実はヒトの体内にあるセラミドと似ていても、異なる物質もあります。そのため、ここでは区別して考えます。化粧品でよく用いられる、ヒトの体内にある物と同じセラミド(以下、ヒト型セラミド)は、主に酵母を用いて作られています。
先ほど書いた、ヒト型セラミドと似た物質も、幅広く利用されています。冒頭のポテトセラミドなど、植物由来の物の他、馬などの動物由来の物も用いられます。また、工業的に合成された物も一部のメーカーで用いられています。セラミドに類似した物質は、非常に幅広い物から作られているので、これらについては、別の機会にご紹介します。
原料の由来を調べると、こんな物から作られているのかと驚くこともあります。また、冒頭のポテトセラミドもそうですが、元々捨てていたものを有効活用するというケースも見られます。少しマニアックな視点ではありますが、調べ始めると興味深いことも多いです。
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