リアリティの在り処(3)

3Dスキャンフィギュアのペイントでは一定の評価をいただけているようで本当にありがたいことだと思っている。
なので、厭きる前に (笑) 現時点でどんなことを考えて、また目指して塗っているかを残しておこうと思う。

じゃあまず、3Dスキャンフィギュアの何がいいのか、よかったのか。

個人的には「自分のやりたいことに集中できるフィギュアだった」ってことだと思っている。身も蓋も無いな。
自分が所謂リアル系フィギュアの塗装でやりたいのは「そこにその人がいるように見える」ことなんだけれど。

3Dスキャンフィギュアの強みのひとつは造形が極めて実物に近い (近づけられる) っていうこと。何度か模型誌でも書かせて貰ったので繰り返しになるが、自分には「実物の再現度」が高い造形であることが重要だった。

そもそもフィギュアのペイントって何のためにするの?って考えた時、色が塗ってあるほうが本物っぽいから…じゃないかなあ、自分の場合はね。
模型を塗るっていうのは欠落している情報を取り戻すものだと考えていて、それは色もそうだし、光沢とか汚れとか、まあ色々。
プラモデルの場合は金型の都合なんかもあって造形に盛り込めない表面の情報も多くなるんだけど(この辺でシリコン型を使ったウレタン樹脂製品や素材が柔らかい塩ビが有利というのはある)それを補うもののひとつがペイントじゃないかなと。
他の方法だと金属箔とか素材自体を貼っちゃったりする。まあ、結局目的は本物らしく見せたいってことだと思う。

クドいようだけどコレは自分の場合。

さて、フィギュアの話。
フィギュアというのは「人」を模した物なので、つまりは生身の人間に見えてほしい。「人間を描いた絵」に見えたんじゃ困る。せめて「人間を撮った写真」に見えてほしい。
それには見えたそのままに塗ればいい。スーパーリアリズムの絵画よろしく、精密に写真を再現していくように (出来るかどうかは別の話) 。

この時、どうしても造形のデフォルメが問題になってきた。
アナログデジタル問わず、遍く造形は主観でデフォルメされている訳だけど、これのさじ加減というか方向性が自分の欲していたものとずれてきていたんだと思う。
これを自覚できないまま行き詰まりを感じていたのが2011年前後で、ちょうどデジタル造形が爆発的に増える直前くらいだと思う。

長くなるので以下続く。多分。


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