[LTspice]雷サージ試験対策回路について④
こんにちは。
お仕事の都合などで電気回路の設計などをしているため、空いた時間にいろいろ回路について考えることが多いです。
今回は雷サージ試験の対策回路の中のダイナミック抵抗とコンデンサの容量の関係についてLTspiceでシミュレーションしたので、その内容を個人的なメモとして書いておきます。
以前の記事では、雷サージ対策としてMOSFETを使った電源スイッチを使用した効果ついて確認しました。
今回は入力フィルタ部分の抵抗やコンデンサの容量を変化させてピーク電圧がどの程度になるか確認しました。
シミュレーションした回路と結果は以下のようになります。
シミュレーションにあたって抵抗、コンデンサをそれぞれ9個準備しました。このパラメータは単体で使用した場合のピーク電圧を基準に選んでいます。例えば3.8Ω抵抗のみプルダウンした場合、voutのピーク電圧が300Vになることを示しています。初期電圧が0.001Vとした場合のピーク電圧であることには注意してください。
これを見ると、500Vの印可電圧に対してvoutの電圧上昇を56Vにするには、0.3Ωでプルダウンするか、56uFのコンデンサで平滑するかどちらかが必要ということが分かります。
実際の回路ではTVSダイオード等のダイナミック抵抗と、コンデンサと両方が実装されているため、それぞれ組合せた場合のピーク電圧も確認しました。
この結果を見ると、コンデンサを増やしてもピーク電圧があまり下がらない、または抵抗を小さくしてもピーク電圧が下がらない領域があることが分かります。灰色に塗りつぶししたのがその領域になります。
およその目安となりますが、単体で実装した場合のピーク電圧が10倍以内のパラメータであれば、並列で実装する効果がありそうです。逆に抵抗かコンデンサの片方の効果が違いすぎる組合せの場合、効果が小さい部品のパラメータを調整しても雷サージへの効果は低いと言えます。
例えば、コンデンサが340uF実装されているところにダイナミック抵抗1.3Ω以上のTVSダイオードを追加してもほぼ効果が期待できないということです。
現実の回路では、抵抗が0.05Ω以下という実装が想定しづらいことがあります。一方で雷サージによる電圧変化を10V以下にしたい、という状況があったとすると0.048ΩのTVSダイオードだけでは不十分で、30uF以上のコンデンサにより電圧変化を小さくしていく、という対応が求められるでしょう。
単体の部品だけでは費用対効果が不十分な場合があります。TVSダイオードとコンデンサを組合せて、効果的な雷サージ対策回路を設計していきたいです。