「世界一”ライト”なローグライト作品」を紹介したい / なぜローグライトは"ライト"と呼ばれるのか
最近、ローグライトジャンルのゲームばかりプレイしています。
仕事に追われていると腰を据えてゲームもできず、手軽に遊べるローグライトに落ち着いてしまうのだと思います。
1プレイ30分~1時間ほどで終わります。区切りがつけやすくて、プレイ時間が短い作品が多いので遊びやすいです。
とはいえ、プレイ時間が短くてもしっかり楽しめるのがローグライトの良いところで、ビルドがうまくハマったときの気持ちよさは、他ジャンルにない中毒性があります。平日に死んだ目で帰宅したあと、Steamを起動して楽しめるくらいの中毒性はあります。晩酌みたいなものです。書いてて悲しくなりましたが…。
シナリオが少なく感情が揺さぶられにくいのも、社畜さんには嬉しい所です。平日に「鑑賞モード」にハマると仕事に響きます。翌日、体調不良に起因しない吐き気に襲われます。
その点、ローグライトは、シナリオをプレイヤーに押し付けてきません。面白さがゲームシステム部分に特化していて、ゲームそのものを楽しみたいときにちょうど良いのです。
前置きが長くなりました。一言でいうと、ローグライトはプレイ時間が短いのに充実していて楽しい!です。
長編ゲームは、その数十時間のプレイのあいだ、プレイヤーが強くなりすぎないようバランス調整しなければなりません。引き伸ばしが発生してしまいます。一方、ローグライトはステータスリセットが前提です。インフレ上等。自分も敵もインチキムーブ。死んだらリセット。
ローグライトは、ゲームに欠かせないはずだったシナリオや、バランス調整のための引き伸ばしを省略し、単位時間あたりの楽しさを圧縮しています。
その楽しさの質は、ミニゲームではありません。長編ゲームから、様々な要素を引き算した”ライト”な楽しさです。楽しさを損なわないよう要素を減らしていく構造は、まるでジェンガです。一見スカスカなのに、なぜか崩れない美しさ。ローグ"ライト"と呼ばれる理由だと思います。
そうなると、どこまで引き算することができるのか、ジェンガブロックを減らせるのか、気になってきます。
ローグライトのジャンルで、極限まで要素を引き算した作品はなにか?
「世界で一番”ライト”なローグライト」はなんなのか?
今までプレイしたローグライト作品のなかから紹介してみます。
●幸運の大家様
シンプルなローグライトの名作といえば『幸運の大家様』です。
プレイヤーの行動は「スロットを回すこと」「スロットの絵柄やアイテムを選ぶこと」だけ。お金を稼ぎ、強制的に徴収される「家賃」を払いながら生き延びるゲームです。
完全な運ゲーではありません。「選んだ絵柄を自由に消せない」ことが、ローグライト特有の駆け引きを生んでいます。今は強いけど、終盤邪魔になる絵柄を取るのか。最終盤を見据えて、シナジーのある弱い絵柄を狙い、ゲームオーバーギリギリでしのぐのか。スロットを回すだけなのに、頭で色々考え、作戦を立てています。
『幸運の大家様』に難しい操作はありません。スロットのリールを回すだけです。このゲームの面白さは、メカニクスの上達ではなく、知識や戦略でゲームの勝率をあげることにあります。ローグライトの面白さの部分です。
ここで本題に戻りましょう。
ローグライトの面白さの本質が「知識や戦略でゲームの勝率をあげること」だとすれば、どこまでライトにできるのか。
『幸運の大家様』は、ローグライトからあらゆる要素を引き算し、「アイテム選択」と最小限の要素だけで、その面白さが成立することを示してしまいました。
非常にシンプルながら、ローグライトジャンルに属し、骨太の面白さを持つ理由だと思います。
●Arrow a row
ローグライトとアクションの相性はとても良いです。Vampire SurvivorsやDead Cells のような名作があり、いくつものフォロワー作品が生まれてきました。こうしたゲームの魅力、プレイヤーの操作技術が向上して得られる面白さ(=メカニクス要素)は、『幸運の大家様』にはありませんでした。
では、メカニクス要素を極限までライトにすればどうなるのか。
『Arrow a row』で操作できるのは、左右移動だけです。インベーダーゲームのようにy軸移動のないシューティング。この作品では弾が自動発射なので、インベーダーゲームより操作がシンプルです。
自機を左右移動させるだけなのに、なぜ面白いのか。
本作は、前に進み続けるキャラクターを左右に動かし、パワーアップアイテムを入手して強くなっていきます。アイテムは2つ並んでいて、通り過ぎるまでにどちらかを選択しなければいけません。
つまり、ローグライトの「ビルドを考える時間」に、時間の制約があるということです。制限時間内にビルド方針を考え、選択しなければならない。これはプレイヤーの思考速度を要求します。
ローグライト要素とアクションゲームの足し算ではありません。
ローグライトの「アイテム選択を考える時間」を引き算することで、ローグライトジャンルの本質部分にアクション要素を取り込んでいるのです。
そして、「素早く状況判断し、操作に反映する」というメカニクスをシンプルにしたとき、左右操作ボタンとキャラクターのX軸上の位置関係だけで十分ではないのかという試み。それが成功した作品だと思います。
●まとめ
なぜ、ローグ”ライト”のジャンル名で呼ばれるのか。
それはローグライトの面白さは「引き算」から成り立っているからではないか、というお話でした。語感だけで言っているところもありますが。
そして、ローグライトの面白さは「引き算」であるがゆえに、様々なジャンルと掛け合わせる余地があります。
最近だと「ポーカー」や、「サッカー」と組み合わせたり…。
今後もどんな作品が生まれてくるか、期待が高まります。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?