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Tony Jay来日直前インタビュー

KKV Neighborhood #223 Interview - 2024.7.11
Tony Jay インタビュー by 与田太郎

Tony Jay Japan Tour 2024

トニー・ジェイとは、エイプリルマガジンの元ドラマーで、現在はフラワータウン、シンディ、サッド・アイド・ビートニクスのメンバーであるサンフランシスコ出身のマイケル・ラモスのソロ・プロジェクトである。トニー・ジェイは2006年にレコーディングを開始し、2017年にライブバンドを加え、多くのデジタルEP、数枚のカセット、2枚のレコードをリリースしている。今回のソロ・ツアーは、トニー・ジェイとして初のジャパン・ツアーとなる。

トニー・ジェイの音楽は、繊細な観察と軽妙なウィットが特徴だ。彼の歌詞は希望に満ちながらも突然喪失感を感じてしまうような感情の起伏を表現している。そこには、心痛、孤独、憧れ、日々の様々な表情の内面と外面が交差している。しかし、ただ流されるのではなく、ダウンな感情に支配されそうな中あっても前進しようとする意志が確かにある。コロナ禍のあいだに世界中が体験した、外へ出られるかどうか不安な日々。その不安を知ってしまった私たちにとって理想的な音楽なのではないだろうか。

さて、そんな彼が8月に来日する。来日の噂は今年の2月にBandcampでリリースされた新作『2023』が静かに話題になっていた頃に人伝に聞いていた。なんと、それからすぐにレーベルのアドレスに本人から”日本にいくのでライブを企画してくれないか”と連絡がきた。そこには"もし可能ならCAR10と一緒にできたら嬉しい”と書いてあった。彼の音楽性から考えるとPervencheやsugar plant、Penny ArcadeというリクエストがありそうなものだがCAR10を指名してくるところに、もしかしたら何か通じ合えるものがあるかもしれないと思い、彼のツアーの1日を引き受けることにした。残念ながら平日ということもありCAR10の出演は叶わなかったが、8月30日に下北沢LIVE HAUSにてsugar plantとHazy Sour Cherryを迎えて行うことになった。

彼の音楽を聴いてもらえればわかるようにNick DrakeやJudee SillのようなシンガーソングライターにGalaxie 500やThe Pastelsのようなインディー感をプラスしたような独特の雰囲気がある。たぶん宅録であろうサウンドはとてもパーソナルな空気を出していて、先日配信となったPervencheのMasato Saitoのソロ『Fragment ob Tomorrow』と共通の響きがあった。

とはいえTony Jayはかなり謎めいた存在なので、簡単なメールインタビューをした。来日公演を楽しみしているみなさんの参考になれば幸いだ。

Tony Jay

ートニー・ジェイというプロジェクト名はよく知られた俳優の名前ですが、何か関係があるのですか?

俳優の名前を知ったのは、プロジェクト名を決めた数年後だったんだ。レコーディングを始めた2004年頃、自分の曲を他の人と共有するのが恥ずかしくて、友達がiTunesで自分の曲をクリックするのが嫌だったんだ。それでも2012年に他のバンドのために書いていた曲のデモを整理するためにBandcampにアカウントを作って、2017年にはトニー・ジェイとして初めてライブをやることができた。

ー子供の頃の音楽との出会いについて教えてください。楽器を始めたきっかけはどんなことでした?

僕はサンフランシスコで育った。ここに住むのに今のようにすごくお金がかかるようになる前は、家族であちこち引っ越したんだ。いろいろな地域に住めたのは幸運だったと思う。両親は子供の頃、ビートルズ、トッド・ラングレン、シン・リジィなど、その時代の音楽をたくさん聴かせてくれた。9歳頃にはMTVに出会って、グリーン・デイ、スマッシング・パンプキンズ、ナイン・インチ・ネイルズといったグループのミュージックビデオに夢中になったんだ。10歳の時に両親がガレージセールでアコースティック・ギターを買ってくれたのが楽器を始めるきっかけで、父は若い頃バンドで演奏していたから演奏の基礎を教えてくれた。同じような音楽の趣味を持つ友達に出会ったのは高校に入ってからだった(その頃、僕はクラスやコンフリクトのようなアナーコ・パンクをたくさん聴いていた)。それからバンドで演奏することで僕が今知っている音楽についての多くのことを学んだんだ。

ーこれは自分のための音楽だ、と思った最初の音楽は何でしたか?

最初にそう感じた音楽の記憶は、父と一緒にトッド・ラングレンを聴いていたときだった。彼の初期の音楽はとてもキャッチーで、完璧に完成されていて、一瞬で恋に落ちたよ。トッドがほとんどひとりでレコーディングしていると知ったときは、圧倒された。楽器を持つ前、演奏の仕方を知る前から、自分のアルバムをレコーディングしたいと強く思っていたのを覚えているよ!それともうひとつ、僕はずっと60年代のガールズ・グループが大好きなんだ。彼女たちの音楽の多くは、僕を簡単に泣かせてくれるんだ。

ー2017年にトニー・ジェイのアルバムが出る前に活動していたシーンやコミュニティについて教えてください。そこではどんな音楽をプレイしていましたか?他にどんなバンドがいましたか?

ベイエリアは地理的にかなり小さく、とても才能のある人たちでいっぱいなんだ。ほとんど毎晩、たくさんのショーの中から選べるという点で、地方に比べてとても恵まれている。ベイエリアで音楽をやっている人たちは一般的にとてもフレンドリーで、地元のコミュニティに貢献することに興味を持っている。多くのバンドはメンバーを共有し、ライヴではいつも機材を共有している。だから大きな音楽コミュニティーの中にも小さなシーンがたくさんあって、様々な種類の音楽を演奏する人たちと知り合えたのは幸運だった。2017年以前は、僕がいたバンドはいろんなジャンルの混ざったイベントでライヴをすることが多かった。それは楽しくて興味深いものだったけれど、僕が当時ハマっていたバンド(裸のラリーズやジーザス・アンド・メリーチェインなんだけど)と音楽的に心地よくフィットしていると感じ始めたのは、(April Magazineとなった)Teenage Chainで活動し始めてからだった。

ーこれまでに参加したバンドについて教えてください。

もう20年以上バンドをやっていて、あちこちで演奏している。以下はそのリストなんだけど、忘れているバンドもあるかも。
• The Startfish (2004 - 2006) - indie rock like The Shins, The Unicorns
• Grandma’s Boyfriend (2009 - 2015) - punk power pop like The Exploding Hearts
• Mumble Mumble (2012 - 2013) - indie rock like Pavement
• 555 (2012) - punk, like 50 Million
• The Cherries (2015 - 2017) - rock, like Teenage Fanclub, Hickey
• Jer Bear (2016) - rock, like Neil Young, Brian Jonestown Massacre
• Adam Healton & The Situation - experimental pop
• Teenage Chain (2017) - shoegaze, pop
• April Magazine (2017 - 2021) - pop, like Les Rallizes de Nudes, JAMC
• Al Harper (2017 - 2021) - rock, pop, like Linda Ronstandt, The Pretenders
• Flowertown (current)
• Cindy (semi current) - new EP on Tough Love Records soon !
• Sad Eyed Beatniks (current) - new album on Meritorio Records soon !
僕の20年にわたる活動をまとめたコンピレーション

ーあなたは日本に来たことがあるんですよね?来日した理由は?また、その時日本で見たバンドで印象に残っているものはありますか?

子供の頃は日本のアニメ(ドラゴンボール)が大好きだったよ。10代の頃は日本のホラー映画(『リング』、『仄暗い水の底から』、『スウィートホーム』)が大好きで。音楽を始めてから、日本の音楽に興味を持つようになったんだ。2010年と2013年にはGrandma's Boyfriendと、2019年にはApril Magazineと日本でツアーをしたんだ。そのたびに、信じられないほど楽しく、寛大でホスピタリティ溢れる人々に出会い、素晴らしいバンドと共演し、大好きな場所を訪れることができてとても幸運だった。最初のときは、MySpaceやブログで見つけたバンドに声をかけた。僕らは日本語が話せないにもかかわらず、とても素晴らしい時間を過ごすことができたし、少年ナイフの直子さんにも会うことができた!訪れるたびに、自分ひとりでは見つけられないような新しく素晴らしい音楽をたくさん手に入れて帰ってくる。日本で見たお気に入りのバンドは、奈良のレッド・スニーカーズ、東京のMenagerie、大阪のカモンズ、東京のNo People、横浜のThe Steadys。長年にわたって知り合った多くの人たちと連絡を取り合うようにしているし、ここ数年はオンラインでしかチャットしたことのない多くの人たちと会うのを楽しみにしている。CAR10やPervencheなど、KiliKiliVillaやGalaxy Trainのバンドの大ファンにもなったよ。


8月30日 下北沢 LIVE HAUS

Tony Jay来日公演
8月30日(金)
Shimokitazawa LIVE HAUS
Live : Tony Jay、sugar plant、Hazy Sour Cherry
open 19:00 start 19:30
Ticket 3,500円+1D


8月25日 名古屋 KDハポン

なごやギャラクシー Galaxy Train Vol.51
8月25日(日)昼
KDハポン
Tony Jay、kotolis (名古屋)、Still Dreams(大阪)
お昼12時 オープン / 12時30分スタート
予約 ¥3,400 D別 / 当日¥3,700 D別
予約はgaltrainevent@gmail.comまで

8月31日 七針

とうきょうギャラクシー Galaxy Train Vol.52
8月31日(土)昼
七針
Tony Jay、  renge (滋賀)、The Moment of Nightfall(東京 / 仙台)
DJ: Kono
お昼12時 オープン / 12時30分スタート
予約 ¥3,400 D別 / 当日¥3,700 D別
予約はgaltrainevent@gmail.comまで


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