高杉海渡

電機メーカー⇒戦略コンサル⇒事業会社経営⇒物流人事役員。人材マネジメント理論を整理していきます。慶応法/アリゾナ州立大院MBA

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    楽に生きるために考えたこと、気づいたこと

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    自分自身やまわりのことについて考えた私的な内容です。

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    リーダーシップに関して学んだことや実践したことの記事です。

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    人事評価制度の考え方についての記事です。

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自家製MBAのすすめ

MBAを取得したい、経営学を体系的に学びたい、と思っている、やる気あるビジネスパースンは多いと思います。 立ちはだかる英語とお金と時間の問題 英語はともかくとして、費用は米国での生活費を入れて2000万近くかかります。時間も修業期間2年は必要ですが、準備期間1~3年を含めると、相当の覚悟が必要な人生の一大プロジェクトになります。 私自身は1996年から98年まで社費で留学しましたので、そういう意味ではラッキーでした。しかしそこに至るまでの準備期間は仕事での成果と社費選抜突

    • 人事としての三要件

      これからは「人事の時代」であり、成果を出し続けるには自分自身の学びやキャリアに向き合わないといけません。 (「シン・人事の大研究」中原淳・田中聡) 実際、人事の仕事内容は近年ますます高度化しており、必要とされるスキルも複雑化・多様化しています。 一方、人事として絶対に必要なマインドセットはいつの時代でも変わらないと思います。次の3つです。 1.強烈な職業的倫理観 社員の個人情報(評価や給与、健康状態、家庭事情など)を把握する立場にあるので、情報管理を徹底し、関係者以外に

      • マネジメント古典としての17条憲法

        古都巡りが好きなので、この三連休は奈良を訪れてみました。 初めての法隆寺は建築の素晴らしさに感嘆しつつ、せっかくなら聖徳太子の 功績も勉強してみようといろいろ調べてみました。 そのなかで17条憲法は官吏など行政にかかわる人たちに向けて政治の原理原則を示したものですが、日本におけるマネジメントの心を説いているものとしても非常に参考になるものだと思いました。 いまから1400年以上もまえに制定されたものですが、それゆえに日本人のかわらぬ精神的美徳の原点が感じられます。 w

        • 経験学習

          自分の市場価値を高める一つの手段として、ビジネススクールに興味はあるけれども、経済的にも時間的にも余裕がないときは「自家製MBA」なんてどうか、という記事を以前書きました。 もちろん、MBAホルダーのクレジットがつくわけではないですが、どんな 業務でも自分の学びとして捉えていくことで、前向きな気持ちになり、また、組織にもいい影響を与えることになります。 デービッドコルブ「経験学習理論」では、経験から学ぶことを以下のような流れで説明しています。 この「経験学習」を日々の業

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        自家製MBAのすすめ

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          オーセンティックリーダーシップ

          管理職は大変な時代を迎えています。 最近読んだ「罰ゲーム化する管理職」(小林祐児著)でも、いまの管理職の仕事の負担増、そして働き方改革の矢面に立たされる心理的負担についてデータとともに解説がなされており、まさに「管理職昇進=罰ゲーム」になっているようです。 実際、私の身の周りでも管理職になるのを拒否したり、降格を申し出たりする人が増えてきています。 そういう状況に反して、企業における管理職の役割はますます重要になってきています。そもそも管理職とは何かというと、労基で定められ

          オーセンティックリーダーシップ

          内発的動機付け

          「社員一人ひとりが主体的に動いて改革に取り組む」というスローガンは心地よい響きですが、では実際にどうすれば主体的になってくれるのでしょうか? ひとつは評価、昇進、報酬で動機付ける「外的報酬」が考えられます。ところが「外的報酬」で人を動かそうとすると、創造性や責任感、もっというとやりがいが欠けてしまってモチベーションも生産性も下がる傾向があります。つまり人を飴と鞭で動かすというのは難しい。そもそも主体的に動いているとは言い難い。 これとは対極的になるのが、自分の心の奥底から

          内発的動機付け

          自分を突き動かす原点を振り返ってみる

          「ピープルマネジメント強化プログラム」研修を外部講師の方にお願いしていて、現在は理論編が終わって、総集編として各マネジャーからの宣言(いままで学んだことをどう実務に生かすか)」をすすめているところ。 今回は自己効力感から組織効力感、オーセンティックリーダーシップ、経験学習といった、なんとなくワードとしては知っているが、じゃあそれって実務でどう生かすの?というところを深掘りしていく研修だった。 私自身は講師と受講者の間に入るコーディネータの役割だが、受講者が理論を学んだあと

          自分を突き動かす原点を振り返ってみる

          リーダーマインド(短期と長期)

          経営コンサル時代に先輩からよく言われていたのがタイトルにある言葉です。ビジネスマンたるもの、特に上司ともなれば、常にポジティブで明るく爽やかに、というのはよく言われる言葉ですが、実際にはそう簡単にはいきません。 そもそも悲観的な気持ちや不安な気持ちは悪いものではなく、人類にとっては生き残るために必要な感情です。 サイエンスライター鈴木祐さん(ベストセラー「最高の体調」の著者)のYouTubeで紹介されていましたが、そもそも人類は目の前のリスクに対して不安を感じるからこそ生

          リーダーマインド(短期と長期)

          人事制度改革の全体像

          経営コンサル時代に10社ほど構築支援に入り、その後事業会社2社で自社人事制度を改革してきました。いまの会社でも同じようにすすめています。 スタートアップでない限り、すでに回っている制度があるので、ゼロベースでつくりかえるというのは実際にはありえない話で、いまある制度の残すべきところ、変えるべきところを区別していくことが最初の苦労になります。 基本はやはり社員の声だと思っています。評価する立場と評価される立場それぞれに確認していかないといけませんが、そのまえに大枠で仮説を立

          人事制度改革の全体像

          定年制を考える

          ある会議で「定年延長」がアジェンダに上がりました。 議論のなかで比較的若い役員が「私は定年延長には反対です。次の世代の成長を阻害する要因になります」「そういった意味で役職定年も非常に重要です」と発言されました。 世の中の動きはどうかというと、こんな記事が出ていました。 大和ハウス、ダイキン…「50代の壁」役職定年なくす企業相次ぐ(朝日新聞デジタル) - Yahoo!ニュース パーソル総合研究所による役職定年に関する大手企業の調査結果では、 導入:46% 制度を廃止:16

          定年制を考える

          MBOの運用

          人事コンサルティング会社フォー・ノーツ社が実施した「人事制度・人事施策に関する実態調査2023」の「うまくいかなかった・失敗した人事制度」によると、 第一位:MBO(目標管理) 第二位:在宅 第三位:フレックス (以下、省略) とのこと。 ”MBO”がうまくいかない理由は、 ①目標がトップダウンで降りてくるため、自主性が生まれなかった ②どうなったら達成としての評価になるのかが明確でない ということのようです。 当社でもMBOを導入しており、私自身も人事役員として被評価対

          トータルリワード(総合的報酬)

          今年は大幅な待遇改善の年となりました。 今後は一過性ではなく、”継続的”に待遇改善が出来る企業にどんどん人が流れていくようになるでしょう。 さて働く人たちにとっては賃金だけではなく、「お金以外の報酬」も重要です。 このお金とお金以外の報酬をあわせて、トータルリワード(総合的報酬)と言い、人事部門としては全体像をキチンと把握しておかなければなりません。 一般的には、 ・金銭的報酬:給与、退職金、福利厚生、教育 ・非金銭的報酬:労働条件、働く環境、風土、会社のブランド とし

          トータルリワード(総合的報酬)

          ディープアクティング

          先日、新卒向け研修で役員講話を担当、せっかくなので彼女彼らの興味を惹きそうないくつかのトピックを選んで話をしました。 どれが印象に残ったかをアンケ―トで回答してもらったところ、圧倒的に「ディープアクティング」が多かったのに驚きました。 アンケートでは、 「私はちょっとしたことで腹を立ててしまうのですが、今日の海渡さんの話を聞いて、そういうときはディープアクティングを試してみようと思いました」 「これから上司から理不尽なことを言われることもあると思うのですが(実はすでに・・

          ディープアクティング

          人財マネジメント全体像

          新年度が始まりました。 年明けから人事チームで次年度計画を策定し始めますが、全体像がないといけないので毎年同じような概念図を示しています。 これは人事コンサルタント坪谷邦夫さんの名著「図解 人財マネジメント入門」を参考に自社にあてはめて検討したものです。 これをみると各機能に矢印が向かう「評価制度・等級格付け」がど真ん中であることが理解できます。 当チームでは「評価制度が人財マネジメントの一丁目一番地」ということを合言葉にしています。 もうひとつ矢印が向かっていく「育成」

          人財マネジメント全体像

          成長マインド

          ロミンガーの法則というのがあります。 人事コンサルティング会社のロミンガーが経営幹部の成長に対する調査を行ったところ、自らに役立った要素は、 ・70%が業務上の経験 ・20%が人間関係 ・残り10%が研修 という結果だったとのこと。 この「70:20:10」の比率がロミンガーの法則です。 このバランスは非常に大事で、どの企業でも人財育成となると研修だけをイメージしますが、実はいかに”業務のなかで成長させる”ことが大事であることがわかります。 極端に言ってしまうと、成長する

          成長マインド

          ”生存者バイアス”

          世の中には「こうして私は東大に受かった」「たった〇〇だけで億り人になった」「逆境を乗り越えてきたからこそ成功できた」というキャッチが溢れています。 もちろん役に立つ部分、参考になる部分は確実にあって、それはそれでよいことなのですが、組織でのリアルな状況では大きな問題があります。 これらはあっていることもあれば、あっていないこともあります。”その苦労があったから”ではなく、”その苦労にもかかわらず”、他の実績があって出世したのかもしれませんし、要は、ほかの要因の検証がないの

          ”生存者バイアス”