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ベンチャー・ファンディング概説
シリコンバレーでは、時々、即席のベンチャー・ファンディング講座があった.起業経験者や財務の専門家は、同僚やホッケーのチームメイトにもいたし、隣人もスタートアップのCFOだった.それだけでなく、ベテラン技術者もベンチャー・ファンディングにかなり詳しい.何故なら、自分が持っているストック・オプションの価値に大きく影響するので.
財務の専門家による説明は概して面白くない、文字ばっかりで分かりにくい.対して、技術者による即席講座は、ホワイトボードに図やグラフを描き、ハッピーや失望を表すマンガやLikeマークで溢れ、仲間どうし、ワイワイ、ガヤガヤ、楽しい学びの場になる.何より、その場にいる起業家候補が自然にベンチャー・ファンディングの基礎知識を身につけていく.
帰国後、様々な起業家と出会い、話をする機会があった.一様に感じたのは、彼らがVCから資金調達するタイプのスタートアップ(venture-backed startups)に必要な知識・情報を得る機会が少ないということだ.
本スライドは、当初、支援している/今後、支援する起業家向けにベンチャー・ファンディングに関する基礎知識の内部共有を目的に執筆をはじめた.が、広く知識を共有することが、この社会にイノベーションのエコシステムを構築する要だという思いもある(シリコンバレー黎明期、伝説的VCのアーサー・ロックが、競合のVCにも手取り足取りノウハウを伝授した、という逸話も好きだ).正直、財務は専門外なので、他の著作と違って躊躇したが、稚拙ながら公開させて頂く.
SlideShareでスライド形式の著作、ページ数は100ページ強だが、文字数が少ないので20分程度で読破できるのではと思う.
【概要】
第1章では、創業からExitまでのファンディングの大まかな流れを説明し、続く第2章では、数値を使って会社の所有権や価値の変化をシミュレーションした.VCだけでなく、技術系の大手企業による投資にも言及した.
第3章では、ベンチャーキャピタル生態学というタイトルでVCのレベニューモデルと分類について紹介した.VCは顧客、社員と並び、重要なステークホルダーだ.VCのことを知らずにファンディングに臨むのはナンセンスだ.また、オープンイノベーションに取り組んでいる大企業にとっても、VCとの協業を考えるならば、知っておくべき知識だと思う.
第4章は、BootstrapとVenture-backedというファンディングの違いが、経営方針やマーケティングに大きな違いを生み出すことを説明した.日本政府などは世界を席巻するベンチャー企業創生を掲げているが、そのためには、Venture-backedの特徴をよく理解して、育成や評価方法を構築すべきだろう.