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Ratchild『Good Fellows,Bad Idea』インタヴュー モッシュピットとダンスフロアの境をなくす路上のミクスチャー

KKV Neighborhood #41 Interview - 2020.09.10
Ratchild『Good Fellows,Bad Idea』(I HATE SMOKE、IHSR-086)
by 田中亮太

BACK DROP BOMB、N.E.R.D.、THE MAD CAPSULE MARKETS、Turnstile……ここにあげたバンドに少しでもピンとくる人は、もれなくRatchildの新作『Good Fellows,Bad Idea』を聴いたほうがいい。東京の東、〈下町〉をレペゼンしている4人組は、不敵で猛々しいラップ・スタイルのヴォーカルとサーカスティックなハードコア・パンクを組み合わせ、フロアに混沌としたモッシュピットを作り出す。それをミクスチャーと呼ぶのは容易いが、Ratchildのサウンドはどこかはみ出ている。しなやかで、不思議と洒脱さのようなものが漂っているのだ。

いうなれば〈ストリート感〉が、最初にあげたバンドたちとRatchildとの共通項なのかもしれない。頭でっかちにベッドルームで音楽を勉強しているだけでは会得できないスピードとグルーヴが、『Good Fellows,Bad Idea』には息づいている。このアルバムを聴いていると、街の裏通りを跳躍し、貪欲に快楽を追い求め、パーティーを日常の傍らに置いている若者たちの姿が浮かんでくるのだ。彼らのリアルな〈混ざっている〉感覚は、どこからきたものなのか。フロントマンでソングライターのEndratt(エンドウ)に尋ねた。

Slowthai、Mura Masa、UKドリル……

――自分がRatchildのことを知ったのはKONCOS/LEARNERSの(古川)太一くんを通じてなんですよ。もともと彼がTwitterなんかで〈このバンドいい〉みたいに発信していて気になっていたところ、KONCOSがKit gallelyでやっていたポップアップショップ〈EZ DO MARKET〉で太一くんがEndrattさんを軽く紹介してくれて。そのとき、この人ヴァイブスめちゃくちゃいいなと(笑)。自分たちとKONCOSに共通点はあると思います?

「確かにサウンドを一発聴いただけでは、なかなか結び付かないですよね。でも一緒のライヴが続くうちに、内在するノリが近いことがわかって(笑)。太一くん、よく下町の呑み屋とか行ってるじゃないですか? 僕らも下町でよく飲んでいるから、あそこいいよ、ここいいよと話していると、俺たち以上に下町の呑み屋に詳しかった。しかもソーダの炭酸の強さとかそういうのがわかるくらい飲み比べをしていて。この炭酸は何々ってメーカーのどこ工場の奴とかを当てていた。ちょっとこの人のヴァイブス、ヤバいぞって(笑)」

――それは魅了されますね(笑)。

「そこでマニアックな呑み屋とかによく一緒に行くようになった。飲み友達入りみたいなところもありましたね」

――いろいろな音楽が混ざっているところ、リスナー的にも雑食だし、そのアウトプットが独自のミクスチャーになっているところはRatchildとKONCOSの近いところなのかなって。

「確かに。しかもお互いSpotifyとかが好きで、そこでディグって友達と紹介しあうみたいな使い方も一緒だった。RatchildのクルーでDJやっている奴とかも、太一くんと遊ぶときはいつもいるんですけど、なんか音楽を聴くノリが近いというか」

――Endrattさんが最近ハマっている音楽はなんですか?

「なんだろ……最近だとSlowthaiとかMura Masaかな。あと、Little SimzやSaultってバンド。全員UKだという共通点を知らずに聴いていたんですよ。UKドリルとかも気になるし、なんか最近はイギリスものにハマっているのかもしれない」

――彼らもある種のミクスチャーですよね。パンクやヒップホップ、ジャズなんかを新世代ならではのフレッシュな感覚で混ぜている。

「しかも気合が入りすぎてないんですよね。サラっとやってヤバイみたいな。それがワールド・フェイマスに加わりつつあるところがかっこいい」

――UKのミクスチャー感覚はRatchildの音楽にも入っている気がしますね。

「Slowthaiとかはパンクっぽいですもんね。『トレインスポッティング』みたいなMVの“Doorman”とか。ドラッグ的なんだけど、マリファナじゃないっていうかね(笑)」

AIR JAMキッズでさんぴんヘッズ**

――Ratchildの結成は2005年だそうですが、Endrattさんのラップ・ヴォーカルもその頃から確立されていたんですか。

「いや、AIR JAMキッズだったんで、最初はそういうメロコアっぽいバンドでしたね。もともとスリーピースでやっていたんだけど、ギターのBUBBLEが入ったときに、自分はリズム・ギター的な演奏が増えたから、もっと自由に歌えるようになった。当時から周りにラッパーも多くて、聴く音楽もヒップホップが多かったし、自分から出てくるものとしても実はいまみたいな感じのほうが自然。サラっと出てくる。
BACK DROP BOMBとかレイジ(・アゲインスト…ザ・マシーン)とかああいうミクスチャーにはガチガチに乗っかっていたタイプだったから、バンドのうえでラップするみたいなスタイルはもしかしたら自然と参考にしていたかもしれない。あとラッパーのフロウにも影響は受けているかも」

――では、特に影響を受けたラッパーは?

「直接的には影響を受けているかわらないけど、SHUREN the FIREとかめっちゃ好きでした。もともとMic Jack Productionが好きで」

――それも太一くんとの共通点じゃないですか(笑)。

「(笑)。僕、AIR JAMキッズとか言ったけど、さんぴんヘッズでもあったんです。下町にはあんまりバンドやっている奴がいなかったから。10代のときのライブハウスはメロコアのバンドのあとにラッパー出てきてみたいなのが普通。そうなってくるとジャンルの境目も最初からあやふやで。僕、最初はRINO (LATINA II)とか雷のラッパーが大好きで。そこからNITRO MICROPHONE UNDERGROUNDも聴いてという。ハイスタやBRAHMANも聴いているけど、俺はNITROも好きだぜって。そういう中学生時代だったんです」

――さっき名前の出てたBACK DROP BOMBもそうですけど、RatchildはTHE MAD CAPSULE MARKETSなんかとも近い感じがします。

「THE MAD CAPSULE MARKETS好きっすね。当時もWRENCHとかCokehead Hipstersとかちょっとストリート感があるバンドが好きだったんですよ。メタリックな音にラップが乗っているのよりも。もっとファンクだったりいろんな音楽が入っているものが好きだったり。マッチョさやオラツキは少なくてもよかったり」

なんかの真似していない感**

――この取材には、リリース元のレーベルであるI HATE SMOKEの大澤さんも同席いただいていますが、大澤さんのバンド(UNITED SKATESやTHE SENSATIONS)とは活動初期から繋がっていたんですか?

「池袋マンホールとかのブッキングで一緒になっていたよね」
大澤「そうですね」
「Sorry For A FlogとかYellow Gangとか年齢の近い奴らが集まっていくなかで、いちばんはじっこに俺らもいる、みたいな(笑)」
大澤「I HATE の最初のコンピにも参加してくれているんだよね」

――2007年のコンピ『This Is What We Look Like...』ですね。FRIDAYZ、でぶコーネリアス、MUGWAMPSなんかも参加しています。

大澤「37バンド入っているコンピレーションで、それは周りの活動しているバンドを全部呼んじゃおうみたいなノリだった。Ratchildはレコ発も出てもらったもんね。秋葉原のREVOLEで3日間連続で」
「まだみんな20代前半だった頃の話ですね」

――Ratchildの前作『歪CONCREATE』は2015年のリリース。このアルバムからI HATE SMOKEでのリリースになりますが、その経緯は?

大澤「もともとエンドウくんから〈音源が出来たのでリリースの方法とか相談したい〉ってので連絡がきて。当初、Ratchildは自主で出そうとしていたんだよね。で、そのとき音源をもらって聴いたら、それがめちゃくちゃかっこよかった。その前の作品もこれまでメロディック・パンクをやってきたところから変化が生まれていたけど、『歪CONCREATE』の音源はいまのバンド・スタイルにとって完成形みたいになっていて。それで、いやむしろ出させてくれない?という話になり、リリースが決まった(笑)。
基本、I HATE SMOKEでリリースしているものに関しては、いまこういうものが流行っているからそういうバンドを出そうというのはないんです。自分たちが聴いてきた音楽をきちんとアウトプットできていて、かつオリジナリティーのあるサウンドに魅力を感じるし、そういうバンドをリリースしたい。そのなかでRatchildの音源を聴いたときに、〈これはほかでやっているバンドいないな〉と思った。もちろんさっき言っていたBDBやマッドの影響下にはあるけれど、2000年代スタイルというか。あとリリースするうえではサウンドも大事なんですけど、それと同じくらい重要視しているのは、人間的キャラクターが最高かってことで(笑)。どんなに曲が良くても人間的にクソだったらリリースしないんですよ。両方最高だったってところで、Ratchildをリリースしたんです」

――Endrattさん的にも前作は手ごたえがあった?

「なんとなくこのスタイルにしっくりきたし、やりやすいなと思ったんですよ。嘘ついてないっていうか。なんかの真似していない感が自分でもあった。そういうやつをちゃんと出せたってのは嬉しかったですよね。スタイル的な手ごたえがあったってので、ほんとは出して次をすぐ出したかったんですよ」

――それがなぜか今回も5年後(笑)。

「めちゃくちゃ俺、曲作るのが遅いんですよ(笑)。しかもすぐボツにしちゃうんです」

暴れているのか踊っているのかわかんないような感覚**

――Ratchildはどういうふうに曲作りしていくんですか?

「基本はヒップホップでいうサンプリングじゃないですけど、例えばBGM的に流れてくる音楽でも〈このフレーズいいな〉ってのがあったら、それをギターで弾いてみたり。それをもとにDTMでループみたいなものを作る。でも、元ネタからはどんどんかけ離れていく事も多くて。こっちのほうがよくね?って。そういうふうに作っていくことが多いかな。リフだけとかベースラインだけとか、なんならドラムの跳ねている感だけとか、そういうところから肉付けしていくっすね。でも最終的に迷宮入りしてボツになることも多いですよね。でも、バラバラにしてストックはしているんです。なので、出来上がった曲も、もともと1曲じゃなかったものも多い。バラバラの要素が同じキーのもとに集まるっていうか」

――Ratchildの混ざっている感はそういう作り方からきているんですね。聴いている音楽や周りのシーンが与える影響も大きいですか?

「それはめっちゃあると思います。コロナ以前は日常的に下町の先輩や友達のラッパーが出るパーティーにもよく遊びに行っていて。DJの先輩のセットとかでいいループやフレーズがあったら、音声メモっといて参考にするみたいなことはよくしていて。そうすると俺のぜんぜん知らない音楽、たとえばハウス的なやつでも、ひっかかるパンチラインを見つけられる」

――パンク・シーンやインディー・シーンでクラブのパーティーに遊びに行く人は少ない印象なので、Endrattさんの遊び方はおもしろいですね。音楽家としてよりヒップホップやクラブ・ミュージック的な方向性に行きたいって気持ちはないんですか?

「あー、アウトプットをこの4人でやる場合は、このスタイルって、そこはもう決めた感がありますね。Ratchildは基本的にはこういう音。みたいな。急に〈BUBBLE、お前はもうギターをやめてシンセサイザーやりなさい〉とはならないっていうか(笑)。バンドのライヴ感とかアタック感とかって、ほかのジャンルには追い付けないかっこよさもあると思う。エッジの効き方とか、ヒリヒリした感じは、パンク・バンドしか出せないものだと思う。なので、Ratchildはそうでありたいというか。俺個人の今後に関しては特に決めていることはないです」

――Ratchildの音楽はダンサブルで、身体的な快楽性が落とし込まれていると思うんですが、それはEndrattさんが実際に〈踊る人〉だからなんですかね?

「そうなのかも。モッシュする感覚っていうよりは揺れるっていうか跳ねるっていうか。その延長線上でカオス化する感じ。最初から暴れにいくようなスタイルではない。テンション上がって踊っていたら暴れていたみたいな、そういうのがいいんです。クラブで沸いているときとかもそんな感じじゃないですか。暴れているのか踊っているのかわかんないような感覚」

東京の東、酒を介して人と文化が混ざる

――特に好きなDJやトラックメイカーと言えば誰になるんですか?

「近い存在だとDJ MAS(aka SENJU-FRESH!)さんには多大にお世話になっていて、いつも新鮮だし、いつもかっこいいものを持っている。人間性然り。あとSTUTSとはもともと仲良くて、KMCっていう友人のラッパーがいるんですけど、彼がSTUTSと一緒にやっていて、一緒に東北に行ったりしました。俺、(STUTSみたいに)MPCをああやって叩いてライヴするとかそんな観たことなくて。あれはいま考えてもすごいなって。最初はわけわかんなくて、〈これすごいよね? ちょっと何もしないでみて! 本当だ! 音出ないね!〉って(笑)。だから、彼については評価されるべき人間が評価されたなと思います」

――ちなみにMASさんのDJとしての魅力は?

「俺はMASさんほど詳しくないからおこがましいんですけど、ルーツ的なヒップホップをめちゃくちゃ掘って知っている反面、4つ打ち的なアウトプットもするんですよね。でもその4つ打ちのなかに黒が滲んでいるというか、生粋のB-BOYスタンスがそのまま出ていて。それはほかの人にあまり感じたことがないんですよね。あと、MASさんは魚屋さんなんです。足立市場の魚河岸で働いていて、思いっきり下町気質な人で。なんかそういうところにもNY的というか、下町的な根付いている感じを受けて。俺の思う下町のヒップホップのかっこよさを纏った人間ですね」

DJ MAS(aka SENJU-FRESH!)の最新ミックス

――今回のアルバムにはトラックメイカーのVOLOJZAによるリミックスが収録されていますが、彼の主宰しているVLUTENT RECORDS周辺との交流は長いんですか?

「VOLOちゃんは松戸なんですけど、僕は亀有とかそこらへんで、同じ常磐線とか千代田線の沿線上。となると結構北千住で会うことが多いんですよね。北千住に八古屋〈やこや〉って立ち呑みのバーがあって、そこが結構カルチャーの交差点的な場所になっているんです。俺も10年前くらいから毎週に近く行っていて。で、そこで知り合った奴も多くて。VLUTENTの皆もそうだし、MASさんも。BMXの仲間たちも。自分のバックグラウンド関係なしに飲めるようなところなんです。そうするとイヴェントの情報とかもそこで口コミで知れて、フライヤーの渡し合いになったり。で、遊びに行くみたいな。そうしていくうちに仲良くなってVLUTENTとは一緒にイヴェントやったり。で、VOLOちゃんとは、いずれ何か作って出したいとメンバーで話をしていて、今回リミックスやってもらったって感じですね」

――立ち呑み屋がサロン的な場所になっているんですね(笑)。

大澤「俺も、こないだえんちゃんにやこや連れて行ってもらったんですけど、すごい新鮮でしたよ。そこで、はじめて行って知り合った人もいたりとか。A.O.Wの宗くんとかもよくいるんだよね? あと太一くんもこないだ連れて行ったんでしょ?」
「太一くん、こないだヘロヘロで店の前でぶっ倒れていたよ(笑)」
大澤「俺もRatchildきっかけでKMCや周りの人たちを繋げてもらったりとか。風通しがいいですよね」
「駅前とかで普通に遊んでるんですよ。飲んでると誰かがBMXで現れて、同じ店に入って、そしたらあいつもいて、みたいな。」

――世田谷なんかとかとはまた違う雰囲気のカルチャーなんでしょうね。

大澤「東東京で確立されていておもしろいですよ」

KID FRESCINO由来の“Psycho Logical Trauma”

――新作『Good Fellows,Bad Idea』について、制作当初こんな作品にしようみたいな方向性/コンセプトはありましたか?

「曲を作っているうちにこの曲の表情はこうだとかわかってくるじゃないですか。それがみんな似てないほうがいいと思って。属性が異なる8個が集まっているみたいな。そういうほうがおもしろいとは思っていて、意識しました。なので、すげえ似た曲はないですね」

――最初に出来た曲は、やはりいちばんはじめに公開された“Psycho Logical Trauma”? 

「いや、最初は“亡霊とダンス”かな。あれは何年も前に出来ていたから。“Psycho Logical Trauma”はへたしたら超最近。“Psycho Logical Trauma”は、サビとメロのところのノリがまったく違うものを作りたかったんですよ。流れるようなところから思いっきりタテにバウンスするような感じに変わる――そういう発想ですね。で、ほかの曲に比べてもギターがいちばん主張していると思います。KID FRESCINOっているじゃないですか? 友達なんですけど、彼の曲のに“そういう発想ですね。で、ほかの曲に比べてもギターがいちばん主張していると思います。KID FRESCINOっているじゃないですか? 友達なんですけど、彼の曲“Coincidence”の〈ティリティリ〉が発想元。そこから暴走して“Psycho Logical Trauma”になったんです」

――おもしろい。この曲の歌詞はパーティーのカオス感みたいなのを描いている気がしました。

「俺のなかでは冷や汗って感じです。自律神経がいっちゃった、みたいな。チャンス・ザ・ラッパーのショート・フィルムのなかに、部屋の片隅で瞳孔開いていてガタガタ震えている、みたいなシーンがあったんですよ。視覚的なイメージはそういう感じかな」

――ほかの曲の歌詞も、ちょっとサーカスティックというか神経症的な怖さがありますよね。

「ホーンテッド・マンション的な奴もいいですよね。日本のマジ怖みたいなやつより、ちょっと安っぽい怖さと言うか。奥行きのない怖さと言うか」

――今作のなかでバンドとして特に達成感のある曲といえば?

「基本的にはどの曲も同じくらいの感覚なんですけど、どうなんだろうな……“亡霊とダンス”に関しては、すごくガチガチにストレートな曲なんですよね。脱グルーヴというか」

――ツッタンツッタンという性急なビートですもんね。

「ニューウェイヴ感っていうか、808で作ったビートっていうか、カチカチでブレないビートを作りたくて。しかも、それを複雑なものじゃなくて普遍的な8ビートで、ゾンビの無機質感というか、そういうのを出したかった。パンクのままいまのフロウが乗る感覚を掴んだのは、大きかったですね」

Ratchildってhideっぽいよね**

――4曲目の“Parkside Shock’n Shirts”はレゲエやダブっぽい曲で、こちらも新鮮でした。リズム隊のコンビネーションもイイですね。

「ベースのTHINGPEIは昔からずっと一緒に遊んでいた奴なんですよ。俺と見聴きしているものはかなり似ていると思う。だから、俺のやりたいことはわかっている気がする。ドラムのNAOはパンク畑なんですけど、もともと彼はHIGH THRASH GIRLってバンドもやっていて、地元は熊谷のほうなんですけど、彼らの周辺も俺らと感覚が近いような遊び方をしていて。自然とそういうミクスチャーされた文化のなかにいる人間なんです。だから、結構ニュアンスで伝わってくれたのかなと。“Parkside Shock’n Shirts”は、わりとノリで出来ちゃったんですよね。実はこれ、次の曲の“未完成人hour”のサビのベースまんまなんですよ。サビのベースに違うビートを当てたんです。」

――それはヒップホップ的な発想ですね

「セルフ・サンプリングみたいな(笑)。このネタで違うビートもやっちゃおう、じゃあもう1曲作っちゃえっていう」

――あと、BUBBLEさんのギターはちょっと狂ってますよね(笑)。どこからこんなフレーズが出てくるんだって。

「ハハハ(笑)。あいつは人間性からおかしいですからね。もともとDIR EN GREYが好きらしいですよ。あとBUCK-TICK。一時期、ドラムンベースっぽい流れあったじゃないですか。ミクスチャーじゃなくて、ヴィジュアル系のなかでもドラムンベースとかアシッドっぽいサウンドに行く傾向あったから、たぶんあいつもそういう志向性があるんじゃないかな」

――確かにヴィジュアル系特有のミクスチャー感覚もRatchildにはある気がする。

「Ratchildってhideっぽいよねって誰かに言われたことあるっす、恐れ多いけど」

――hideは元キリング・ジョークのポール・レイヴンらとzilchというインダストリアルなラウド・ロックのバンドも組んでいましたからね。

「実験的なサウンドでしたよね。俺も結構好きっす」

バンドや音楽を嫌いにならなきゃそれでいい**

――最後に、Endrattさんがバンドを続ける原動力はなんなのでしょう?

「まだアイデアが浮かぶからっすね。先に言ったように小さな元ネタから曲が制作が始まる事がおおいから。だから、吐き出さないとイヤになっちゃうんですよ。しかも浮かんでいる段階ですでにバンドの音に変換されている気はします。それってRatchildなわけじゃないですか。だから続くみたいな」

――続けるうえで目標などはあります?

「特に定めてないっすね(笑)。なんか負荷なくできたらいいなって。嫌になりたくないし、嫌いにならなきゃいいなって。バンドや音楽をね」


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