クラウドファンディングのページを読んでみる
(前提)
「「ことばのこてん」というアトラクション」というイベントがあります。
クラウドファンディングのページによると2017年10月から10ヶ月の間に東京で14回開催されました。
9月2日(大阪)、9月4日(名古屋)の開催をリターンに含めたクラウドファンディングの募集を8月12日より開始、8月26日に100%越にて成立しました。
【ことば好きにはたまらない】ことばをテーマにしたアトラクションを全国に届けたい!
https://camp-fire.jp/projects/view/86606
(話題になったきっかけ)
8月20日の夜中、21日になったあたりで、短歌が許諾なしに利用されているのではないか?というのがtwitter上で話題になりました。
ネット上でのイベント告知ブログ、イベントレポート、twitter、Instagram、Facebook、チケット仲介サイト等で許諾なしの利用みならず、作者名未記載、作者名とりちがえ、作品の改変があったことから炎上(当該ページは削除済)。
※イベント時&使用冊子には作者名、出典は明示してあったとの説明が後日ありました。
twitter上の動きは下記にまとめました。
「「ことばのこてん」というアトラクション」問題反応まとめ
https://togetter.com/li/1258779
この「ことばのこてん」の「クラウドファンディングのページを読んでみる」というのがこの文章の趣旨です。現時点(8月29日23時すぎ)で公開されている情報のみを扱います。
(リターン内容)
リターンは8種類あります。そのうちパトロンがついているものについて見てみましょう。くわしくはCAMPFIREのプロジェクトサイトをご覧ください。
https://camp-fire.jp/projects/view/86606
【特製冊子「ベストことば冊子」】(3,000円) パトロン:49人 お届け予定:2018年11月
【すべて話します】(3,000円) パトロン:8人 お届け予定:2018年10月
【チケット】(大阪開催分、支援者限定の交流会込み)(3,000円) パトロン:10人 お届け予定:2018年09月
【チケット】(名古屋開催分、支援者限定の交流会込み)(3,000円) パトロン:3人 お届け予定:2018年09月
【はじまりの1冊】(「着想のキッカケになった1冊の本を代表(高橋)の「しるし、書き込み」付きでプレゼント」とのこと) (4,000円) パトロン:12人 お届け予定:2018年11月
こちらの5つです。
パトロン数で見ると、特製小冊子プレゼントが49で1番多いです。「はじまりの1冊」は12。こちらの2つは、イベントではなく冊子や本といったモノがリターンになっています。
金額としては「はじまりの1冊」が4,000円。その他3,000円です。82のパトロンのうち、70が3,000円のリターンを選択しています(82は延べ数で1名で2件のリターンを選択した場合だったら2でカウントされます)。
今回のプロジェクトの目標であった大阪、名古屋のイベントへの直接支援は合計で13(香川は延期とありますが、元からこのプロジェクトのリターンに含まれていません)。プロジェクトの目標からするとさみしい件数のような気もしますが、金額達成のためには仕方のないことなのかもしれません。
イベント開催そのものに対する支援という意味では「すべて話します」8件も入れてもいいのかもしれません。
パトロンのついていない3つのリターンは15,000円、60,000円、100,000円とそれなりのお値段。団体もしくは企業を想定したリターンです。
このプロジェクトは、比較的低料金の、個人を想定したリターンにのみパトロンがついていることがわかります。
以上を踏まえて読んでいくと「資金の使いみち」の部分が不明瞭なところであることがわかります。twitter上でも軽く指摘しました)。このプロジェクトページ、たびたびの書き換えを行われていますのでこの部分のスクショを貼ります。
目標金額は25万円でした。
「資金の使いみち」によるとその内訳は、「移動費10万円」「滞在費(2週間分)8万円」「会場費3万円」「CAMPFIRE手数料4.25万円」の4つです。
合計252,500円。
まず、9月2日と9月4日の2回開催で「滞在費(2週間分):80,000円」っていうのが疑問です。なぜ2週間分? リターン外の延期になった香川開催(8月28日)を含めたとしても2週間はありません。
プロジェクトの目標からして遠方開催のためのコストに費やされるのは仕方のないことなのですが、最大の支援元である特製小冊子の費用はどこから出るのでしょう? 「特製小冊子」と「はじまりの1冊」の送料は?
49部の小冊子を作製する費用、61冊の送料ともなればそれなりにかかるはずですから、計上してもよいのではないかと思います。
おそらく遠征費として計上されている部分から出すのでしょうが、じゃあマイナスになった遠征経費はどうやって補填するの? となる。使途内訳がかなり疑問です。
また、26日の終了時点で100%超の275,000円集めています。「資金の使いみち」より22,500円多いです。この部分の説明は必要かと思います。
予想より特製小冊子が多かったから変更するーみたいな説明とあわせて「資金の使いみち」修正の活動報告が必要と思います。
小冊子リターンの支援者が1番数の多いのですから、しっかり予算をとってそれなりの内容・体裁のものにするということであれば充分理解は得られると思います。
(82件のパトロン)
CAMPFIREは登録した人しかパトロンになれない仕組みです。そしてサイトにて誰がパトロンになったのかわかる仕組みになっています。
もちろん表示されている名前・属性は匿名です(一部実名っぽい方もおられます)。それでも多少は読み取れますので読んでみます。
まず日にち別パトロン数。
8月12日 30
8月13日 24
8月14日 09
8月15日 04
8月16日 04
8月17日 02
8月18日 04
8月19日 01
8月20日 01
8月21日 01
8月22日 02
8月23日 00
8月24日 00
8月25日 00
8月26日 02
代表のtweetにもありましたとおり、開始2日(12日、13日)で54のパトロンがついています。
https://twitter.com/ketoka3/status/1029195332444282880
14日になると9とだいぶ少なくなります。その後、0の日もありながら、4以下で推移し、最終日(26日)には82のパトロンを獲得します。
こういうのはスタートダッシュが大事とはよく言われますが、募集期間の14日間が4日目以降の数で推移していたらおそらく成立しなかったので、最初の2日で2/3超えるくらいの勢いがないといけないのかもしれません。
次にパトロンからのメッセージを見ましょう。
たくさんある「応援しています!頑張ってください!」というのがCAMPFIREのデフォルトの文言です。メッセージをいじらずに支援するとこれが表示されることになります。空白の方はこれを消しているものと思われます。
82のうちデフォルト外のメッセージが52。うち2件は空白です。
52あるオリジナルメッセージのうち38が開始2日(12日、13日)のうちに書き込まれたものです。
また、パトロンの支援数が「1件のパトロンです」という方はこのプロジェクトのためにCAMPFIREに加入されたということです。
82件中「1件のパトロンです」は52です。
開始2日(12日、13日)の54のうち「1件のパトロンです」は31、それ以降(14~26日)28のうちだと「1件のパトロンです」は21。
後半のほうが「1件のパトロンです」の率がやや高いけれど母数が少ないので単純に比較はできないかもしれません。
(読み取ってわかること)
デフォルト外のメッセージの方は知り合いもしくはプロジェクトの説明を読んで賛同した方がほとんどのようです。開始2日のデフォルト外のメッセージの多さ、「1件のパトロンです」や個人のパトロンの多さからしても資金調達のために必要なのは人脈?という結論になりそうです。
この文章を書き始めたときは「炎上は商売になるか?」という興味もあったのですが、21日~26日のパトロンが計5であることを考えると炎上はそんなに意味ないようです。
「パトロンへの満了御礼メッセージはないのか?」「資金の使いみち」「著作者okをクリアした特製小冊子は本当にできるのか?」等疑問はつきませんが、現時点でわかることはここまでとして終了します。
このプロジェクトは11月まで続きます。今後の活動報告を待っています。
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クラウドファンディングのページを読んでみる 2
https://note.mu/klage/n/nad9ca2a35e4f