エム・エム・エス社長の”産業機械設計会社の一口メモ”
エム・エム・エス 社長の閑話休題 7月
産業機械設計会社の一口メモ
ひょっとしたら役立つかもしれない設計のノウハウをちょっと!
シリーズ第2弾
今回は梁に使用される材料に関して、強度的に効率よく使用するためのノウハウをちょっとだけ!
「梁」と言うのは、水平方向に掛けられたもので上からの荷重を柱などに伝えるためのもののことを言います。
まずは簡単な問題から
次の図の様な、物を上に載せるために棒を使っていますが、強いのはどちらでしょうか?
棒はどちらも同じものです。
(資料1)
もちろん、Aの方が強いです。
感覚的にも、経験からも理解してくれると思いますが、例えば幅2cm、板厚1cmの板の場合でしたら
縦にして使うAの場合は横にして使うBに比べて2倍の重量の物を載せることができます。
ては、次の図のように梁の幅を2倍に広げると、どれぐらい強くなると思いますか?
(資料2)
答えは2倍です。
同じような考えで、梁の高さを2倍にするとどうでしょうか?
(資料3)
なんと、答えは4倍になるのです。
ですから、強度が足りなくて梁の大きさを変えないといけない時は高さを大きくする方が効果的なのです。
今度はちょっと難しい問題です。
梁の材料で断面が台形の場合、AとBのどちらが強いと思いますか?
同じだと思いますか?
(資料4)
実はAの方が強いのです。
Bのような梁で弱いなと思う時は反対にしてAの方向にしてみてください。
少しは強くなっているはずです。
工学的に言うと、断面係数という形で表されるもので、断面二次モーメントを中立軸までの距離で割ったものが断面係数となり、中立軸の距離は曲げる方向により変わってくるからです。
難しいかもしれませんが、詳しく知りたい方は、「材料力学」の専門書をみれば計算式などが詳しく書かれていますので、参考にしてください。
次は材料の機械的性質についてです。
これまで、梁の断面形状についての強弱を書いてきましたが、素材の強度についてのノウハウです。
同じ断面の梁形状でも、例えばプラスチックの梁では壊れてしまっても鉄にすれば丈夫になって
壊れることがない・・・ことはわかりますよね!
この違いを表したものが、機械的性質と呼ばれる内容に規格化されています。
例えば、1辺が1mm四角の断面を持つ鉄、すなわち断面積1mm2(1平方ミリメートル)の鉄の棒に、約24kgで引っ張ると変形し始めます。
そして、約41kgで引っ張るとちぎれてしまいます。
これは、降伏点が24kg/mm2、引張り強さが41kg/mm2として規格化されています。
(ただし、現在はSI単位系になっていますのでニュートン単位になっています。)
この数値が高ければ強い材料ということになります。
包丁に使われるような鋼だと引張り強さは60kg/mm2以上になるものがあります。
合金鋼になると100kg/mm2以上のものまであります。
プラスチックであれば、種類によって変わりますが、ほとんどは10kg/mm2以下になります。
この他にも、材料の性質を表すものに
弾性係数、ポアソン比、靱性、衝撃吸収値などがあり、それぞれの種類で違った値を持っておりその性質を吟味して使うものを決めています。
とりあえず今回は、材料の強度及び簡単な機械的性質についてを書いてみました。
今回のちょっと一休みはここまで
次回の技術コーナーでは弾性変形と塑性変形及び、衝撃についての設計ノウハウを考えています。
乞うご期待!
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