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MEGA X 2nd Album 『FROM THE OUTSIDE』インタビュー前編

KKV Neighborhood #233 Interview - 2024.12.13
聞き手 スガナミユウ

2024年12月6日にリリースされたMEGA Xの2nd Album 『FROM THE OUTSIDE』について、メンバーインタビュー行いました。大きな進化を遂げた2ndアルバムの全容に迫るインタビューを前編、後編でお届けします。

ーじゃあインタビューを始めていきます、宜しくお願いします。まずはそれぞれ自己紹介をお願いします。

なつみジョイナス (以下なつみ or なっちゃん) ギターとボーカルをやっている、なつみジョイナスです。このアルバムからなつみジョイナスと名乗り出しました 笑

なつみジョイナス

今泉K ベースとボーカルをやっている、今泉Kです。お願いします。

今泉K

鈴木 将也 (以下まさや) ギターを担当している鈴木まさやです。よろしくお願いします。

鈴木 将也

下山 尚也 (以下下山 or シモさん) ドラムをやっている下山なおやです。よろしくお願いします。

下山 尚也

ー宜しくお願いします。まず、ファーストアルバム『NEW MYTHTAKES』が2022年の5月にリリースされて、その辺りの時期のことから遡って聞きたいのですが、ファーストがリリースされた当時は手応えや反応はどんな感じでしたか? 作品を出したことで活動がこう変わったとか。

まさや 著しく変わったよね。

今泉K 出す前は、自分たちが主催しているシュガファク (MEGA XとThree Ring Circusが共同で毎月主催しているイベント、SUGAR FACTORY Xの略)がメインというか、ライブはほぼそれしか出てなかったもんね。

一同 うんうん。

今泉K LIVE HAUS (下北沢にあるライブハウスとCLUBのべニュー)とかにたまに呼ばれることはあったけど、他からの誘いというのは全然なかったし。だから、自分たちのことを誰も知らないわけじゃないですか。出来たアルバムを頑張って手売りで売らないとなという感じで、シュガファクも含めて、レコ発を沢山組んだんですよね。LIVE HAUSでもやって、ヘビシ(幡ヶ谷HEAVY SICK)でもやって、調布CROSSでもやったかな。その後くらいからアルバムを聴いてくれた人たちから色んな場所や企画に呼ばれるようになって。

ーLIVE HAUSでのレコ発ライブ、お客さんがすごく盛り上がっていたのを憶えていて。なんというか、、それまでMEGA Xのライブで盛り上がっている状況を観てこなかったから、、

一同 爆笑

今泉K そうですね 笑

まさや あの日はポイントだよね。

ーひとつターニングポイントになったよね。

まさや なんか人いっぱいいるし、フロアにいる人がみんな歌ってくれてる、みたいな。

今泉K 急にですよね 笑

1stアルバムリリースパーティ時のSUGAR FACTORY X。大好きなバンドが勢揃い

ーやっぱりそれは音源を出したからですよね。

今泉K そうですね、やってることはリリース前と変わってないんだけど、あそこでバーンと盛り上がってくれて。なんか、そこから確かに流れが変わった感じがあったっすね。

なつみ そうだよね、ファーストアルバムも、レコーディングしてからリリースするまで一年くらい時間がかかったから、なんか反応が不思議な感じだったよね。

ーファーストアルバムは7インチレコードとCDが入っているという特殊な仕様で。

今泉K ファーストアルバムも本当はLPで出したかったんですけど、コストの問題で難しいってなって、KiliKiliVilla (リリース元のレーベル)の与田さんから7インチ+CDのフォーマットの提案があって、じゃあそうしますかってなって。

ーこの仕様も良かったですよね、LPよりも価格的に手に取りやすかったんじゃないかな。

今泉K 買いやすいのはあったでしょうね、多分。

ーそれで、ファーストアルバムを出したことで認知されるようになって、ライブに呼ばれ出して。

今泉K そうですね、今出させてもらってるライブハウスや、仲の良いバンドや企画者の人たちはファーストアルバムを聴いて呼んでくれた人が多いかなぁ。

1stアルバム”NEW MYTHTAKES”

ー東京以外はどこにライブに行ったりしたんですか?

まさや 沖縄、大阪、北海道、福岡、

今泉K 仙台、水戸、名古屋ぐらいですかね。

なつみ ほんと色々行くようになって。

今泉K 京都もそうだ、パラメヒコね。一番最初に東京以外に呼んでくれて。

なつみ パラメヒコありがとう。

ー下山さんはどうですか?ファーストに関しては。

下山 ファーストは、MEGA Xに入ってすぐに録りますって言われて、マジで?って思いましたね。

一同 笑

まさや 自分とは初めて会ってからまだ3ヶ月くらいでしたよね 笑

ーじゃあ曲を覚えるのが大変でしたね。

下山 そうですね、ライブで観てたので曲は知ってたんですけど、アレンジを結成当時のドラマーさん(PAKO)の時のままでやるのか、新たに作るのかみたいな。その辺の感覚がまだ掴めてない時期ではありましたね。

今泉K 確かに、しかもファーストアルバムには前のバンド時代の曲もいっぱい入ってますしね

ーじゃあ、加入してあれよあれよという間にレコーディングに入ったというか。

下山 そうですね。

なつみ しかも一発録りというか、みんなでせーので録るという。楽器は1日で全部録ったもんね 笑

今泉K 録音の1日のタイムスケジュールみたいのを立てたんですけど、

なつみ 何分から何分までこの曲で、みたいな分刻みのタイムスケジュールで。

今泉K 違法な労働ですよね 笑 アユさん(猪爪東風/録音エンジニア)の休憩時間どこ?みたいな。

猪爪東風(ayU tokiO

ーギターのダビングもその日に?

まさや ダビングはあとから宅録でも入れました。

今泉K ミックスしながら、並行してダビングのギターを宅録しましたね。

まさや フレーズも後から考えて入れたり。

なつみ そうだ、ファーストはKくんがミックスしたのか。

今泉K ファーストは録音をアユさんにお願いして、ミックスは自分がしました。

ーファーストアルバムを出してから現在(2024年11月)まで二年半あって、ファースト出した段階で次を出すみたいな構想はあったんですか?

今泉K 最初は構想はなかったんですけど、、なかったというか、いつかは出したいとは思ってたんですけど、与田さんから次出そうよという話をもらって。シングルを出して、その次にアルバムを出そうみたいな。それで、いつ頃までに出すつもりで頑張ろうみたいな話になって、

なつみ 計画を立てて、

今泉K そう、計画を立てて作っていったって感じですね。計画ではもうちょっと早めに出す予定だったんですけど、曲が全然出来なくて、

なつみ そうだね。

ーじゃあ、レーベルからお尻を叩いてもらいつつ曲を作っていった感じですか?

今泉K そうですね。

なつみ アルバム用に作った曲が何曲もある。

今泉K レーベル的には本当はホログラムシティのシングル(2024年1月リリース)を出したタイミングで、すぐにアルバムを出したかったみたいなんですけど。曲が出来ないんで、そんなすぐに。

2ndシングル”Hologram City”

ーじゃあ曲を作りながらアルバムを録っていった感じですかね。

今泉K 本当にそうですね。ホログラムシティを録った時に、5曲録ったんですよ、先に、アルバム用に。で、その中からシングルにして出したんですけど。そこから一年経って残りの6曲を録ったんですね。

ー2回に分けて録音したんですね。

今泉K 2回に分けて。だからもう、最初の5曲録ったのなんて結構前ですよね、一年以上前。

まさや その時にもう、すべてを出し切ったから、またゼロから6曲作るっていう。

ー最初の5曲を録った段階では次の手はゼロだったんですね。

今泉K なんかあったんですけど、、

まさや アイディアはあるけど、形にはなってない状態。

今泉K そう、曲のアイディアはあったけど、そのアイディアは全部やめたっすね 笑

ー下山さんが直前に加入したファーストアルバムを経て、このセカンドの曲群が、今の4人で顔を突き合わせて作ったアルバムになるのでしょうか?

今泉K そうですね、ほぼ全曲そうですね。

ー4人それぞれの要素が詰まったアルバムになったということですね。あと、それと並行して、沢山のライブスケジュールをこなしながら制作していった時期なのでは?2023年はすごい本数のライブをやってましたよね。

今泉K やりましたね、、

ー途中でKくんがライブをやることに疲れちゃったりもして、、

今泉K そうですね笑 コロナ禍を経て、あの時期は周りのバンドも頑張ってたじゃないですか、HOGO地球とかもそうだし。みんな、2023年にやり切って疲れちゃって、、2024年は(ライブの本数を)絞ろうみたいな。

ーライブを盛んに出来るようになってきた時期ということもあって、せきを切ったようにライブをすごいやっちゃったんだろうね、みんな。

今泉K すごいやっちゃって、、暮らしがあるからしんどいってなって、

なつみ 普通に働いてるしね、

ーライブがあると曲作りのスタジオも進まなかったり。

なつみ そうですね。

今泉K アルバムのリリースがあるから、それを考えてライブを入れたら?と与田さんから言われてた笑 あまりやり過ぎると制作が進まなくなっちゃうよ、みたいな。

まさや 気づいたら歳だけ取っちゃってることになるよって。

今泉K 気づいたら二年くらい経つからって。

ーそれでも、ライブに呼ばれたら出たくなっちゃうしね。

今泉K そうそう。

なつみ 実際面白い人たちと出会ってるしね。

ーうんうん。

今泉K でも、ライブがもうやだな、みたいな瞬間はありましたね笑

ー一時期K君が、、

今泉K 楽しくないです、みたいな時期が笑

ーK君は、自分が楽しいからライブをやってたって言ってたもんね。

一同 笑

ーその時、ライブが楽しくなくなったーって言っていて。

今泉K 楽しくなくなったらライブをやる意味ないじゃんって思って。自分が楽しいからやってるのに。

ーあの時はね、大変だったよね、、

今泉K そうですね笑 そしたら、みんなは自分が楽しいかどうかだけでライブをやっているわけじゃないんだってことを知ったり。

一同 笑

ーなっちゃんは、ステージに立つモチベーションが全然違うところにあったりして。

なつみ そうですね、ライブに対して、自分が楽しいからやっているってわけじゃないから、そもそも私は。

ーなっちゃんには、ショーとしてちゃんと観せられるように、いつ何時もしっかりパフォーマンスをするという責任感を感じる。

なつみ 責任感、そうですね。

まさや あのターニングポイント(ファーストアルバムのレコ発)から、自分たちのライブを楽しみに来てくれてる人がいることを感じてきたから、そこに対する責任感は感じるよね、期待してくれている人たちに対して。

なつみ うん、来てくれた人たちに期待して頂いてるから、、

まさや そういう話がK君には通用しない!

一同 爆笑

今泉K 自分が楽しくないと、良いものができないんじゃないかと思っていたけど、一回もう嫌だなってなってから、後半の6曲はその後に出来てますからね。それこそ”花を持つ人”とか”ビューティフル・ドリーマー”とかもそうだし、”サイコショッカー”とかもそうだし。「もう嫌」っていう、不貞腐れた感じもその時作った曲に入ってますね。

ーなるほど、K君がライブに対して嫌だってなった時にも、その時なりの心情を反映した曲が出来たと。あとは、まさや氏が言う通り、ライブに呼んでくれる人も増えたけど、毎回のようにライブを観に来てくれる人たちが増えたりとか、そういうこともありますよね。

今泉K 遠出のライブも、お客さんを含めてみんなで旅行に行ってる感じで楽しいですね笑

まさや 結局そういう目線の話になっちゃう笑

ーMEGA Xのライブに行くと面白いことがありそうみたいな感じは、よく来てくれるお客さんの中にはあるのかもなと思う。

今泉K 自分がお客さんに対してそう思ってますもん、馴染みの人が来てくれるし、その中でライブをすることが楽しいだろうなっていう。

ーバンドにとって嬉しいことですよね。

今泉K そうですね。

なつみ MEGA Xの遠征のライブを観に行くことで色々な土地や場所へ行けるし、みたいな。

ー東京からツアー先のライブにも来てくれる人がいたりとか、すごいことですよね、それはね。

今泉K たしかに。

なつみ ライブがきっかけでお出掛けするし、みたいな。

今泉K それで色んな出会いがあったりしてさ。お客さんが遠征先で色んなところに行くじゃん、ライブだけじゃなくて。

なつみ お店とかもね。

今泉K そうそう。沖縄でもAKKANBABYSの人の展示に行きました!とかさ。その土地の文化にも自分たちよりお客さんの方が確実に多く触れていると思う。自分たちはだって、行ってライブをしてお酒を飲んで終わりじゃないですか笑

なつみ 力尽きてね笑

今泉K だけどお客さんはみんな色んなところに行ってるから。

なつみ 文化的に過ごしているよね。

今泉K ライブの日の前後に1日2日長く休みを取って色々行ったりして。

ー遠征先のバンドの音源や物販もチェックしてくれたりとか。

今泉K やっぱそれが一番いいですよね。

ー遠征先、特に沖縄のシーンとの繋がりについて、ファーストからセカンドにかけての時間の中で、濃密になっていったというのも、このセカンドアルバム『FROM THE OUTSIDE』を語る上で重要なことなのかなと思っていて。

2024年沖縄ライブ打ち上げ、海

今泉K そうですね。

ーそれでは、今回のアルバムについて、曲ごとに聞いていけたらなと思っていて。曲が出来るまでの過程や経緯、曲に対する思いをそれぞれに聞きたいなと思っているんですけど。

今泉K はい。

ー1曲目は”Where is the love?”。これはどれくらいの時期に出来た曲ですか?

今泉K この曲は今年に入って、2回目のレコーディングの時に出来た曲。

なつみ そうですね、結構新しめの曲ではあるね。

今泉K この曲は、最初はトランプのイベント(LIVE HAUSで毎月開催されているイベント)で弾き語りでライブをする時に、2曲くらい新曲を作って、それが”サイコショッカー”とこの”Where is the love?”だったんですよね。

ー弾き語りのライブのオファーがあって、新曲を作らなきゃと。

今泉K そうです、どうせ弾き語りをやるなら、新曲を作ってやろうかなって。だから個人的な歌詞を歌った2曲。

ー”Where is the love?”はどういうことを思って書いた歌詞なんですか?

今泉K これは、なっちゃんが朝起きるときに絶望的な「うわぁぁぁぁ」みたいなため息をついたり、なんかもう、さんざんひどい状態みたいな、しんどい日常があって、、でも心を奮い立たせながら出社していく姿を、、笑

なつみ そのさまを描いた歌詞笑

今泉K でも、私がいなくても職場はなんとかなるっしょみたいな雰囲気もありつつ、でもやっぱ行かなきゃいけない。「この日々をいつまでやるんだろう」みたいな、先の見えなさみたいな。毎日こんなしんどい思いをして仕事に行って、自分がいてもいなくてもとか思ったりしながら、これいつまで続くんだろう、みたいなところから作ったっすね。

ー「街は今日も明るい うつむく人を切り捨てても」というところが、すごく良い歌詞だなと思いました。

今泉K 結局その人たちが捨てられても世の中は変わらないように見える。

ー世の中は変わらずに動いていくことの残酷さを表していて、、サビはメロディをリフレインしながら少しづつ歌詞が変わっていって、「チック・タック 明日も一体いつまで同じことが続くだろう? チック・タック 僕らは一体いつまで何もしないでいるだろう?」というように、ずっと”問いかけ”で、それがすごく良いなと思う。言い切れない感じというか。

なつみ うん、問いかけ、

今泉K 不安っていう。

ー自分に対しても不安だし、世の中に対しても不安だし。

今泉K 断言できることもないし、みたいな。

ーうん。

今泉K それでタイトルどうしようってなって、サビのコード進行がBlack Eyed PeasのWhere Is The Love?と完全に一緒だったんで、同じタイトルにして笑

ータイトルも歌詞に合ってるよね。

なつみ サビのコーラスも、私が考えた時に、気づいたらBlack Eyed PeasのWhere Is The Love?みたいになってて、じゃあコーラスもそっちに寄せてみる?みたいな笑

下山 今回のアルバムは、Where Is The Love? もあるし、No Scrubsもあるし笑 Black Eyed PeasだったりTLCだったり。

今泉K・なつみ 笑

今泉K そういう、育ってきた、

なつみ 背景がね、

今泉K 出てくるね。

ーまさや氏はどうですか?

まさや 元々この曲は全部K君が歌ってたのを歌の割り振り変えたよね。

今泉K 自分が弾き語りで作ってるから最初はそうだったんだけど、なっちゃんメインの方がいいんじゃないかってなって。

ーBメロはK君が歌って

なつみ 交互に歌う流れになってます。

ー2人がそれぞれ同じ曲の主旋律を歌えるというのもMEGA Xの特徴ですよね。下山さんはどうですか?この曲を作っている時の過程で思い出はありますか?

下山 この曲は、最後の「I’m Freaking out」と歌うところがエモいなと思ってて。ドラムでいったら2番のサビからずっとライドシンバルで8ビートで。どうしようかな、ドラムを一度切るかなとか思ってたんですけど、そこはもう、歌とギターとベースでなんとかしてもらって、あえて変えないほうがいいかなと思って。

ーそれが成功してると思いました。

なつみ うん、クライマックスが真ん中くらいからやってきて、ずっとクライマックスみたいな笑

ーじゃあ次の曲”Change my ways”。これはいつくらいに作った曲ですか?

今泉K これは去年ですね。

ー最初のレコーディングで録った曲?

今泉K そうです。この曲は、高校生がYouTuberとのトラブルがあり、訴えると脅されて、追い詰められて自死をしてしまうという事件をみて、すごくくらって、、でも、逃げるって、全然悪いことじゃないっていうか、死ぬんだったら、場所を変えて生きていったり、今のコミュニティの誰かに嫌われたりしても、他にも色んな場所があると思うし、、でも、例えば学校とかって選べないじゃないですか。

ー学校も、家族もね。

今泉K 学校も家族も選べないし。けど、大人になったら自分で居場所を選択出来たりするんだけど、、

なつみ でも渦中のひとたちはやっぱりさぁ、

今泉K そう、渦中のひとたちは(今の居場所が)全てじゃん。

ーブレイク後のCメロの歌詞がね、「さようなら 昨日まですべてだったこと」って歌われているように、本当に、その時はこの場所がすべてだって思っちゃう。その時はどん詰まっちゃうから。

今泉K そう、どん詰まっちゃう中で、すべてだって思っちゃうものを捨て去っても大丈夫だよってことを、メッセージとして入れられたらなって思って。

ーこの歌詞の部分を印象的なアレンジにしたのもすごく良いなぁって思った。

なつみ まさやさんのギターだけになって、

ーそしてリズムが変わってっていう流れが。

まさや この曲は、最初にK君が持ってきた状態から曲の構成を変えたことをすごい憶えてて。このCメロの歌詞を一番聴かせたいし、その間に変化を入れたいっていう。どこを一番聴かせたいかっていうのをすごい考えて、構成を組み替えた気がする。

今泉K そんな話しましたね。その辺は、まさやさんとシモさんが、ドラマチックに、ここをこう聴かせたいほうが良いっていうアレンジを考えてくれて。

なつみ すごいアレンジをコネコネしてくれて。

下山 駄々をこねて笑

まさや 駄々こねるよね笑

今泉K 結果それで良くなるっていうのが分かるから。

なつみ やっぱちゃんとアレンジをこねる、練るってことが大事なんだなって。

ー最初K君は、歌とベースでみんなに曲を聴かせる感じですか?

今泉K そうですね。

ーそこからここまでドラマチックに広げる感じがすごいですよね、バンドとしてのアレンジの力が発揮されてる。

今泉K それはまさやさんとシモさんが、曲のどこが一番肝の部分かを探ってくれて。

まさや 客観的に聴いて、アイディアを言うかも。

ーみんなで曲を完成させる感じですよね。じゃあ、三曲目”花を持つ人”。

今泉K これは割と最近出来た曲ですね、今年レコーディングしましたね。

ーこの曲は、MEGA Xとして日本語の歌詞が増えてきた中で、初めてライブで観たときに、日本語詞として、ひとつ到達した曲だなって思った。すごい歌詞だなって思った。この曲はどういうことをイメージして書いたんですか?

今泉K 今、パレスチナでの虐殺などが起こっている状況があって、軍需産業を支援する企業へのボイコットだったり、友だちの中でも虐殺についての声をあげたりとか、意見を発信したり、表明したり。バンドとしてスタンスを表明したりする人たちもいたりとか、あとは、よくライブに遊びに来てくれるようになった人たちの中にも、虐殺に反対するパッチを作って配ったりとか、そういう流れが沢山自分の周りでも始まっていて、すごいなぁって思っていて。みんなちゃんとそういうことを考えて行動していて。

ー問題に対して、個人で何が出来るかということを1人づつ考えてる。

今泉K それがすごいことだなと思っていたから、それを冷笑されたりとか、「あっち側」みたいに揶揄されたりとか。馬鹿にしてほしくない。そういう人たちの邪魔をしてほしくない、っていう気持ちを描いた曲ですね。

ーじゃあ、この花を持つ人っていうのは、意思を持って行動する人たちのことを指した曲?

今泉K ですね。パッチに花が描かれていることが多くて。

なつみ 曲の最後の「邪魔するなよ」っていう、ところをやっぱり、アレンジでガーっと聴かせたかった。

ーここもまた、MEGA X手法というか、ドラマチックにアレンジされていて。「誰も彼も気にしないで 何も見えないフリばかり いつか勇気ある誰かの その言葉を邪魔するなよ」。ここが最後に一回だけ来るのが、めちゃくちゃ印象的でした。

なつみ コードは4つしかない、一曲の中でずっと。

今泉K そう。このコードは自分の好きなバンドがやっているコード進行をまんま使って。FIDLARもやってたし、Green dayもやってる。2バンドがやってるんだったらもう誰のものでもないかっていう笑

ー4コードは誰のものでもないよね笑

今泉K だからやったれと思って。

ーその二曲に匹敵するくらい名曲だと思う!

今泉K 今一番自分が思っていることを、せっかくなら好きなコード進行に乗せたかったので。なんだろう、早い曲で、アジテーションみたいな感じで、ガーっと言うっていうのは、MEGA Xの中ではあまりやってないから。だからMEGA Xでこういうことを言うとしても、ちゃんとメロディに乗せてやるべきだなと思ったんで、一番やりやすい進行の曲にこの歌詞を乗せましたね。

ー曲のテンポ的にも、歌詞が入ってきやすいかもしれないですね。

なつみ シモさんのすごい良いグルーヴが出てる。4コードだからこそ、どう変化させるかっていうのを色々考えて、、まさやさんのハウり(ギターのハウリング)のタイミングとか。

まさや シモさんのハウりのレクチャーがさぁ、厳しいんだよね。

一同 笑

下山 ハウリングが弱いとか笑 まさやはハウりのためにひとりでスタジオ入ったりして。

まさや ハウり練。

一同 ハウり練!笑

ハウりを頑張ったまさや

ーまさや氏と下山さんはどうですか?この曲に関しては。

下山 これ良いですよね(しみじみ)。

まさや いっときから、曲の歌詞は全部日本語にしていこうっていう話をしたことがあって、

ーそれはなんでですか?

今泉K ファーストは英語詞が多かったんです。リリースした時に海外の方も結構聴いてくれてたみたいで、海外の掲示板みたいなところにお勧めしてくれてたみたいなんですけど、日本語詞の曲の方が聴いてくれていて。

まさや 海外の友達からも日本語詞は個性だよって言われた。

ー日本のバンドを聴いた海外の方の感想として、日本語の歌を聴きたいというのはよく言われますよね。

今泉K だとしたら、英詞で歌って響く層ってどこなんだろう?って思ってきて。というか、自分がそんなに英語が得意じゃないから、得意な言語でやった方がいいよなって、、でも難しいんですよね、自分のやりたい音楽性で日本語でやるって。

ーMEGA Xのサウンド自体は日本のバンドっぽくないですもんね。

今泉K そうなんですよね、だから日本語詞でやるのって結構難しくて。

まさや 花を持つ人はそれが一番成功した曲だなって。

ーサウンドと日本語詞が融合出来た曲なんですね。

今泉K そう、だから難しいけど日本語で歌詞を作り続けようって。だから今回のアルバムはほとんど日本語です。

ー元々英詞で作っていたバンドが日本詞にトライする時って、なかなか移行がうまくいかないケースも多いように感じていて。K君となっちゃんは日本語詞でもちゃんと表現出来ていて、すごいなぁとこのセカンドを聴いていて思う。

今泉K もうやり続けないといけないなと思いましたね、日本詞が上手くなるには。まだ英語の方がもっと上手くメロディを作れるんだけど、でも日本語でやろうって思った。

ーLPを聴いてると、ここまででファーストからの変化を感じられる象徴的な三曲だなと思いました。別の次元のバンドになってるっていうのが、それが曲の並びにも表れている気がしていて。

下山 それはそうかもしれないですね。自分は好きなバンドの新しいアルバムを聴く時に、ど頭の一曲目が一番大事だな思っていて。あと三曲目が大事で。

ー2曲目じゃなくて、3曲目っていうのが面白いですね。

下山 oasisの1stアルバム『Definitely Maybe』は"Live Forever"が3曲目で、2ndアルバム『Morning Glory』は"Wonderwall"が3曲目で。1曲目でパシッとやって、3曲目で良いの持ってくる。

ーじゃあこのMEGA Xの2ndも、

下山 Oasis理論です笑

今泉K たしかに、花を持つ人がリード曲の認識があるかもしんないっすね。ジャケットのアートワークしかり。

ーなるほど。アルバムのジャケットは誰に描いてもらったんですか?

今泉K これは、Nadia Ahmedさん (以下 ナディアさん)っていう海外のアーティスト・イラストレーターの方で。たまたまInstagramでナディアさんの作品を観てて、すごい、衝撃を受けるような作品が多くて。それこそパレスチナのことについての作品も一杯あって。こういう人に(ジャケットを)描いてもらえたらいいなぁって思ってて。今回アルバムを作るにあたって、誰にアートワークをお願いするかという話になった時に、(ナディアさんに)お願いしてみてもいいんじゃないかっていう。それで、まさやさんが英語でメッセージのやり取りが出来るから、やってもらって。

Nadia Ahmed instagram
https://www.instagram.com/nadiatheartist?igsh=d2JsMDVkZnBtd25s

ーじゃあ全然知らないところからオファーを出したわけですね。ナディアさんとのやり取りはどんな感じだったんですか?

まさや 本当に突然の連絡を入れたので、はじめはやっぱり様子をうかがわれましたね。でも、ちゃんと仕事としてのオファーだっていうことを説明して、最初に「花を持つ人」の歌詞を英語に訳して(ナディアさんに)送ったんですよ。自分たちはこういうことを考えていて、あなたの作品と通じることを感じているから是非お願いしたいって。そしたらちゃんとそれを読んでオファーを受けてくれて。そこからは早かったですね。

ーテーマにバッチリのジャケットで。

今泉K ほんとに素晴らしいジャケット。

なつみ 描いてくれたスピードも早かったよね。ほんとにすごいなぁって思った。

まさや アルバムのインフォメーションがリリースされた時に、ナディアさんが、まさか自分が続けてきた作品作りが日本に届いてこういう形になるとは、と本人のSNSで言ってくれていて。

ーそれは嬉しいですね。

なつみ まさやさん、ナディアさんが作った絵本も買ってなかった?

まさや 買った。「The Ghost Who Was Afraid Of Everything」という、ハロウィンを舞台にした怖がりなオバケのお話なんですけど、これもMEGA Xの歌詞と通じる部分があるなぁと感じました。

The Ghost Who Was Afraid Of Everything

まさや みんなが当たり前に出来ることをなかなか出来ない主人公が、自分が本当に好きなものに気づいて自分を奮い立たせるんですけど、他者はあまり介入せずにひたすら自分と向き合うんですよ。イラスト自体はポップなタッチにみえるんだけど、線描ひとつひとつに生の感覚があって、ただの模写じゃなくて気持ちの内側の表すような絵が本当に素敵ですね。アルバムのジャケットにも同じような気持ちです。

今泉K ジャケット公開したら、インスタで海外の方からも反応が来たりして嬉しかったですね。

ーアルバムタイトルの『FROM THE OUTSIDE』はどういった意味で付けたんですか?

今泉K “所属”というものを考えたときに、MEGA Xはどこの所属っていうものがないじゃないですか。パンクのシーンにいるわけでもないし。そういう意味での、外側から見ている、という意味と、パレスチナで起きている問題に対しても、自分たちは当事者ではないけど、でも外側から訴えることもあるし、当事者じゃないからといって関係ないわけじゃないという意味もあるし。あとは、ライブのMCとかでパレスチナで起きている虐殺の話とかを言い始めた時期に、「そこに踏み越んでいくと、生活者の歌じゃなくて、アウトサイダーみたいになっていっちゃうから気をつけた方がいいよ」と言われたことがあって。でも、それがアウトサイダーなんだったら、アウトサイダーでいいよって思って。どこに所属もしてないし、アウトサイダーって言われるなら、じゃあアウトサイドからのアルバムという意味のタイトルにしようと思って『FROM THE OUTSIDE』と付けました。

なつみ 所属という話しだったら、今回のワンマンのタイトルが『どこにも属せない』だったり笑

“どこにも属せない”ことI don’t belong anywhereフライヤー

ーそれがMEGA Xの音楽性に繋がっている感じがしますね。

今泉K そうなんですよね、結局、どこにも属せないんだよねっていう人たちが集まってるんで、そんなに寂しさはないんですけど。

ーどこにも属することができない人たちが、それぞれのままで仲良くなってるっていう。

今泉K そうですね。そういうイメージのタイトルですね。

ー次は”たりないぼくら”。これはどのくらいの時期に出来ましたか?

今泉 歌詞含めて完全に出来た順で言ったらこれは一番昔じゃないかな。

まさや 1stを出した後に最初に作った曲。

今泉K 1stのレコ発でやってましたね

ーこの曲を1stのレコ発で演奏している時、すごいお客さんの反応も良くて。1stだと”Sweet8beat”が人の心を掴む曲だったけど、さらにここで”たりないぼくら”が出来たというのはバンドとしても次のフェイズに入った感じがありましたね。

今泉K この曲は作るのが大変だったですね。

まさや 大変だった。ずっと決まらなかったよね。

ーどの辺が決まらなかった?

今泉K アレンジがうまくいかないというか「これ、このアレンジ、いい曲なのか?」って。

まさや 仕上げては保留にしてを繰り返してたね。

今泉K 1stのレコ発より前に調布CROSSで一回演奏してるんです。

まさや そのライブ直前に調布でスタジオに入って、そこでようやくアレンジが固まって「今日ライブでやってみるか!」って。

今泉K そのライブではあんまりうけてなかったけど

一同 笑

ー“Sweet8beat”はパーティーアンセム的な側面を持ちつつ、どこにも属せない人達の溜まり場を謳ったような楽曲だけど、”たりないぼくら”はもう少し個人にフォーカスした「どこにも属せないソング」代表ですね。

なつみ 歌い出しが”帰りたい"って。本当に何回も思った。「帰れよじゃあ」って

一同 笑

今泉K メンバーはみんな思ってるだろうね笑

ー作詞はK君ですよね。どういう気持ちを書いた曲ですか?

今泉K この曲は本当に個人的な曲で、ライブハウスとかで一人で過ごしてる時に、なっちゃんは楽しそうにしてるんですけど自分はあまり楽しそうに見えないみたいで「なんでそんな顔してんの」って言われて

まさや 常になっちゃんとの対比があるよね。

今泉K 常にある。一緒に生活をしているから個人的なテーマの曲を書いたときの歌詞は大体、なっちゃんと一緒に戦ってるか、なっちゃんと戦ってるかになっちゃう。この曲に関して"どんな顔だってしていいよ"は、なっちゃんに言ってますね。「なんでそんな顔してんの」に対するアンチテーゼですね笑

ーでもこれはライブハウスに一人で来る人にも刺さる歌詞ですね。

今泉K 一人で来て、浮かない顔してても、そのまま帰っても全然いいよねって曲です。

なつみ "いつも何かたりないぼくら"っていうワードが自分や誰かの人生の中で「なんでこんなに上手くいかないんだろう」みたいな時に刺さる気がしますね。

今泉K 「なんでこんなトチっちゃうんだろう」的な”いつも何かたりないぼくら”が1回目のサビで、”どこにいてもたりないぼくら”は満足出来ないというか物足りないというか

まさや 自分が足りてないのと、物足りてない気持ちのダブルミーニングだね

ー聴いてる人がそれぞれ色々な当てはめ方をして聴ける曲だと思いました。

今泉K ライブに遊びに来てくれる人と”たりないぼくら”の歌詞の話になったことがあって、色々話してたら「そこまで足りないと思ってなかった」って言ってました。

一同 笑

まさや 実際みんなはどうか分からないですけど、一人でライブに行くって昔よりも少しハードル上がってるような気もしますね。予め誰かと繋がってないと行きづらいというか。

ーそれはあるかもしれないですね。

まさや SNSが出てくる前までは自力でイベントを調べてチケット買って、そこへ行くっていうことだけだったんだけど、今はなんとなく事前にそれを知れちゃうというか、一人だと鼻息荒く行く思い切りが必要に感じちゃう人もいると思います。自分も含め。

ーハードルが高いというか、既に作られた場所に行く怖さはありますよね。

今泉K クローズドにならないようにはしたいんですけどね。だから”たりないぼくら"とか作ってるんですけど、難しいですよね。

ーしもさんはこの曲に関してはどうですか?

下山 この曲を作っていた時のことが思い出せない。。

一同 笑

まさや でもこの曲のキメのアレンジとかは、しもさんが提案してたよ笑

下山 ああー

まさや もうラチあかないからこうしましょう!みたいな感じで。サビ終わりのキメとか。

下山 うーん (思い出せない)

なつみ 笑

ーアレンジがしっかり効いてますね。キメがあるから次に進めるような。出だしのリフっぽい感じからビートが始まるのもかっこいいし。

下山 あれは覚えてます。Blink182ってバンドのトラヴィス・バーカーっていうドラマーが好きなんですけど、トラヴィスがよくリフで刻むのやるんですよ。だからそれをやってみたくて、ちょうど合いそうなアルペジオで、ベースもイントロ弾かないって言ってるんで、やってみようかなって。

ーすごく印象的でいいと思います。歌も入りやすいだろうし。

今泉K そうですね。

まさや アルバム用のマスタリングでまた更に化けたんですよ。

今泉K 他の曲と合わせたマスタリングによって、シングルの時よりローが出たんでしょうね。

ーMEGA Xの楽曲について“たりないぼくら"以前と以降で変わっていくような雰囲気がありました。

今泉K 日本語で言いたいことをうまくまとめられた最初の曲かもしれないです。

ー頻繁にライブに来てくれる人は別として、MEGA Xについてこの楽曲の印象を持っている人は多いかもしれないですね。この曲が4曲目に入っているのも良くて、重厚なメッセージのある3曲が来てからの”たりないぼくら”は開放感があるというか。

今泉K わりとライブでも”花を持つ人”が終わった瞬間、聴いてる人みんなどうしたらいいかわからなくなっちゃってシーンとしちゃうんですよね。だから間髪入れずに”たりないぼくら”始めちゃうってことは最近多いです。

ー続けてやりやすい曲ですよね。MC無しで始められるというか。

今泉K ”たりないぼくら"についてMCとかで話すこともないですからね笑

ー歌い出しの”帰りたい”からもうなんとなく言いたいことはわかるから。

まさや 帰りたいんでしょって笑

今泉K もう嫌なんでしょって笑

ーライブで初めてみた時に全部言いたいことがわかるくらい、アレンジも歌が立つように作られているし、すごくキャッチーな曲ですね。

今泉K 遠方でライブのときは申し訳ない気持ちになりますね。”帰りたい"とか言って。沖縄とかでも

ー“花を持つ人”と同じ人が作っているけど全然違う印象で面白いと思います。どちらもK君の中にあるものなんだろうと思うし。でもどちらかというと”花を持つ人”の方が近年考えていることで、”たりないぼくら”は本来のK君って感じで。

今泉K 本質というか笑

ーでもそういう自分に近いところを歌に出来るようになったのはすごいですね、なかなか出来ないことだと思うし。

まさや 受け入れてもらえてよかったね。

今泉K 帰りたい奴がね。

ーライブハウスに来る人って、生活の中で、あまり上手くいってなかったり、嫌なこともいっぱいある中で、何かを求めて来ている人もいるだろうから。

今泉K そういう人に聴いてもらえたら嬉しいですね。

どんな顔だってしていいよ

ーたりないぼくらやSweet8beatを入り口として、冒頭3曲のメッセージを受け取ってもらえたらバンドとしてもいいのかなと思いますね。

今泉K それが一番嬉しいです。

ーじゃあ次の曲は”You do you”ですね。この曲は7インチにも入っていて。なっちゃんが作った曲ですかね。ライブを観ている女性たちがこの曲で拳をあげている光景をよく見る曲です。

なつみ この曲は女性について書いた歌ですね。女の人のライフステージについて考えていて、”You do you”っていうのは、「あなたらしく」という意味なんですけど。例えば女性は、結婚したら妻って呼ばれるようになったり、子供が出来たらお母さんって呼ばれるようになったり、なんなら多くの女性は結婚を選ぶときに苗字まで変わっちゃって。女の人のライフステージが変わっていく中で、自分が失われるような感覚になるのが悔しくて。でも、妻でもお母さんでもない、”ありのままの自分”もいたよね、っていうテーマの曲なんです。Aメロの歌詞の風景としては、洗濯物を畳んでいて、ふと外を見てそのことを考えてるっていう情景を頭の中にイメージしていて。 

ーそれは、今の社会の構図だと、男性には少ない経験かもしれないですね。

なつみ 男性にはあまり無い感覚かもしれないですね。

ーだから、MEGA Xにとってもとても重要なメッセージの曲ですよね。

今泉K 自分の歌詞だけだとバランスが良くないので、この曲が出来てすごくよかったですね。

ーなっちゃんの歌詞だと1stの”More slowly time”も日本語詞ですね。そっちの曲は打って変わってロマンチックな歌詞で。

なつみ More slowly timeは男の人に歌ってほしい歌詞として書いていて。今回のYou do youは女の人たちに向けて、女の人が歌う歌詞ですね。

ーどちらの歌詞も素敵ですよね。今回のアルバムは、なっちゃんとK君の歌の表現力が増しているのを感じました。それをアユ君がレコーディングとミックスで引き出していて。ライブとはまた違う魅力が出ているなと思いました。

なつみ 曲ごとに考えて、ライブとは違う表情を出した歌い方にはなってると思いますね。

今泉K 今回のレコーディングは、アユさんにも相談しながら、納得のいく歌い方が出来るまで、何テイクも録ったりしましたね。日本語詞が多くなったから逃げられなくなったということもあるかもしれないですね。

なつみ レコーディングの中で、もっとこうしたい、もっとこういう風に歌いたいっていうのが出てきたっていうのもありますね。

ーその取り組みがちゃんと形になっていて、「歌」をちゃんと聴いている感覚になる作品だと思いました。

今泉K この曲はシモさんがアレンジのアイディアを出して。

下山 The Cribsの"Running Into You"という曲がありまして、あの感じをやりたいなと思っていたところ、丁度良さそうな曲が降ってきまして笑

まさや この曲を聴けと言われて笑 ずーっと聴いて。

下山 ギターをこういう風にしてほしいって。アレンジのために、まさやと2人でスタジオに入りましたからね。

まさや でも、最終的には自分の好きなX (US)の4th of Julyのフレーズをちょっとだけ入れてます笑

なつみ そうなの?!笑

今泉K The Cribsの中にX 笑

まさや みんなにバレないように。自分のやりたいこともやりたいんで笑
なつみ : 曲的には自分の好きな感じ、Best Coastだったり、Swearin'だったり、そのへんの影響が出てるなと自分では感じますね。

今泉K  Swearin'のイントロのギターの音をベースでやってたり笑 結構色んなオマージュが入ってますね。イントロはThe Cribsの"Running Into You"で、そっからXのギターフレーズとSwearin'が出てきて笑

一同 笑

今泉K そしてMIXはBest Coastにしてもらって笑

ー面白いですね。この5曲目の"You do you"で、もう一段階リラックスして聴けるアルバムの流れになってると思いました。

なつみ そうですね、今回のアルバムの中にはあまりない曲調とBPMかもしれないですね。

ーしみじみ聴ける曲で、すごく良い曲ですね。じゃあ6曲目、No Scrubs。これはめちゃくちゃ短い曲で。

今泉K 30秒っていうところから作って

下山 「30秒の曲をお願いします」という自分の依頼から始まって

まさや コンセプトありきだよね

ーなるほど!30秒大喜利で

今泉K それでなっちゃんが作ったんですよ

なつみ そしたらこれ30秒ピッタリだよね?

今泉K そうピッタリ

なつみ イェイ!って思った

一同 笑

ーこの曲についてはどうですか?

なつみ 30秒の曲を作るってテーマで始めて「歌詞どうする?」ってなった時に、大人になって会社で働いて大きいものや社会に巻かれていく中で、考えてもわからない事がいっぱいあるし「なんで?」って思って考えても全然わからない事ばっかりで。家で考えてても進まないから「とりあえず出かけてみよう」っていう曲です笑

ー確かにずっと1人で考えていてもわからないことってありますね。

なつみ 30秒という曲の短さで「気持ちを切り替えよう!」というイメージを込めました。

ー"夜不安になって溢れ出す妄想"とか、歌詞自体もめちゃくちゃいいですね。

なつみ 嫌なこととかも投げ捨てて「どっか行こう!」みたいな笑

今泉K 「気持ちを切り替えよう」でA面が終わるのも気に入ってます。

ー曲順はどうやって決めたんですか?

今泉K A面とB面で収録分数の誤差が少なくなるように振り分けてから、どういう順番にするか決めました。でも自分1人では決めてないと思います。

なつみ まさやさんと?

下山 まさやの要望が多かったです。

今泉K 要望を元に順番を変えていく感じで決めましたね。

ー流れが良く出来てるなぁと思って。

今泉K 流れ良く出来たなあと自分でも思いました。聴きながら順番決めていったから、出来た時は「この順番じゃね!」って思いました。

ー1曲ずつがすごく立っているから、並べるの大変だっただろうなと思って

今泉K どれを聴かせたいとかも全然わかんなくて、ミックスが全部上がってきた段階でもどれがリードトラックとか全然わかんなかったんですけど、とりあえず"花を持つ人"はいい位置に入れたい気持ちはあって

ーそこはやっぱり3曲目に

今泉K しもさんの「Oasis理論」を参考に3曲目にして笑

なつみ あとまさやさんが言ってたけど、前作の一曲目が"Find your toy"という曲で、その曲は私のギターリフから始まるから、それを踏襲するイメージで今回は"where is the love?"が一曲目がいいんじゃないかって。

ー曲順いいですよね。A面だけでアルバムとして成り立つくらいすごく詰まってる。それぞれの曲のミックスも面白くて、やっぱりアユ君のミックスならではだなと思いました。「30秒の曲だったらコレでしょ!」みたいな

今泉K 面白がってやってくれて、本当にありがたいですね。

ーすごくカッコいいなって思いました。最近の音源って均一的なミックスが多いけど、今回のアルバムは曲毎に形が違うし、面白みがそれぞれあって聴いてて楽しいです。

まさや 曲毎のミックスは丁寧にこだわれたよね

今泉K お願いするイメージが全部バラバラですもんね笑

ーそういう事が"何にも縛られずに活動しているインディペンデントなバンドの良さ"だと思うから、それがすごく出来ているアルバムだなと感じました。

今泉K それは嬉しいですね。

MEGA X:左から下山尚也、鈴木将也、今泉K、なつみジョイナス

後編に続く
後編はこちら

https://note.com/kkvofficial/n/nf8c6f4bef43d

MEGA X独演会「どこにも属せない」
2024年12月21日(土)
下北沢LIVEHAUS

OPEN 12:00
START12:30
DJ : KIKUCHIHIDEAKI(lights out records)
前売券 : 2,500円 +1drink
当日券 : 3,000円+1drink
ご予約はこちらから!
https://megax202101.wixsite.com/website/gigs/mega-x-du-yan-huidokonimo-shusenai








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