米国でのmRNA型生物製剤の副作用の治療に手こずり、日本での治療に望みを託して2ヶ月ほど帰国した。 去年の春と様相が激変したのは、外国人観光客が溢れることだった。 インフレーションでも物は枯渇せず、公共交通機関は正確で、宅配便は外箱に傷ひとつなく届く日本はそのままだ。 程なくして、自分もご挨拶に何度もお辞儀をしたり会話中に頻繁に相槌を打っていた。 桜の色は日本の色だ。 晴れてなお、薄墨のかかったような空の色に映える。 こんなにも麗しい国を自国政府が破壊しにかかっているの
パンデミック、戦争、ハイパーインフレーション。 生きていていいことなど一つもない、こんな世の中は見たくないと暗澹たる気持ちだった。 各国がグローバリズムに汚染され、日々その勢力が右肩上がりになっている。 悪は天の制裁を受け、最終的には正義が勝つ、というのは絵空事のようにしか思えない。 日本はまだいい。 とりあえず、表面だけは取り繕う。汚いものに蓋、ということだけはしているようだから。 アメリカは違う。 腐敗が露見し、見ないで済むということができない。 春に日本へ帰り、アメ
まずい。 かなりまずい。 覚悟はしていたものの、想像以上だ。 屋外でのマスク率99% 至るところにプラスティックパーテーションとアルコール消毒液 検温 入り口と出口で人流を分割する商業施設 2ヶ月余りの帰国で多少は慣れるかと思ったが、慣れなかった。 閉所恐怖症に加え、相変わらず混んでいる都営地下鉄の中、私は酸欠状態に陥る。 これが一番きつかった。 どこかで目にした一文が頭をよぎった。 お上に言われた通りにしていれば、安心ですか? この2年、決断力に欠ける政府と無能な医
パンデミックがエンデミックに移行しつつあるタイミングを狙ったかのように戦争が始まった。 世の中は平等ではない。 その不文律を、「多様性」「クリーンエナジー」等々といった衣をかぶったグローバリズムが、相手が好むと好まざるにも関わらず、あの手この手を使って「統一化」しようとする。 それは世の為人の為などではなく、巨大ビジネスに他ならない。 物欲支配欲といった人間の底なしの欲が露呈しているように感じる。 この種の腐敗は何も今に始まった事ではない、と言う意見もあると思う。 昔と
オミクロンが流行し、重症化しにくく危険性が希薄なウイルスが、自然の抗体を作り出してくれる福音とも言える状態なのにも関わらず、日本政府は飽きもせず人々の生活を抑制するような方向に舵を切った。 今まで何を学んできたのか。 あらゆるデータを読み、その都度的確な判断をする有能なアドバイザーが皆無なのではとしか思えない。 日本国民は教育水準が高く、礼儀正しいので、このような状況に置かれても暴動などは起こさない。 「耐え難きを耐え、忍び難きを忍ぶ」メンタリティは、令和の世になっても日本
日本を離れて暮らすようになって20年になる。 日本は清潔で秩序正しく、安全で美しい国であり、私は日本人として生まれて幸運だった。 常に日本の航空会社を選ぶのも、チケット購入手続きから機体を離れるまで日本の静謐さを感じていたいからである。 日本ほど物事がきちんと進む国はないように思う。私にとって、それはほぼ非現実的であり、精神衛生上掛け替えのない、ありがたいことなのである。 その一方で私が不安に感じているのは、日本人の幼児性と言ってしまうのが憚れるならば、成熟するということ